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「地域」研究者にして大学教員がお届けする「地域」のいろんなモノゴトや研究(?)もろもろ。

Back in Ulaanbaatar (4) ニュースの風景

 

 今回のウランバートル訪問では、3年間報道は追っていながら実際には行けずにいた現場を見にいくことにしました。もちろん全部というわけではありませんが、新たなネタも含めて、いろいろ見て回りました。

 

 

 

 まずは国営百貨店(現在は民間企業ノミン社のショッピングセンター)から。ここでは2020年夏に改修工事中の不手際から火事が発生しました。結果として死傷者はなかったものの、5階以上が焼ける被害が出ました。

 

montsame.mn

 

 特に6階は土産物と本を扱っているので、この数年というもの、ウランバートルに行くたびに訪れていました。それだけに、火事の中継映像を見た時は本当にショックでした。

 ただ、入ってみると6階は改装されていて、以前に勝るとも劣らない明るさと品揃えになっていました。そりゃ2年も経ってますから、建物に問題がなければ再開するのは当然ですが、やはり実際に見るとホッとするものです。

 

 

 ちなみに、1階の日用品・食料品売場前のロッカーがこんなことになっていました。キャッチフレーズは「安い価格、日本の品質」だそうで、価格設定は日本円で言えば200円弱と300円弱です。

 

 

 平和大通りを挟んで百貨店の反対側を見ると、以前あった大きなスクリーンが撤去されています。最近の首都政庁の方針として、設置の根拠があいまいな広告や看板等の撤去を進めているので、ここも多分に漏れず外されたようです。

 ところで、百貨店に加えて気になっていたのが、無許可で取り壊しが始まるも差し止められたアルド・キノー・テアトルがどうなっていたかです。当時の報道について。

 

www.3710920.com

 

 実際に訪れてみると、やはり壊された部分はありました。見るのが辛い方は飛ばしてください。

 

 

 正面玄関の庇が取り除かれており、屋根部分も一部崩されています。これだけでも十分悲しいですが、もし解体の差し止めがさらに遅れていたらと思うと、ぞっとします。

 老朽化したのなら別ですが、建築デザインの歴史を考える上でも残すべき建物なはずなんですけどね……

 

 

 ただ、どういうわけかフィットネスクラブの広告だけは残っています。筋肉以外で体格のいい人が多いモンゴルですが、フィットネスやボディビルディングにも人気があったりします。民主化早々にコンテストがあったって報道を見かけたことがありますし。

 

 

 アルド・キノー・テアトル正面の駐車場は、多分に漏れず中古のプリウスでいっぱい。以前はこの辺に両替商が並んでいたのですが、1軒を除いて見られなくなってしまいました。

 

 

 スフバータル広場。前にも書いた通り、南側に人工芝が敷かれています。もともとはサッカーの大会用に整備されたらしいのですが、今もそのままで、短い夏から秋をのんびり過ごせるようになっています。

 

www.tv5.mn

 

 

 もっとも、冬場は座って休憩なんて気候ではないですし、寝っ転がって一休みしようものなら永遠の休みになりかねません。表面も凍結しますし、流石にそれまでに片づけることになりそうですね。

 

 

 広場から政府宮殿の西側の通りにやって来ました。日陰になって見づらいのですが、カラフルな建物に商店が立ち並んでいます。

 

 

 ここはオヨーン=エルデネ首相の肝入りでオープンした「朝のウランバートル」通り。早朝からお店が営業を始めるほか、ファッションショーやアートパフォーマンスなどが行われています。

 

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 2021年に就任したオヨーン=エルデネ首相は早起きを推進。閣議の開始時間を早めるなどしています。

 一方で、ウランバートルは緯度が高いこともあって日没が遅く、夏場だと21時を過ぎても明るかったり、さらに遅くなっても、子どもが外で遊んでいる声が聞こえたりします。

 なので、朝のウランバートル通りが定着するのか疑問もあったのですが、見た限りでは取り止めにはなっていないようです。

 もっとも、政権が変わった後どうなるかは分かりません。今のところ政権に不安要素は乏しいですが。

 

 

 オヨーン=エルデネ首相率いる与党人民党に対する野党のうち、最大勢力なはずの民主党はこの2年間というもの二分され、内部対立を続けています。こちらはその片方、エルデネ前党首の側の民主党本部(だったはず)。とりあえず中に用はないので、外から撮っておきます。

 

 

 また、人民党・民主党の二大政党以外では、2010年に人民党と袂を分かった(第2次)人民革命党の存在感が大きかったのですが、こちらは2021年に人民党と再合流。かつて屋上に党旗が並んでいた党本部は、がらんどうになっています。

 

 

 玄関口に掲げられていた党章も撤去済。放ったらかしにしてそうなものが意外でした。ってか、もう1年以上も経ったのですから当然と言えば当然ですね。3年の空白をあらためて実感します。

 ちなみに、この辺のモンゴル国内政治については、『アジア動向年報』収録の拙稿「2020年のモンゴル」「2021年のモンゴル」をぜひご一読ください。 

 

■ 人民党が総選挙圧勝も、新型コロナウイルス感染症拡大で難局を迎える : 2020年のモンゴル

■ 国政選挙で与党人民党が相次いで圧勝 : 2021年のモンゴル

 

 

 これまでは過去3年間の報道の話でしたが、新たなニュースも出てきます。

 ウランバートルgoogleマップストリートビューが更新されるらしく、新しい撮影者がデビュー。出発式が行われるそうです。

 

visitulaanbaatar.net

 

 

 

 一方で、なぜか置かれている旧ソ連の公衆電話。ロシア語な上に、緊急通話先もモンゴルのものではありません。

 新たな動きが相次いで生まれて報じられるウランバートル。ですが目を凝らせば、古い時代の名残もあったりします。