春というにはまだ早いある日、山形のローカル線を旅しました。
山形から列車を乗り継いで降り立った駅は、いまだ空も地も雪の中。どのような謂れがあるかも分からない鐘が、ただ立っています。
長く伸びる行き違いの線路。かつて蒸気機関車が貨車や客車を率いて行き来した跡です。
駅前を散策しようかと思って外に出ましたが、この天気。一瞬で引き返します。
ここはJR米坂線、羽前小松駅。国鉄時代末期に駅の管理を委託されてきた業務管理組合を、地元で設立されたNPOが引き継ぎ、駅を守っています。
駅で乗客を出迎えるのは、ショコ・ラ・ダリヤ駅長、人呼んで「しょこら駅長」。
何処からともなく流れ着いた羽前小松駅で保護されるうちに駅にすっかり馴染んでいき、ついに駅長に就任した経緯の持ち主です。
この日も駅長は駅舎の中を巡回中。見知らぬ利用者がいてもまるで動じません。
一仕事終えて駅の窓口へ。奥には専用のベッドもあって、駅務の合間に昼寝もできます。
そのしょこら駅長にとって、山形県は置賜地方で先輩格に当たるのが、山形鉄道フラワー長井線宮内駅のもっちぃ駅長。実際に対面したこともあれば、SNS上でも交流を続けています。
大雪の中、米沢からの列車がやって来ました。ここからは宮内駅に向かうべく、列車に乗ることにします。
羽前小松から今泉に出て山形鉄道に乗り換え、宮内駅にやって来ました。
行き違いの列車も入ってきました。春の景色を纏った列車が、いつ消えるともない雪の中の駅に佇みます。
駅長室にお邪魔しました。年季の入った金庫の上で、大きなミッフィーのぬいぐるみが出迎えます。
こちらは駅長ミッフィーに、駅長のかぶりもの。山形鉄道の鉄道むすめ「鮎貝りんご」も、駅長と一緒です。
そういや、こんなこともありました。
もっちぃ駅長に再会。分かりにくいかも知れませんが、手前で休憩中です。
もっちぃ駅長については、以前に宮内駅を訪れた時のエントリで書いていますので、よろしければご参考に。
ふと立ち上がった駅長。
入念に毛づくろい。
身だしなみを整えて、再び待機します。
駅の中には、しょこら駅長の紹介もありました。
しかし考えてみると、人間の駅員がついていたとはいえ、どちらの駅長も落ち着いたものです。
ちょうどお昼時。駅の近くを歩いて、お昼ご飯を食べられそうなところを探します。
少しばかり歩いたところで、ラーメン屋さんが見つかりました。まずは温かいものにありつければありがたいと頼んだラーメンは、思ってもいない大きなチャーシューを載せて出てきました。
温まって駅に戻ると、待合室にはなぜかムーミン。どうやらイベントで使ったかぶりものを置いているようです。
再び駅長室。駅長は引き続いてお昼休み中です。
2010年に宮内駅にやって来て、かなりのベテランの部類に入る駅長。まだ寒い中で無理をすることもありません。
何をするでもなく時間は過ぎていき、そろそろ帰りの列車が来る頃です。残念ですが再来を期して、駅を後にします。
構内踏切を渡ったホームから、なぜかピントが外れた駅舎を眺めます。次に来られるのはいつの日か……
赤湯行の列車がやって来ました。
しょこら駅長、もっちぃ駅長、また……また会おうね!