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地域系学部というのに加わった大学教員による高知発モンゴル発のいろんなモノゴトや研究(?)もろもろ。

「佐渡裕指揮日本センチュリー交響楽団with反田恭平」高知公演に行ってきました

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 世界有数の指揮者佐渡裕と、今ノリにノッてる気鋭のピアニスト反田恭平が、日本センチュリー交響楽団とともに高知にやって来た!西日本中心のコンサートツアー最終日、チケット完売の高知公演に行ってきました。

 

 

 この公演は、日本センチュリー交響楽団が先月後半から続けてきたツアーの最終日に当たるものです。堺を皮切りに東は羽島(岐阜県)、西は佐賀、北は米子、南は鹿児島まで、12日間で11公演。この日は前日公演のあった松山から午前中に移動と言いますから、よくもつなぁというのが率直な感想です。

 しかも、指揮者はベルリン・フィルをはじめ世界一流のオーケストラが認めるマエストロ・佐渡裕、そしてピアノ独奏はデビュー以来強い人気を誇る反田恭平、よくぞ高知まで来たものだと驚くべきレベルです。これでチケットの売れ行きが寂しかったら申し訳ないのですが、早々に完売とのことでホッとしました。

 さて、今回のプログラムはラフマニノフのピアノ協奏曲第3番と、ドヴォルジャーク*1交響曲第9番新世界より」の2曲です。ラフマニノフのピアノ協奏曲と言えばフィギュアスケート浅田真央元選手が演技で使った第2番が有名ですが、今回は難曲中の難曲第3番です。

 ところで、ピアノ演奏を経験された方で、ラフマニノフの作品を見て「指が届かないから無理!」と思ったことのある方、先生怒らないから手を挙げてください(その目は優しかった)。甘美なメロディ・メーカーの印象が強いラフマニノフですが、ピアニストとしては生まれもっての大きな手と鍛え上げた技巧の持ち主で、ピアノ曲も彼の特性がいかんなく発揮できるように作られています。ですので、体躯に恵まれた人でもない限り、ラフマニノフの作品を演奏するには独特な困難が付きまとうようで、相当の努力と工夫が必要になります。

 


IGUDESMAN & JOO - Rachmaninov had big Hands

 

 ピアノ協奏曲第3番は、そのようなラフマニノフの作品の中でも、とりわけ難度の高い作品です。ところが、反田氏の演奏はそんな最難関を正面突破するものでした。技術や表現力に対する高い要求に対し、十二分に応えられることを見せつけたばかりか、むしろこの曲を弾きこなせている、自家薬籠中の物としているという印象すら受けました。だからといって、楽々弾いてますというような抜けた感じはなく、最後の最後まで良い意味での緊張感が感じられる、レベルの高い演奏でした。

 しかし、あの年齢でここまで弾けるとなったら、この先どこまで長じることでしょうか。末恐ろしい気すらしてきました。

 そして「新世界より」。言わずと知れた名曲です。個人的な話ですが、学生オケでテューバを吹いていた私が、オーケストラで演奏した最後の曲で、思い入れのある作品です。もっとも、そんな思い入れでもなければこの作品、テューバ吹きにとっては悪い冗談でしかありませんが……この辺は愚痴りだしたら長いので、知りたい方は脚注を読んでください*2

 閑話休題。こちらも期待に違わぬ好演でした。佐渡裕氏はデビュー直後にこのオーケストラ(当時大阪センチュリー交響楽団)の首席客演指揮者を務めていて、今も良好な関係を続けているようです。そんなこともあり、演奏からはオーケストラがマエストロの、そして作品が両者の手に馴染んでいるとの印象を受けました。テンポ、強弱、表現等々、実に自由自在に扱えていると感じたのです。11回のツアーを共にしてきたことを考えれば当たり前と言えなくもないですが、逆に言えばツアー最終日で疲れも出てきそうなところでもあるわけで、そこで何ら疲労感を感じさせない演奏だったとは言えるでしょう。

 

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 アンコールでの演奏作品はこちら。アンコール後も喝采はなかなか収まらず、終了のアナウンスがあってからも、舞台を退く奏者に拍手が送られていました。

*1:今回のプログラムのように「ドヴォルザーク」という表記が以前からよく使われますが、本文での表記の方が少しは原語に近くなるためか、最近しばしば見かけるようになりました。ま、どのみちカタカナで正確に表せる音じゃないんですけどね。

*2:40分以上の大作で、テューバの出番は第2楽章のたった8小節のみ。シンバルが一発だけというのも知る人ぞ知る話ですが、打楽器奏者は別のところでトライアングル持ち替えになるので出番はもうちょっとあります。ドヴォルジャークは作品内で一部の楽器を一瞬しか使わない悪癖があって、交響曲第8番はもっと酷いことになってます。