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「地域」研究者にして大学教員がお届けする「地域」のいろんなモノゴトや研究(?)もろもろ。

30年目のモンゴル(5)日本文化と資本の進出

 

 以前のエントリでブラックサンダーのラッピング広告バスをお見せしましたが、他にも日本の文化や資本、グッズがウランバートルでますます目立つようになりました。

 

 

 世界金融危機や為替危機に新型コロナウイルス感染症、その他の危機を乗り越えて経済発展が続くモンゴル。経済規模が大きくなるとともに、日本のビジネスパーソンや資本が徐々に進出するようになりました。以前のエントリで見たブラックサンダーのラッピング広告バスはその好例ですが、他にも𠮷野家がウランバートルに出店して限定のマトン丼を出したり、モンゴル航空MIATの機内誌に味千ラーメンの広告が載っていたりします。ウランバートルの中心部を歩くだけでも、いくつか見つかります。

 

 

 大通り南側にあった日本食堂。以前なら日本食のお店と言えば、こういう個人営業的なお店ばかりだったんですよね。それも高級店ばかりだったのが、四半世紀前にようやく定食店ができたぐらいだったのですが、今ではさほど珍しくもなくなりました。

 

 

 こちらは新しく見つけたお店。大通り北側に面しています。

 

 

 日本製品を扱う商店はこれまでもあったのですが、日本の緑茶を前面に押し出すところはあまり見たことがありません(数年前に狭山茶の幟が出ているお店はありましたが)。日本文化が物珍しい段階からさらに浸透しているのを感じます。

 ただ、ここ数年間の特徴として、やはり大手資本や日本でもなじみ深い企業がモンゴルにも進出していることは見逃せません。その象徴が、こちら。

 

 

 高知県に進出する前にウランバートルにできた東横イン。前々から存在は知っていましたし、通りかかることはこれまでもあったのですが、マトモに見るのはこれが初めてです。

 ウランバートルなのに、どっからどー見ても東横インです。さすがにキリル文字表記ですが、それ以外は高知県ではいろいろあってまだ第1号が建設中だけど日本国中どこでも見られる東横インです。

 「あれ、これじゃ『トヨーコ』イン」じゃね?」と思った方。最近のキリル文字モンゴル語の日本語表記を見ていると、語中のヤ行の音を長母音のように記すのをよく見かけます。「あやこ」を"Аяако"、ラテン文字に転写するとAyaakoと書く要領です。

 どういう経緯でこういうスペリングが行われるようになったのかは分かりません。ただ、現代(キリル表記)モンゴル語の特徴を考えると、発音面では理にかなっています。というのは、現代モンゴル語では母音の直後に軟母音が置かれると、その軟母音から母音が脱落して発音されます(むしろ、はじめから母音が発音されない前提で軟母音が置かれることもよくあります)。

 なんのこっちゃ、と思ったアナタ。先程の「あやこ」が良い例です。母音「あ」(a)の直後に「や」(ya)が来ていますよね。これが母音(A)+軟母音(ya)のイメージです。キリル文字では「あ」が"А"(固有名詞なので大文字)、「や」が"я"となるのですが、ここで単純にАяакоと転写してしまうと、"А"の直後の"я"にあるはずの母音部分が発音されなくなるのです。ローマ字で書くなら"Ayko"って感じです。ですが、"я"の直後にその母音部分である"а"を書いておけば、"а"の音が発音されることになるわけです。

 なので、「東横イン」についても、「よ」を発音してもらうために、"ё"の直後に"о"を置いたものと判断されます。ちなみに例で出した名前は同じ母音が続くのでモンゴル語との相性が良いからです。だったら「あやか」の方がもっと良いのですが、身内にいないので勝手に使うのも気が引けたのです。

 長くなったので話を戻します。ウランバートルにできた東横インなのですが、私はまだ泊ったことがありません。市内でも少し西にあって、私の行動圏から外れるんですよね。それに東横インなら日本でさんざ泊まっていますし。

 ただ、もし私がモンゴルに長逗留することにでもなったら、日本が懐かしくなった時に泊まりに行くと思います。モンゴルでできる日本滞在体験。

 そして今年一番驚いたのがコチラ。

 

 

 ペッパーランチです。高知県にはまだないのに国立百貨店1階に新たにペッパーランチが入っています。国立百貨店といえばモンゴル最古、いちばん由緒あるデパートですよ。そんなところに、ついに日本資本がやって来たのです。こちらもモンゴルに長期滞在とかなったら、ちょくちょく出掛けるかも知れません。高知県にないし

 

 

 キティ姐さんはウランバートルをも勢力下に置きつつあります。以前からソフトクリームはあったのですが、こんどは本格的なショップができていました。

 

 

 しかもタピオカドリンクまであるんですね。ハローキティ」って書いていないところに一抹の不安を覚えますが

 という感じで、今回のウランバートル訪問ではとみに日本文化と資本の進出、浸透ぶりを感じたのですが、

 

 

これは違う。たぶん絶対違う。