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「地域」研究者にして大学教員がお届けする「地域」のいろんなモノゴトや研究(?)もろもろ。

第15回ウランバートル国際シンポジウムで研究報告を行いました

 

 第15回ウランバートル国際シンポジウム「日本とモンゴル――ユーラシアからの眼差し」で研究報告を行いました。国際調査データを用いて、モンゴルの将来の発展モデルに関するモンゴルの人々の選好をしたものです。

 

 

 3年ぶりに開催されたウランバートル国際シンポジウムに参加、昨日(2022年9月4日)研究報告を行いました。

 今回で第15回となるシンポジウムのテーマは「日本とモンゴル――ユーラシアからの眼差し」です。一昨日(2022年9月3日)から2日間の会議で基調講演と一般報告合わせて21件の研究発表が行われ、内容は近現代のモンゴル・日本関係、とりわけ敗戦直後の日本人モンゴル抑留について、日本・モンゴル共同研究チームによる遺跡調査の成果等が主でした。

 モンゴル抑留については遺憾ながら日本での認知度は決して高いとは言えず、被抑留者の高齢化や死去によって風化してしまう懸念があります。その一方で、抑留を行った側のモンゴルにおいて、モンゴル人研究者らによる研究が進んでいることは、特に強調されるべきことです。

 私の研究報告は"Who Aspires to Be a Japan? Analyses of the Time Course Change in the Mongolian Preference on Their Future Development"というタイトルのものです。モンゴルを含む国際調査データのうち、どの国を自国の将来の発展モデルとすべきかという設問を取り上げ、日本を選択した回答に注目して分析を行った結果を報告しました(ただしデータ公開がまだ中途のため、未着手の分析もないではありません)。

 昨年2021年に、モンゴルの国会が国際協力機構(JICA)とともに「日本のように発展しよう」という連続講座を開催しました。そこで、じゃぁモンゴルの一般の人はどう思ってるのか、以前にも分析したけど新たなデータが出たから知見をアップデートしよう、というのが、今回の報告の趣旨になります。

 

■ 国家大会議議員向け連続講座「日本のように発展しよう~日本と学ぶ発展プロセス」 | 在モンゴル日本国大使館

 

 3年ぶりのモンゴルでの、かつ外国語での研究報告で、準備過程ではいろいろ錆びついていたのを痛感しました。特にタイトルに関してはウケ狙いでプルーフリーディングも受けないと、そりゃおかしくなるよねというので、恥ずかしい限りです……

 ただ、研究についてはそこそこ関心を促すことができたようで、そこは満足しています。何より、COVID-19パンデミックによって、モンゴルにはもう行けないんじゃないかとすら思うときすらあったので、たった3年で再びモンゴルでの研究報告や交流ができたのは本当に嬉しいことです。

 国際シンポジウムは終わりましたが、もう少し滞在して、現地の動向を調査する予定です。ただ新型コロナウイルスのみならず、ロシアのウクライナ侵略絡みでどうもキナ臭くなっているようなので、よほど気を付けないといけません。