東能代を出た電車は快調に走ります。車窓に見える田園地帯は雪をかぶっておらず、多少温かいところまで来られたという安堵を覚えます。遠くの雪山は見ないふり。
東能代から30分弱、電車は鷹ノ巣に着きました。ここからは第三セクターの秋田内陸縦貫鉄道に乗車、文字通り秋田県北の内陸を南下します。
待合室を見ると、鷹ノ巣駅があるのは北秋田市の移住促進のチラシにキティ姐さんが出ていました。五所川原で犬になっていたのを見たばかりだというのに、ホント、姐さんの仕事量の多さには驚くしかありません。
ここでは乗り換えの時間があるので、駅を出て昼食を調達にいきます。JR鷹ノ巣駅、いかにも戦後の国鉄の小拠点という平屋鉄筋の駅舎です。
駅から伸びるのは商店街。両脇の歩道は、雪除けの屋根で覆われています。日本海側の豪雪地帯なだけに、屋根を支える柱も太くなっています。
さて、秋田内陸縦貫鉄道の列車が来るまで時間があるので、その間に昼食を調達すべく、商店街を探ってみます。
すると、またもキティ姐さん、いやお知り合いなのか何なのかって一同も含めて大挙登場です。姐さん、来た仕事を断ることってあるんでしょうか……
とりあえずお店じゃなさそうなので通り過ぎましたが、看板を見る限りは福祉拠点のようです。あるいは現職の実習で関わらせていただいている、あったかふれあいセンターみたいなものかも知れません。
さらに歩くと、産地直売のお店を発見。農産物が多いでしょうが、こういうお店にお弁当があると、土地のものが安くおいしく食べられます。なので期待を込めて突撃すると、果たしてお弁当発見!付け合わせにお餅もあったので、合わせて調達しておきました。収穫収穫。
昼食の準備も無事済んで、秋田内陸縦貫鉄道の駅に向かいます。
秋田内陸縦貫鉄道の駅舎はJRの隣にあるのですが、JRが「鷹ノ巣」、秋田内陸縦貫鉄道が「鷹巣」と、表記が微妙に違います。気になって調べてみると、付近では「鷹巣」表記の方をよく見かけます。
ふと、私の出身地西宮市のJR駅「西ノ宮駅」を思い出しました。昔は地名でも「ノ」を入れる表記が普通だったのが、いつしか地名「ノ」が外れ、でも国鉄・JRの駅名変更は面倒らしく、今も駅名は変わらないままです。ここもおそらく同じような事情があって、ただ第三セクターの駅名は割と柔軟に変えられるのか、結果として同じ敷地を共有する駅でも、表記が異なることになったのでしょう。
ただ、駅舎は違っても駅構内は一緒です。今朝出発したJR五所川原駅と津軽鉄道津軽五所川原駅と同じパターンです。
秋田内陸縦貫鉄道の路線は、100キロを超える秋田内陸線。現在は「スマイルレール」という愛称がつけられていますが、駅舎の中にある旅行センターの看板には、以前の愛称の「あきた♥美人ライン」が残っていました。
一方で「秋田犬ふれあいライン」という繁体字のポスターもありました。どっちなんだと思ったら、こちらは秋田内陸縦貫鉄道の南端角館から鷹巣、鷹ノ巣を経て、かつての同和鉱業小坂鉄道の終点旧小坂駅までだとか。
駅舎に入ります。改札上の案内板には、ダイヤ改正まもない新時刻表のプリントが貼り出されていました。
いまや稀少となった有料の急行列車が下りは1日2本、うち1本は区間運転ですが、それでも残っています。厳しい経営状況が続く内陸線ですが、何とか頑張ってほしいと思わずにはいられません。ダイヤの都合で、今回乗れないのが申し訳ないのですが……
というわけで、今回は普通列車の途中乗り継ぎで、鷹巣から角館まで向かいます。運賃1,670円を2人分払うと、受け取ったきっぷは入鋏済みでした。最近はこういうハサミを入れることも少なくなりました。
改札が始まり、ホームに向かいます。沿線が阿仁マタギで知られるためか、クマのキャラクターのイラストが出迎えてくれました。
ホームに止まっていたのは単行のワンマンカー。秋田内陸縦貫鉄道はもともと南北に分かれていた国鉄線を引き受けたもので、その後の延長開業で南北がつながったのが30年ほど前、この車両はその時期から走っているベテランです。
ただ、スタイルは当時の第三セクターにはありがちの軽快気動車。正面の塗装自体も目立つものではなく、よくあるワンマン運転の車両だと思ったのですが、
車内は犬の写真でいっぱい。スマイルレールより秋田犬ふれあいライン優先なのでしょうか。それにしても、物凄い量です。
そしてクロスシートのカバーを見ると、何やら模様が入っています。
はたしてこちらも犬の図柄で埋め尽くされています。
この車両、ワンマンカーだと思ったらワンワンカーでした。
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