2017年、2018年と休止していた大豊町南大王集落の福寿草まつりが復活しました!気にはなっていながら、体調面もあってなかなか行けなかったのですが、妻の助けを得て何とか最終日に訪れることができました。
高知道大豊インターから国道32号線に出て北上、さらに酷道ヨサク、もとい国道439号線(と言っても2車線の快適な区間ですが)の単独区間に進んでトンネルを2つ抜けると、いよいよ南大王集落への細い道に分け入ります。手前の怒田集落では、久々の出番となった福寿草祭りの大きな案内の幕が掲げられています。
そして、怒田から南大王への道路には横断幕が渡されています。誇らしげにすら思えるゲートを目にして、感慨もひとしおです。
が、ここからの道路はさらに難関。鬱蒼とした森の中、マイクロバスが通れるか通れないかの幅の道が2キロ程続きます。ガードレールも途切れがち、酷道マニアならご存知「落ちたら死ぬ!!」のフレーズが頭をよぎりますが、無事南大王集落、コミュニティセンター前の駐車場に到着しました。
福寿草の里の遊歩道の案内板。受付で管理料500円を支払い、福寿草の自生地を通る遊歩道を歩いていきます。
福寿草まつりの横断幕をくぐると、上り坂の遊歩道が始まります。石畳ですし、足元には気をつけないといけません。
写真だとどうしても分かりづらくなってしまうのですが、遊歩道の左右の斜面、あちこちで黄色い福寿草が咲いています。
こちらだと、少しは見えやすくなったでしょうか。
この日は生憎の天気で、ほとんどの花がうつむき加減。
それでも、探せば大きく開く花もあります。
ふと見ると、福寿草の傍らで蕗が顔をのぞかせています。昼間の気温が10度もなさそうな山里も、晩冬から早春、早春から春へと、季節は着実に移っています。
ここは四国の真ん中の急峻な山の中。ふと振り返ると、駐車場からかなり登ってきたことをあらためて実感します。
遊歩道の傍らに、順路を示す旗が立てかけられています。かなり使用感が出てきましたが、今日いっぱいで御役御免です。
多く実をならせた南天の木。その下でも、福寿草が各所で咲いています。
さらに急な坂道が続きます。冬枯れの木々が芽吹くのはまだ先のようですが、それでも福寿草が春を告げています。
林の縁をなぞっていく遊歩道。行き止まりのように見えるかも知れませんが、さらに坂の上へと続いています。
降り出した雨に福寿草が濡れています。日の光を浴びれば、それから大きく開きそうなだけに、天気が残念でなりません。
遊歩道からは谷の向こうが見渡せます。ちぎれて流れる雲が過ぎた先にあるのは八畝の集落。南大王に来るのに、何回か通ったことはあるのですが、結局立ち寄らずじまいです。
足元に目を戻します。やはり満開とはいきませんが、それでも本当に多くの福寿草です。
林の縁から離れ、さらに登ると、遊歩道は棚田の跡を通ってゆきます。彼岸花ではありませんが、歩き続ける、福寿草もまた咲き続ける。
遊歩道をほぼ登り切ったところに、いくつも幟が立っています。この奥に休憩所が設けられています。
集会所にも歓迎の幕が掲げられています。そしてご覧の通り、福寿草が他の場所にも増して群生しています。
陽光を待つ花、そぼ降る雨も何するものぞと咲く花、花はそれぞれ。
福寿草まつりは今日までですが、花にそんなことは関係なし。 これからまだまだ咲き続けようとしています。
集会所の傍らでは、まだ新しそうな祠が、福寿草に囲まれています。
手伝いに来ていた同僚の案内もあって、祠の近くで、何とか開かんとする花をいくつか見かけました。
雨に濡れても、強く可憐に咲く花。
こういうとき、写真の腕の無さが悔やまれます。
さて、一通り遊歩道は通ったので、休憩所に行くことにします。手前には売店があり、福寿草をイメージしたお寿司などもあります。
休憩所には大きな囲炉裏があり、寒風の中を歩いてきた人を暖めてくれます。
奥の方が暖かいというので、こちらで火に当たらせてもらうことにしました。囲炉裏の周りには芋や豆腐の田楽が刺さっています。
ピントが見事にずれましたが、中にはソーセージもあったりしてハイカラです。
囲炉裏が大きい分、換気口も大きいのができています。祭りがない間は施錠され、使い道もなかったようですが、再び日の目を見ることができました。
休憩所の中には、地域の方々による福寿草の唄の歌詞が掲げられています。と、以前も書いた気がしていたら案の定だったのですが(苦笑)、久々なので、あらためて。
ちなみに、その以前訪れた時のエントリをば。
同じく掲げられている福寿草の里の唄。
こちらは前回同様、見づらい写真になりました……
ちょうどお昼の時間です。身体が冷え切るといけないので、うどんを頂きました。
休憩所の外、福寿草の咲く斜面の向こうで、今も残る棚田が田植えを待っています。
休憩所で聞いたところでは、今年は1,800人を超える来場客が来られたとのこと。初日と最終日で雨に降られたのですが、雪が積もってしまうことを考えれば、この程度で済んでよかったのかも知れません。
帰りは元来た道を戻ります。集落の周りは、すっかり雲で囲まれてしまいました。ここからは見えませんが、下の谷あいも雲で埋まっているような気がします。
途中では梅も見頃を迎えています。
大きく開いた花。個人的な事情もありますが、いつの間にか冬が消えていったような感覚です。
散歩を終えて、再び駐車場へ戻ってきました。
3年ぶりの開催を無事に終えようとする福寿草まつり。ここまでは、南大王集落の方々はもちろんのこと、一帯の東豊永地区や町役場の方々のご尽力がありました。また手前味噌になりますが、高知大学地域協働学部では現3年生以外で東豊永地区を実習地とするクラス・班があり、教員も含め福寿草まつりの開催を手伝わせていただいております。
もっとも、私はと言えば特に何をしたでもなく、単なる賑やかしです(苦)これが宣伝ぐらいできれば良かったのですが、今となっては期間も終わり、完全に遅きに失しています。
そんなわけで、何も偉そうなことを言える立場にはいないのですが、それでも人口10人の集落が、その誇りを取り戻さんとする努力が実を結んだことは、せめて発信できればと思っています。そしてその努力が、来年以降の祭りの継続につながることを願ってやみません。