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【地域実習振り返りレポート・黒潮町佐賀北部2020年1月版】2学期実習まとめの報告、そして今後に向けて

 

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 ものすごい勢いで佐賀北部へと行き来した12月とは打って変わって、今月の学外実習は3回のみになりました。とはいえ、中身としては結構重要なものではありました。というわけで、1月の実習レポートです。

 

 

 今年初めて佐賀北部に向かったのは1月12日、拳ノ川小学校で左義長が行われるのに加わりました。

 左義長はもとは小正月に行っていた正月飾りを焼く火祭りです。と言うと、「それ『とんど焼き』じゃね?」「いや『どんど』が常識だろ」「『さいのかみ』なら知ってるけど」などなどいろいろご意見はあるでしょうが、同じ行事でも地域によって呼び名がだいぶ違うのも特徴です。なお、こちらでは「さぎちょう」ではなく「さぎっちょ」と読みます。

 昨年の11月には正月飾りとして佐賀集落に出掛けて小学校の子どもたちとカケノイオを、

 

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また集落活動センター佐賀北部とあったかふれあいセンターこぶし、拳ノ川小学校でしめ飾りを作りました。

 

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 この日は子どもたちや近隣の方々とともに、そんな正月飾りや、夏の川遊び王に作った筏を焼いていきます。

 

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 ただカケノイオの魚は食べられるので、炙っておいしく頂くことにします。

 で、普通ならここで学部公式サイトとFacebookのリンクを貼るのですが、ありません(汗)

 というのも、本来なら当方担当の2年生が中心で行事に参加するところ、成人の日と重なってしまい、ほぼ来られない事態に。そんなこともあって、同じ佐賀北部班でも1年生が中心で関わることになったので、準備段階から当方があまり把握できていないんですね。

 というわけで、いつもに増して中途半端なレポートになってしまいますが、とにもかくにも正月飾りや筏をばらした青竹で、人の背丈をゆうに超える円錐形を組んで火を放ちます。

 この日は前夜の雨の影響もあったか、なかなか火が大きくなりません。どうしても時間がかかったのですが、そのうちに何とか各所に火が回っていきました。

 

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 だいたいが燃えたところで、まずはお餅から焼いていきます。

 

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 火を焚くと言えば焼き芋ですよね。もっとも、この日は火が強くなかったようで、良い塩梅に焼けるまで時間がかかり過ぎてしまったのですが……

 

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 そして、事あるごとに出てくる猪肉。たくさん獲れるのもそれだけイノシシが多いってことで、農作物を荒らされると悩ましいので良いんだか悪いんだかですが、食べさせてもらえるものは食べさせてもらおうと。

 

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 続いては17日です。この日はあったかふれあいセンターこぶしで認知症カフェが開催されたのに参加してきました。

 

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 認知症カフェというと耳慣れない方もいらっしゃるでしょうが、認知症について専門家のお話を聞いたり、カフェという通りで、認知症というテーマを手掛かりに、さまざまな人々が気軽に会話する場となっています。とはいえ、いろいろヴァリエーションがあるので、そのあたりは厚生労働省のページがご参考になるのではと思います。

 

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 この日は大学生と地域の高齢者の交流がメインです。もちろん交流自体は今年度ずっと行ってきたわけですが、全員があったかふれあいセンターに揃い、利用者の方々とじっくりお話することは意外となかったので、この日は貴重な機会です。

 カフェでは最初庁の専門職員の方から認知症に関する詳しいお話を聞いた後、頂いた資料等を基に、お菓子やコーヒー、ココアやお茶を交えながら、あちこちで話が盛り上がりました。

 特に、今月に入って成人式に出た学生が多い中で、その時の写真を利用者の方に見てもらったりして話が弾んでいるのが心に残りました。利用者の方々は70~90代、世代によってご自身が成人式を経験したりしてなかったりするわけです。その辺のお話が聞き出せていると面白いだろうなぁ、とは思います。

 認知症カフェ、さらには今年度行ってきたあったかふれあいセンターの利用者さんたちとの関わりの中で、認識しておかないといけないと思ったことがあります。

 というのは、認知症患者」という名前の患者、もとい、個人はいない、ということ。「認知症」という言葉は今ではすっかり定着しましたし、それ以前の表現(公の場で書いていいか分からないので伏せますが)を耳にすることは、私が子どもの頃からすれば非常に少なくなったと思います。とはいえ、「認知症」「認知症患者」というと、ある種のステレオタイプが残っているのではないでしょうか。

