モンゴル2024年国会総選挙は6月28日(金)に全国で投票が行われ、即日開票の結果、翌日未明に公式な結果速報が発表されました。詳細な検討は後日行うとして、まずはこの速報をざっと見た上で、「答え合わせ」を行います。
1. はじめに
モンゴル2024年国会総選挙は6月28日(金)が全国一斉の投票日でした。投票はウランバートル時間22時に締め切られ、即日開票の上で集計作業が行われ、翌日未明には選挙管理委員会が結果速報を発表しました。最終結果が確定するのはまだですが、大きな変動はないことでしょう。
選挙結果については詳細な検討を要しますし、それはおいおい行います。ただ、まずは取り急ぎ、結果がどのようなものだったか、ここで簡単にご紹介しておこうと思います。
2. 事前の結果予想(憶測)
ですがその前に、事前に私が行った結果予想、というか憶測レベルのものについて、触れておきたいと思います(結果速報の方が気になる方は、3. まで飛ばしていただいて結構です)。
結果予想は投票日当日までに検討の上、旧twitterで投票時間終了とともに公開されるよう予約投稿しておきました。その投稿を下記に示します。ただし、一応統計をかじった人間なので、ここでも区間推定を行いましたってことで。
投票時間が終了したので根拠に基づかない憶測を一応上げておく。
— МИНАТО Күнио / НЕТ Бойне! (@3710920) 2024年6月28日
МАН 58 - 70 - 82
АН 24 - 31 - 38
ХҮН 5 - 10 - 15
ҮЭ 1 - 6 - 10
ШНЭ 0 - 4 - 8
ИЗНН 0 - 2 - 4
ИХН 0 - 2 - 3
ИОНН 0 - 1 - 3
他党は議席獲得困難か。外れるとすれば現与党が予想外に振るわないパターンだけどイメージしづらい……
このような予想を行うことには批判があるでしょう。実際、研究者の仕事は事実に基づく分析や議論を行うことです。まして、以前にも書いた通りモンゴルの選挙については世論調査や出口調査といったデータが利用できるわけでもなく、にもかかわらず当て推量を行うのは、研究者の本分ではありません。
ですが、今回の総選挙ではあえて予想を立ててみました。単純にやってみたかったのもあるのですが(汗)、事前に立てた見通しを明らかにしないまま、開票結果についてだけ分かっていたかのような話をするのも、後出しじゃんけんみたいでなんかイヤだなぁと思ったためです。
で、この予想がどの程度「当たった」かは、次の結果速報に照らしてみていくことになります。
3. 開票結果速報
本エントリ執筆時点で、開票結果は下記の通り報じられています。
日本語でも記しておくと、人民党68議席、民主党42議席、人間党8議席、市民の意志・緑の党:4議席、国民同盟(モンゴル緑の党・モンゴル民族民主党)4議席、以上になります。
結果については詳しくはおいおい見るとして、寸評だけしておくと、人民党は過半数を維持したものの議席率は低下、大統領拒否権を覆せる3分の2を割り込みました。民主党は議席率を3分の1に回復させましたが、第一党の座は得られず。人間党は議席率を大幅に上げたものの躍進と言えるかは正直微妙、市民の意志・緑の党は悲願(のはず)の国会復帰実現、国民同盟は何とか阻止条項の5%をクリアして新統一同盟と明暗、その新統一同盟を含め他の政党・同盟は今回も共倒れ、というところです。
4. 事前予想の「答え合わせ」
選挙結果速報は既に述べて終わりなのですが、ここでは先程の事前予想について「答え合わせ」を行っておきます。といっても簡単にはSNSで投稿してあるので、まずはそちらをご覧いただいてから、補足することにします。
おはようございます。選挙結果速報が出たので答え合わせ。民主党の議席を低く見積もり過ぎた以外は予想の範囲内。与党批判票がさほどバラけずに民主党に入ったという評価で良さそうだ。詳しい検討は後程ボチボチと。https://t.co/MWVzW55NUp https://t.co/N2rBR0kc9R
— МИНАТО Күнио / НЕТ Бойне! (@3710920) 2024年6月28日
予想のうち外れたのは民主党。投稿した通り、与党人民党への批判票が私が予想したよりも民主党に集まったということなのかなと思います。
あとは予想の範囲内でしたが、印象的なのは市民の意志・緑の党の健闘と新統一同盟の議席ゼロです。後者はパラリンピックのメダリスト等々有名人を集めた一方で、前者は目玉らしい目玉に乏しい感じがあったのですが、フタを開けてみれば議席を得たのは市民の意志・緑の党のみでした。
また、市民運動党(ИХН)と市民参加統一同盟党(ИОНН)については議席ゼロの可能性は高いと思いつつ、他の中小政党よりはまだ議席を得る目があるかと思っていました。市民運動党はあれだけ候補が集められるのだからと思ったのと、市民参加統一同盟党は国会議員経験のあるオヨーンゲレル党首の存在が理由ですが、やはり甘くはありませんでした。この辺の理由はもう少し検討しないと分かりませんが。
5. 小括
今回の国会総選挙、結果としては人民党が過半数を維持した一方で民主党も復権、他の野党も議席を伸ばしました。一見すれば、どの政党・同盟もそれなりに良い結果を得られたように思われます。
ですが、個人的にはこの結果が「勝者なき選挙」になる可能性が大いにあると見ています。強いて言えば人民党独り勝ちになりそうな気もしますが、その人民党も小さからぬ打撃を受けています。それだけに、対応を誤れば政権不安定の恐れもありそうです。
ただこの辺については、選挙結果を見ながらの解説を行うべきなので、今後のエントリに回したいと思います。