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「地域」研究者にして大学教員がお届けする「地域」のいろんなモノゴトや研究(?)もろもろ。

日本モンゴル学会2023年度春季大会で研究報告を行いました

 

 日本モンゴル学会2023年度春季大会で「モンゴルにおける地方移住促進の現状」という研究報告を行いました。元となる論文は"Collaboration"誌で公刊されます(電子版がないのですが……)。

 

 

 2023年5月20日(土)に日本モンゴル学会2023年度春季大会が桜美林大学新宿キャンパスで開催されました。久々の完全な対面での大会です。

 今回、当方は午前のセッションで「モンゴルにおける地方移住促進の現状」という研究報告を行いました。最近になって国際機関やモンゴル政府が行いだした首都ウランバートルから地方への移住促進の取り組みについて、現地からの資料により状況を整理した上で、今後この取り組みを進める上での課題を指摘するものです。

 この報告は弊学の紀要のひとつ『Collaboration: 高知大学教育研究部総合科学系地域協働教育学部門研究論集』の第13巻に掲載、(紙媒体のみですが)刊行されます。ただし、執筆後に追加的な情報がいくつか入ったことから、今回の報告ではそれらも取り上げています。

 なお、報告で使用したスライドをSlide Shareにアップしました。よろしければご覧ください。

 

www.slideshare.net

 

 また、要旨は学会春季大会ページにあります。

 

ja-ms.org

 

 現代のモンゴルにおいて、国内の人口移動と言えば地方からウランバートルへのものが注目されています。実際、ウランバートルの一極集中や、それに起因する都市問題、とりわけ交通渋滞と大気汚染が深刻かつ慢性化した問題であることは、近年のウランバートルを訪れた人なら理解されることでしょう。

 しかし、モンゴルの人口移動の問題が地方の視点から検討されることは乏しかったのではないかと思います。そのような中で出てきた地方移住の促進の取り組みですが、これも都市問題の緩和が主目的だったり、中央政府から画一的な目標が地方政府に対して課されたりで、あくまでウランバートル目線、中央目線の取り組みなんだよなぁ、というのが、現時点での率直な結論です。

 ただし、今回集められたのはインターネット上で公開されている資料ばかりです。地方のことなのですから、本来は移住促進の取り組みを行っている地方に出向いて、担当者や移住者といった当事者の話を聴き取るなどして、現場の実際を直接調査すべきところです。

 なのですが、特に政府による取り組み自体が始まって間がなかったり、そもそも地方レベルでどこまで具体的な取り組みが行われているか怪しかったり、そして何より、実際の取り組みがあったとして、調査に行くためのツテがなかったりと、こちらの方の課題が山積です。何とかしたいのですが……