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第16回ウランバートル国際シンポジウム「モンゴルにおけるシルクロード文化遺産」で研究報告を行いました

 

 第16回ウランバートル国際シンポジウム「モンゴルにおけるシルクロード文化遺産」 で研究報告を行いました。久々のモンゴル語報告です。

 

 

 恒例のウランバートル国際シンポジウム、第16回は「モンゴルにおけるシルクロード文化遺産」 のタイトルで9月2日、3日の日程で開催されました。今回も私は研究報告を行っております。

 今回の報告のタイトルは"Кочигийн Их Сургуулийн номын сангийн 'Аоки бүнко' (Аокигийн цуглуулга) дахь торгоны замын тухай ном, хэвлэл ба бусад холбогдох материалууд"というものです。なんじゃこら、と思った方、日本語タイトルだと「高知大学学術情報基盤図書館『青木文庫』におけるシルクロード関連文献資料」となります。

 高知大学朝倉キャンパスにある高知大学学術基盤図書館(いわゆる大学図書館です)中央館には「青木文庫」という個人コレクションが所蔵されています。これは高知大学名誉教授でモンゴル・東洋史がご専門の故青木富太郎博士が収集した文献や研究資料、調査記録や手稿等が遺贈されたものです。

 博士は高知大学を退官されたのが1972年、亡くなられたのが1988年で、私とは全く接点がありません。とはいえ、モンゴル屋の私が本学に奉職した以上、博士や青木文庫について何らかの研究調査や発信を行わねばならないとはずっと思っていました。

 それがなかなか果たせずにいたのですが、今回上記タイトルでのウランバートル国際シンポジウムのご案内を受け、青木文庫の中にモンゴルのシルクロード文化遺産に関する資料はあるはずだろうと考えて、文庫内の調査結果を報告した次第です。

 報告については論文化する予定なので、ここで内容を詳しく述べることはしません。ただ、今となっては入手困難であろう戦前・戦中の歴史学・考古学に関する文献がいろいろ見つかったので、個人的には盛り上がりました。

 また、マルコ・ポーロに関する文献や『東方見聞録』『世界の記述』等のタイトルで知られる旅行記録の翻訳も注目されます。余談ですが、昨年になって博士の翻訳『東方見聞録』が再版されたことも付け加えておきましょう。

 

 

 他にも青木文庫にはさまざまな資料があり、今後も調査整理を行っていければとは思います。ただ問題は、私が歴史学の訓練を受けていないことです。下手に資料を扱おうものなら、資料にダメージを与えてしまう懸念があります。幸いにして歴史学には知己を得た方々がおられるので、今後いろいろとご指導、ご助言いただこうと思っているところです。