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「地域」研究者にして大学教員がお届けする「地域」のいろんなモノゴトや研究(?)もろもろ。

「オーケストラ・キャラバン」東京都交響楽団高知公演に行ってきました

 

 今年2022年もオーケストラ・キャラバンによる東京都交響楽団の高知公演が実現。個人的に思い入れのある作品もあり、聴きに行ってきました。

 

 

 芸術文化のコロナ禍克服を目指した「オーケストラ・キャラバン」が2022年も実施されます。

 

www.orchestra.or.jp

 

 高知県では8月29日に東京都交響楽団がオレンジホールで、パシフィックフィルハーモニア東京が土佐市のつなーでで9月4日に演奏会を行います。ただ都合で後者には行けないので、今回は都響の演奏会に行ってきました。

 今回も指揮は実力派の下野竜也氏、ソリストには若くして国内外のオーケストラと共演を重ねている牛田智大氏を迎えます。プログラムは、オープニングがニコライ「『ウィンザーの陽気な女房たち』序曲」、サブメインがベートーヴェン「ピアノ協奏曲第4番」、メインがドヴォルザーク交響曲第8番」です。

 まずはオープニング。あらためて聴いてみると、ドタバタしたかと思えば急に緩んだり、戦後アメリカのコメディアニメに出てくるような作品です。というとネガティヴに聞こえるかも知れませんが、そういうつもりではなくて、むしろ曲(歌劇自体も?)自体のコミカルな内容や展開を活き活きと再現した楽しい演奏だったと思います。

 サブメインは当時の協奏曲のパターンを逸脱した作品です。いきなりピアノ独奏ですし、第1楽章が全曲の半分以上を占める一方で、第2楽章は非常に短く、第3楽章と合わせた2部構成にすら聞こえます。

 そんな曲をソリストは自在に操っていて、特に長大な第1楽章が終わった直後は、会場から拍手が相次ぐほどでした。1人2人が勘違いしたようなレベルではなかったです。それだけ白熱した好演でした。

 そしてメインのドヴォルザーク。私にとってはオーケストラで初めて演奏した交響曲で、ただただ懐かしい思い出のある作品です。

 今回の演奏は概してテンポが早めで、ダイナミズムを感じるものでした。押して押して押しまくった感のある第1楽章、場面転換が鮮やかだった第2楽章、第3楽章のこれぞスラヴというワルツから一転してコーダに入っての疾走感、そして騒々しいほどの活気に満ちた第4楽章(冒頭は面喰いましたが)、いずれもライヴでこそ聴けて良かった演奏でした。

 国内第一級のオーケストラが高知にやってくる機会、今後もぜひ継続してほしいものです。

 

 

 ソリストとオーケストラのアンコール演奏作品はこちら。プーランクの作品は歌曲を編曲したもの。まさに今この時代のクラシックです。