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「地域」研究者にして大学教員がお届けする「地域」のいろんなモノゴトや研究(?)もろもろ。

"Collaboration"第11巻に研究活動報告が掲載されました

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 『"Collaboration"高知大学教育研究部総合科学系地域協働教育学部門研究論集』第11巻に研究活動報告「データで見る地域協働教育のいま」が掲載されました。学生への意識調査結果について、オンラインでの座談会の内容をまとめたものです。

 

 

 この座談会は、高知大学地域協働学部設立以来、教職員、学生、そして地域のさまざまな主体が取り組んできた地域協働教育の到達点について、学生に対する意識調査の結果から議論してみようというものです。

 座談会で話題にした調査は、私が主となって学部開設以来行ってきたものと、この春卒業した学生が卒業研究で取り組んだものの2件です。特に前者についてはこれまで何回か調査結果を論文として投稿、掲載しているので、そちらもご覧いただければと思います。

 

 

www.3710920.com

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 座談会なので勝手にネタバレはできないのですが、ひとつだけここで特筆するとすれば、いわば「2年生の壁」というのが学生を含む全員に共有されたということでしょうか。

 先程書いた教員側の調査は、入学時、3年第1学期開始時、卒業時に行っています。そのうち学部初となる2018年度と、2019年度の卒業生については、3時点での結果がまとまっています。先のリンクで言えば『高知大学教育研究論集』第25巻に掲載されたものです。

 この調査結果のうち、学生が自分の能力をどのように評価しているのかについて見ると、入学時から3年次にいったん低下して、その後卒業時に上昇する傾向が、2018年度、2019年度の両方で観察されたのです。そして、これをどう解釈するか、という中で出てきたのが、「2年生をどう過ごすか」というポイントです。

 というのも、われわれの見立てでは、2年次になると学生の意識にいろいろ差が出る一方、特に2学期になれば地域での活動で教員のコミットメントがなくなっていき、自分たちで回していかないといけなくなる。さらに入学後のさまざまな学びによって自分を問い直すことにもなり、いろんな苦労や悩みや迷いがでてきて、それが自己評価の低下につながってくるのです。

 自己評価が下がるのは、表面的には喜ばしいことではありません。ただ、この見立てが正しいとすれば、これは避けて通れない、というか通れたとしても通るべきではない関門です。むしろ、ここをどう乗り越えるかで、その後の成長が問われることになると言えるでしょう。

 それを踏まえた上で、では今の2年生にどう向き合うか。まして昨年度新型コロナウイルスによって、学外に出る機会を大幅に奪われた「巻き返し」も図らないといけません。われわれにとって大きな挑戦です。

 

 ちなみに、もうひとつの研究活動報告では、2月に行ったオンラインでの実習成果報告についてまとめられていて、昨年度までの4期生佐賀北部班の報告も紹介があります。

 電子版がないのが恐縮なのですが、こちらも含めて、ぜひぜひご一読いただければ幸いです。