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モンゴル2024年国会総選挙参加政党・同盟について(5)その他の政党・同盟

 

 このエントリでは前回のエントリまでで取り上げたモンゴル人民党民主党、人間党、国民同盟以外の政党・同盟について一気にご紹介します。

 

 

 

1. はじめに

 前回までのエントリでモンゴル人民党(以下「人民党」)、民主党、人間党、国民同盟(モンゴル緑の党、モンゴル民族民主党)を取り上げました。これらの政党・同盟については、議席獲得が確実ないし可能性が高いと見ています。

 ここからは、上記以外の政党・同盟について、一気に見ていきます。これらの政党・同盟も議席獲得の可能性はあるのですが、選挙区では大政党に有利な制度、また比例代表に参加している場合は、単独政党は総投票数4%、同盟は5%の阻止条項を跳ね返せるかが大きな課題となります。

 ただ、政党の中には公式サイトがないなど、情報が乏しいところもあり、正直なところ全部を知っているわけではありません。ですので、今回はスローガンと簡単な紹介ぐらいになる点、悪しからずご了承ください。

 ちなみに、今回の内容については恒例の『アジア動向年報』モンゴルの項に加えニュースサイトikon.mnの2024年選挙参加政党・同盟まとめページとリンク先の選挙公約、さらに政党登録情報を管理するモンゴル国最高裁判所のサイト等を参照しています。

 

www.ide.go.jp

ikon.mn

www.supremecourt.mn

 

2. 市民の意志・緑の党(比例12、選挙区60)

【スローガン】 勇気を持て!

【一口メモ】 民主化運動指導者故ゾリグ氏の妹オヨーン氏が創設した政党だが、のちに民主党への合流を試みた同氏を排除。今回は単独参加。

 

3. モンゴル自由民主党(比例0、選挙区1)

【スローガン】 なし

【一口メモ】 国会議席獲得経験なし。国民同盟に参加したと報道されたはずが単独参加。経緯は不明。

 

zms.mn

 

4. 祖国党(比例7、選挙区39)

【スローガン】 祖国をモンゴル人が発展させる! 

【一口メモ】 財閥エレル・グループ創始者エルデネバト氏が率いる政党。2000年代には同氏が初の議席獲得、2004年総選挙では民主党との同盟により与党の座を得たが、その後は議席ゼロが続く。

 

5. 共和党(比例15、選挙区39)

【スローガン】 スマートな選択

【一口メモ】 カシミア大手ボヤン社創設者ジャルガルサイハン氏による政党。2004年総選挙で同氏が議席獲得も、その後は獲得議席なし。今回は単独参加。


6. モンゴル社会民主党(比例0、選挙区6)

【スローガン】 我慢には限度がある、今こそ決めよ、われわれを勇気をもって選べ!

【一口メモ】 民主化勢力の1つ。2000年に民主党に合同も後に離脱。2020年には労働国民党(現人間党)らと「正しい人・有権者」同盟により総選挙参加、今回は単独参加。


7. 市民運動党(比例48、選挙区76)

【スローガン】 敗れざる永遠の未来のために!

【一口メモ】 議席獲得経験なし。今回の総選挙では国民同盟や労働国民党をも上回有異例の多数候補擁立。初の議席獲得なるか。

 

8. 愛国主義者統一党(比例0、選挙区1)

【スローガン】 なし

【一口メモ】 議席獲得経験なし。公式ウェブサイトもなく、Facebookページがあると思ったらアクセスできなかった。

 

9. モンゴル保守党(比例0、選挙区22)

【スローガン】 国権を人民に

【一口メモ】 議席獲得経験なし。今回は単独参加。選挙公約ではモンゴルの基本的価値を憲法に明記するとともに遵守を国民に義務付けると真っ先に記載。

 

10. 真正党(比例18、選挙区62)

【スローガン】 強力な野党

【一口メモ】 議席獲得経験なし。今回は単独参加。選挙公約では前文で人民党・民主党野合(МАНАН)批判を前面に打ち出す。

 

11. 自由同盟党(比例4、選挙区43)

【スローガン】 個人の自由・制限された国家

【一口メモ】 議席獲得経験なし。2024年に大衆党から改称。公式サイトでは右派政党と明記。

 

liberte.mn

 

12. 市民参加統一党(比例4、選挙区53)

【スローガン】 すべてを子どものために

【一口メモ】 オヨーンゲレル元国会議員が民主党を離党して結成。国会総選挙初参加。女性候補比率60%は今回の総選挙参加政党・同盟で最も高い。

 

ikon.mn

 

13. 良き民主的市民統一党(比例18、選挙区37)

【スローガン】 良き選択

【一口メモ】 議席獲得経験なし。略称だとСАИН НАМ (САИНН)となってモンゴル語で「良い政党」っぽく読める。たぶん狙っている。

 

14. 権利行使者党(比例5、選挙区25)

【スローガン】 強力なモンゴルを創るために人民が決める 

【一口メモ】 議席獲得経験なし。候補者数は前回2020年総選挙の候補者13人から倍以上に増加。

 

15. 人民の多数派支配党(比例27、選挙区44)

【スローガン】 なし

【一口メモ】 議席獲得経験なし。選挙公約は「国民思想革命」「正義革命」「工業化経済革命」三本柱で本文3ページのみ。

 

16. 新統一同盟(モンゴル伝統統一党、新党:比例37、選挙区53)

【スローガン】 なし

【一口メモ】 伝統統一党は1990年代以来の系譜を有する政党(一時期民主党に合流)も近年は所属候補の国会選挙当選なし。新党はフレルスフ首相不信任案騒動で民主党を離党したバトザンダン国会議員とボルド国会議員による正義市民統一同盟党が前身も、後にバトザンダン氏は民主党復帰、ボルド氏は駐ベルギー・EU大使に就任。 


17. 人民の力党(比例8、選挙区52)

【スローガン】 なし

【一口メモ】 党としては議席獲得経験なし。グンダライ元国会議員が創設した「人民を愛そう党」が後に改称。前回はグンダライ元国会議員のみ立候補も今回は全選挙区および比例代表に候補擁立。

 

18. モンゴル人のための党(比例4、選挙区38)

【スローガン】 司法を裁く

【一口メモ】 議席獲得経験なし。前回はモンゴル保守党とともに「遵守せよ!憲法19同盟」構成も今回は単独参加。人権と自由の擁護を定めた憲法第19条の実現を掲げる。

 

19. 無所属(比例0、選挙区42)

【スローガン】 なし

【一口メモ】 全13選挙区に合計42人が立候補。前回は民主党系アルタンホヤグ元首相が当選(後に民主党復帰)。今回は有力政治家や各界有名人が軒並み政党・同盟から立候補するため当選ゼロもあり得るが、ノーマークの候補者が当選することもあるため予断は許さない。

 

20. 小括

 以上、17の政党・同盟につきご覧いただきました。

 繰り返しますが、これらの政党・同盟にも議席獲得の可能性はあります。私自身、調べてみて、ここは議席を取るかも知れないとおもったところはあります。

 とはいえ、モンゴルでは総選挙に関する全国規模の世論調査が存在しないため、総選挙の情勢をマトモには把握できません。なので、根拠に基づく予測も不可能と言わざるを得ないのです。

 もっとも、当て推量レベルのものなら私にもないでもないのですがってかそういうのを有料記事で売ればいいのか