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「地域」研究者にして大学教員がお届けする「地域」のいろんなモノゴトや研究(?)もろもろ。

Back in Ulaanbaatar (5) 変わりゆく街

 

 毎年訪問していたときでもあちこちで変化が見て取れたウランバートル、3年も間が空くといろんなところが変わります。そんな変化をいろいろ集めてみました。

 

 

 

 市内の路線バスとして2階建てバスが走るようになりました。

 去年だったか一昨年だったか、中国製の2階建てバスを含む電気バスを試験的に導入したものの、寒冷な気候に合わずに本格導入を断念したという経緯を報道で読みました。今度こそうまくいくのでしょうか。

 

 

 スフバータル広場近くに公衆トイレができていて、なんとウォシュレットがありました。モンゴルばかりか海外ではなかなかないので、驚きと歓迎、一方で同じウランバートルや首都以外では一般的な、モンゴル語でいう「木のトイレ」との格差も感じました。

 

 

 自動車が増える一方のウランバートルに日本の飛び出し坊やが進出、というのとはちょっと違って、横断歩道で運転手に停まるよう呼びかけるボードです。しかし実写版というのが、なんか凄いですね。

 ちなみに、おそらく今回が初めてだと思うのですが、道を横断する時に車が停まってくれるのをウランバートルで経験しました。もともと道路は自動車優先、横断する時は車が途切れる瞬間か、停車中に渡り始めて、反対側が渡れなければ道の真ん中で待つのが当たり前なので、正直びっくりしました。

 

 

 前にも書いた気がしますが、韓国資本のコンビニが本当に増えました。CUとGS25でほぼ寡占状態ではないでしょうか。

 

 

 そんな中でも残っていた、どっかで見たようなコンビニ。サークルKは見なくなったのに、こういうのに限ってまだあるんですよね。

 

 

 CUと並んでよく見かけるGS25。なのですが、ビルに入っている中国料理店の店名が漢字になっています。

 当り前じゃないか、と思われるかも知れませんが、実はウランバートルでは2000年代半ばに中国系のホテルや商店への襲撃事件があったりして、それまでは当たり前に出ていた漢字の看板や掲示が一気に減ったことが報告されています。合わせてハングルも一時期見かけなくなりました。

 なので、漢字を出せるようになった、というのは私からすれば目立った変化なんですね。もっとも、ここは中国の援助で改修されて「北京街」と改名された道路沿いなので、そりゃあっても不思議はないのですが。

 

 

 日本へのお土産を買うとなると、やはりコンビニよりも百貨店やショッピングセンター、あるいは市場がおすすめです。

 中でも百貨店の少し南にあるメルクーリ・ザハ(市場)は昔から他の商店では手に入りにくい商品や生鮮品が揃っていて、留学中はお世話になったものです。ですが、長らく改修中で、私が訪れた時も、いつ再開されるかまるで分らない状態でした。

 

 

 柵で覆われたメルクーリの入口。ウランバートルの市場の雰囲気、大好きなんですけどね……

 

 ところで、ウランバートルで買って帰るのはモンゴル製品に限りません。旧ソ連や中東欧の製品等、モンゴルで馴染んだものの、日本だとなかなか手に入らないものもできるだけ仕入れます。

 その一つが「シプロティ」というニシン科の魚の缶詰。2000年代以前にモンゴルに滞在した人なら、「日本人は魚を食べるんだろう?」といって、この缶詰をモンゴルの家庭でごちそうされた人も結構いるのではないでしょうか。

 私がよく買うのはエストニア産のもので、一時期ごぶさただったのですが、新婚旅行で訪れたタリンで偶然再会。以来、ウランバートルで必ず探すようにしています。

 ただ、3年ぶりに会ってみると、シプロティは変わってしまいました。

 

 

 お馴染みの金色の缶詰に、よくはがれる黒のラベル。ですが、見るとエストニア産からロシア産になっています。そして、この時局のロシアにすっかり染まっていました。

 

 

 За радину!「祖国のために!」

 ああ、君は、そちらに行ってしまったんだ…… 

 

 月日はいろいろなものを変えてしまいます。重い缶詰を買わずに済んだ、という悲しい満足と、ポーランド製のツォー(醤油に似た調味料)とともに、店を後にしました。