当方が執筆した書評が『日本モンゴル学会紀要』第49号に掲載されました。全豪に続いての書評掲載です。
今回私が評させていただいたのは、島村一平編(2018)『大学生が見た素顔のモンゴル』サンライズ出版。島村先生のゼミ生たちが、モンゴルに赴いて調べ上げたモンゴルの「素顔」から書き上げた卒業論文集を刊行したものです。
卒業論文は学部生にとっての集大成ですが、研究者が扱う「研究」と同格のものとして扱われることはあまりありません。私自身、論文で過去の卒業論文を引用した経験はないはずです。
しかしながら、今回拝読したそれぞれの論文には、そのような研究者のモノサシではとらえられない魅力がありました。それはまさに、それぞれの著者がモンゴルに飛び込み、ザロー(若い奴)としての奮闘の中で目にしてきた「素顔のモンゴル」に他なりません。書評でもこの点を高く評価したつもりですし、それが読まれた方に伝わることを期待するばかりです。
これで2年連続で当方の書評を掲載していただきました。それだけに、願わくば今度は拙書の書評をぜひ……
というのもありますが、それ以上に卒業論文の出版というのに刺激されています。大学教員として、私も出版に足る論文を学生に書いてもらいたいですし、その暁には著書刊行でも雑誌掲載でも実現させたいです。そのために、できる支援はぜひやりたいと思っています。
ちなみに、前号48号で掲載された書評については、こちらのエントリで記しております。
また、このほど刊行から1年を経て、モンゴル学会ウェブサイトで全文PDFが公開されました。下記リンク先からご一読いただければ幸いです。
■ 書評:風戸真理・尾崎孝宏・高倉浩樹編『モンゴル牧畜社会をめぐるモノの
生産・流通・消費』東北アジア研究センター叢書第58号2016年