"Mongolian and Northeast Asian Studies" Vol.8 (『モンゴルと北東アジア研究』第8巻)に当方執筆の論文"Develop Like Japan? Analyses of the Mongolian Preference on Their Future Development"が掲載されました。
モンゴルを中心に北東アジア地域の人文・社会研究をまとめた日本発の国際雑誌"Mongolian and Northeast Asian Studies"(日本語名『モンゴルと北東アジア研究』)の第8巻に、当方が執筆した論文"Develop Like Japan? Analyses of the Mongolian Preference on Their Future Development"(日本語タイトル「『日本のように発展しよう』?モンゴルの人々が望む開発モデルの分析」)が掲載されました。
この論文は昨秋第15回ウランバートル国際シンポジウムで行った研究報告をまとめたものです。英語論文です。
タイトルに「日本のように発展しよう」とありますが、これは私の思い付きではありません。2021年にモンゴル国家大会議(一院制国会)ザンダンシャタル国会議長の主催で行われた連続セミナーのタイトルです。まぁ、日本も開催を支援したんですけどね。
論文の内容については、元となった研究報告のエントリでも触れているのですが、モンゴルの人々が自国の将来の発展モデルとしてどういう国を挙げるのかについて、国際調査データの分析から明らかにしてみようというものです。
調査では、どの国を自国の将来の発展モデルとすべきかという設問があり、その選択肢として、「日本」に加えて「アメリカ」「中国」「インド」「シンガポール」「ロシア」「自国独自のモデルを追求すべき」「その他」が示されています。ただし、「ロシア」はモンゴル調査でのみ設けられた選択肢です。この設問について、モンゴルでの回答傾向と他の調査対象国・地域との比較分析を行ったのが、今回の論文です。
このような分析自体は以前も行っていて、論文として刊行もされています。ただ、その後新たな調査データが出てきたので、最新の状況を分析した上で、過去の結果との比較検討も行っています。こういう設問への回答って、時期によって変わりますからね。
ちなみに、以前の論文についてはこちらを。
先程書いた通り、人々の外国や自国に対する意識は、その時々の情勢によってどのようにも変化します。それらを追い続けるのは地味な作業ですし、分析のパターンが少なからず固定されるだけに、新味に乏しかったり、月並みな論文の量産に堕する危険もはらんでいます。
とはいえ、モンゴルであれ日本であれ、民主主義国家が世界の様々な国や地域と関わり続ける際に、人々の自他の国・地域に対する意識やイメージは、決して無視できるものでありません。今後も分析可能なデータの収集と公開が続けばという条件が付きますが、今後もこのような研究は継続していきたいと思っています。