野生のタヒを見るという大願が叶ったところで、帰途に就きます。その途中で夕食をとるとのことで、こちらのホスタイ・ツーリスト・キャンプに立ち寄りました。
キャンプの入口に公園の地図がありました。今いるのは公園のすぐ北側にある"Hustai Resort"というところ。リゾートと言っても内陸国のモンゴル、南の島とはまるで違って、観光客が滞在できるゲルや、場所によってはコテージがならぶキャンプなのです。
こちらがキャンプ。敷地内にゲルが並んでいるほか、木造のコテージもあります。奥にある建物には太陽光発電のパネルがあり、電力もある程度(全てかどうかは分かりませんが)は賄えるようです。
ゲルに泊まる場合、バスもしくはシャワーとトイレは別の建物にあるのを利用することになります。ただ、ことこのキャンプに関してはゲルのすぐとなりにそれと思しき小屋が立っているのもあって驚きました。
入口近くにはゲル状の建物が並んでいます。一番手前はインフォメーション・センターと銘打っていて、ホスタイ国定公園の解説パネルが並んでいるほか、別に売店と小ホールがそれぞれあって、後者では公園の紹介ビデオを見ることができます。なんと日本語版もあります。
インフォメーション・センターに入ってみました。タヒや野生の動植物の解説がモンゴル語と英語で並んでいます。
足元を見ると、馬の蹄が描かれています。モンゴルではあまり見かけない演出ですね。
タヒ野生化プロジェクトを立ち上げたオランダとモンゴルの研究者。プロジェクトはモンゴルの政治体制転換や経済混乱を乗り越えて進められました。残念ながら既に二人とも亡くなられたようですが、タヒは今も公園内を駆け巡っています。
タヒ以外にも、ホスタイにはキツネ・ノウサギ・リスなど、さまざまな動物が生息しています。
中日ドラゴンズ小笠原道大二軍監督チベットスナギツネもいるようです。しかしなんですかね、この表情。
一通りパネルを見て外に出ると、猫がいました。野生ではないと思います。
あまり猫のイメージのないモンゴルの草原。そもそも「家につく」といわれる猫が移動生活に馴染むような気もしないのですが、それでもたまに猫を見かけることはあります。昔フィールド調査に出たときに遊牧民が猫を飼っていたのを見て理由を聞いたら、「ノネズミがいるからね」という答えが返ってきたのを思い出しました。
ツーリストキャンプのレストラン。ここで夕食を用意してくれているようです。
レストランに入ると、壁一面に馬のイラストが描かれています。タヒというより普通の馬っぽい感じですが、まぁそれはそれとして。
草原まで来て生野菜は出ないかなと思っていたところ、ピクルスとキュウリが出てきました。ただ考えてみたら、ここはウランバートルから100キロぐらいしか離れていないですし、外国人観光客もたくさん来る場所です。もっと遠隔地はどうなっているのか……そろそろ本格的な遠出もしたくなってきたりもします。
付け合せのパン。鄙には稀な、というと失礼ですが、適度に柔らかい都会風(?)のパンです。
メインはミートボールです。野菜の量と種類の多さに驚きましたが、ご飯の盛り方は昔ながらという感じでしょうか。あ、でも、昔だったらご飯の上にケチャップを乗せていましたね。
昔といえば、こういう食事にかける調味料で「ツォー」というのがありました。「ツォー」は本来醤油のことなはずなのですが、かつてのモンゴルでは、見た目は醤油ながら謎のちょっぴりスパイシーな東欧産の調味料を指すことが一般的でした(というか、一般に手に入りやすいのがそれだった説も)。今でもスーパー等で見ないではないですし、昔懐かしくなって買うこともあるのですが、モンゴル人の味覚が変化したのか、東アジアの醤油が普及したのか、ここ数年モンゴルのレストランや食堂で見かけた記憶がありません。あれ、意外と好きだったんですけどね。
という「あの頃のモンゴルクラスタ」しか分からない話はさておき、デザートにはパイナップルが出てきました。当然缶詰だとは思うのですが、パイナップルといえば100トゥグルグ(トグリグ)の瓶入り炭酸飲料を真っ先に思い出すおっさんにとっては、時代の変化をここでも感じるものです。
(参考)
一通り食事を楽しんで外に出ると、既に日が傾き始めていました。
ゲルに似せた東屋。宿泊客はゲルに入ってしまったのか、既に人の気配はありません。
壁に立てかけてある毛皮はタルバガのものでしょうか。これから何かに加工するのか、飾るわけでもなく、無造作に置かれているだけです。
機会があればこういうところに泊まってみたい気もしますが、今回はモンゴル旅行入門編。ツーリストキャンプを発って、夕日が照らす草原をウランバートルまで走ります。
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