 ですが、認知症と言っても症状の出方は人それぞれですし、個人の特徴や個性というのは残る。これはよくよく考えれば当然のことです。インフルエンザで判を突いたように高熱が出て臥せった人々がいたとして、それぞれが個性を失い、あたかも工場で大量生産されたような「インフルエンザの患者」という画一的な存在になるわけではないのですから。

 ただ、それでも認知症や罹患者に対するステレオタイプがあるとすれば、それは病気自体や個々の患者を知る機会がないことが大きいからではないか。もっと言えば、認知症にかかったかどうかに関わらず、身近な存在として高齢者と関わる機会が、これだけ高齢化社会と言われながら、そもそも乏しいこともあるのではないか。

 そんなことを、認知症カフェをきっかけに、心身の状態から性格からいろいろな利用者の方々との関わりを思い起こしながら、考えたのでした。

 

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 紛らわしいですがカフェの写真ではありません(汗)。カフェの前に昼食会があって、その時のお弁当です。シチューが出ることがなかなかないのか、話題になっていました。

 

 最後は先週末、25日(土)に行われた実習成果報告会です。地域協働学部では各学期の実習で学んだことについて、報告と共有、還元(というと偉そうですが……)を実習地と大学内で必ず行うことになっています。この日は佐賀北部を拠点とする1年生と2年生が報告会を行いました。

 

 

 

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 で、 学生が作ったチラシを一部抜粋。こういうチラシを作って配布したり、お世話になった方に電話したりと、報告会の告知も学生が行います。

 

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 ちなみに、この日は司会進行も全て学生が行うことになりました。という話、学生からすれば現地に着いてからいきなり振られたのですが、上手くいったと思っています。まきこみ・むちゃぶり・まるなげの3つのMは地域協働学部の常套手段、すっかり馴染んだようです(←ブラック)

 報告会というと硬いイメージがあるかも知れませんし、実際学生の報告となると静かに聞いていただくことになります。ただ、それだけでは来ていただいた方はあまり面白くないかも知れませんし、地域の方々に集まっていただくせっかくの機会ですから、学生側もいろいろと聞きたいことがあります。

 というわけで、報告会の後半は、2年生が考えた休憩を交えた懇談会と、1年生が主催したグループでのお話し合いになりました。むしろ後半の方が盛り上がって長くなったと思いますが、そういう話の中で生まれたつながりの方が、あとあと役立つこともあるんですよね。

 特に、今回は報告会とは銘打っているものの、報告以上に今後についての話が大事だったりします。次の1学期から、学生それぞれが地域内で行っていきたい取り組みや活動を考えているのですが、どれをとっても個人でできるものではありません。

 いや、個人で勝手にできるものではつまらない。地域内外のさまざまな人や組織と協力、協働しながらでないと行えないものでないと、何を行っても、おそらく後に残らない。「レガシー」という言葉が最近出てきますが(その当否はさておき)、学生もそれなりのものを残していかないといけないわけです。

 となると、学生は地域の方々に、理解だけではなくて、協力、協働を求めないといけない。もちろん以前から行ってきたことではありますが、今回の1年生による話し合いのように明確なテーマが打ち出されると、地域の方々にも認識してもらえて良いのではないかと思っています。

 一方で、同じ地域内の人々や組織による活動であっても、全てが知られているわけではありません。報告会は、学生を通じてそのような活動を知ってもらう機会でもあります。

 その点で、個人的には2年生があったかふれあいセンターで行っている体操を少し行って、センターについて「体感的に」知ってもらえる仕掛けを作ったのがヒットでした。

 というわけで、2学期の公式の実習日程は終わりました。ただ繰り返しになりますが、次の1学期に予定している取り組み・活動の準備を考えると、2月・3月も決して手は抜けません。世間的には春休みだったり集中講義期間ですが、その間に学生たちがどこまでのことができるか、期待しているところです。

 もっとも、春休み直前の2月8日(土)にはこちらは学部の支援団体である「地域協働教育推進会議」との共催となる学部全体の実習成果報告会が、学内で行われます。

 

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 佐賀北部班に限らず、各実習班が様々な「仕掛け」を用意していますので、詳細は当日のお楽しみです。学外からもご参加可能ですので、ご関心のある方は是非。