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「地域」研究者にして大学教員がお届けする「地域」のいろんなモノゴトや研究(?)もろもろ。

2023モンゴル訪問記録(3)チンギス村へのエクスカーション

 

 ウランバートル国際シンポジウムの2日目、市内中心部からほど近い「チンギス村」に行きました。7年ぶりの訪問です。

 

 

 「チンギス村」はウランバートル中心部から少し南西、チンギス・ハーン国際空港に向かう道の途中で寄り道できるぐらいのところにあるツーリスト・キャンプです。私にとっては2016年の国際モンゴル学者会議以来の訪問になります。

 

www.tripadvisor.jp

 

www.3710920.com

 

 

 現地について見ると、何やら青いテントが張ってあります。いろいろな国の旗も立っていて、何やら賑やかです。

 

 

 青色のスタンドが左右に広がっていて、その裏で馬が連なっています。昔の地方のナーダムでも見た風景です。会場まで馬で来た人たちがスタンドの裏で駐車、いや駐馬しているのです。


 

 観覧席のところを見ると、ステージがありました。何かの大会のようです。

 

 

 ステージの横の垂れ幕を見ると、騎射の大会が行われているとのこと。しかも今日が最終日です。

 


 さらに6日からは世界選手権も行われるようです。

 競馬と弓術を「国技」とするモンゴルですが、騎射を見る機会は意外とないんですよね。これはちょうど良い時に来ることができたものです。

 

 

 選手たちが練習を終えて、大会が始まりました。

 モンゴル語の場内アナウンスによれば、選手は直線コース上で5つの的に向けて矢を放ち、合計得点を競います。ただし18秒の制限時間があり、それを超えると原点があるようです。

 

 

 判定は人力です。判定を記録するのも人力です。

 

 

 参加者の出身国はさまざま。日本からの参加者もいます。

 

 

 村内を見ると、アメリカと中国のチームがそれぞれゲルでキャンプを張っています。

 

 

 ロシア代表のゲルもありました。

 これから世界選手権も含めて1週間ほど、世界の名手がモンゴルに集まるんでしょうが、スタンドを見るとほとんどが空席。こちらは長閑に見ることができていいのですが、それでいいのかという気はします。モンゴルで騎射が見られるとなれば、外国人観光客には格好のアピールになると思うんですけどね。

 まして世界選手権にはモンゴルの環境観光省や首都政府も協賛しているわけで、それで来場者がなかったら流石にマズいのではと思ってしまいます。いや、世界選手権になったら、ちょっとは客の入りも増えるのかも知れませんが……

 

 

 話は変わって、チンギス村には珍しいものが展示されているというので、見に来ました。これだけでは何なのか分からないと思いますが、実は、飛行機のエンジンの残骸です。

 

 

 これは林彪中国共産党元副主席が毛沢東主席(どちらも当時)の暗殺に失敗したいわゆる「林彪事件」の際、逃亡に用いられ、モンゴル領内で墜落した飛行機のエンジンとのことです。

 

www.y-history.net

 

 傍らにはモンゴル語、英語、中国語の説明版が置かれていますが、モンゴル語と英語はまだしも、中国語の説明までも林彪の当時の肩書を簡素ながら明記していて意外でした。もっとも、モンゴルに中国の内政や党の事情など、関係ないと言えばないのですが。

 

 

 これがエンジンの残骸です。ただ航空機にはまるで詳しくないので、もともとどういう形状のものがどうしてこういう形になっているのかは全然分かりません。

 

 

 一方、すぐ近くには岩のようなものが連なっています。ただ、実際は岩ではなくて、木の化石とのことです。

 

 

 案内板によれば、これは1億4000万年~1億5000万年の木が石化したもので、モンゴル南部のウムヌゴビ県で発見されたそうです。それがどういう理由は分かりませんが、この施設の観光客向けに運び込まれたとのこと。

 

 

 お昼ご飯の時間になりました。この日は予約が多く、少し待つことになりましたが、中央の大ゲルで昼食です。

 

 

 モンゴルでお馴染みのホーショール。一般的な肉のホーショールと、野菜のホーショール、内臓のホーショールの3種類です。

 大きい、それにしても大きい。ピクルスや手前の木の節と比べていただければ、お分かりいただけることでしょう。

 

 

 こちらもご存知ツォイワン。前世紀を辛うじて知る者からすれば、生のキュウリが添えられることに隔世の感があります。

 そして、こちらもこちらで量が多い。ツォイワンは相対的に胃もたれしない料理なのですが( #意見には個人差があります )、それでも結構、きます。

 

 食事も終えて場内を一通り見て、ウランバートル中心部に戻ります。ただトーラ川を渡る手前辺りに差し掛かると、道路中央の緑地帯に警察官が多数並んでいます。2~3mおきに1人、異様なものものしさです。

 聞けば、モンゴル来訪中のローマ教皇の車列が対向車線を通るという話です。驚いていたら、はたしてパトカーのサイレンが聞こえてきました。

 そして先導車両に続いて、ローマから運ばれてきたという教皇専用車両が、目の前を通過していきました。安全上の理由から写真は掲載しませんので、実際に見たのを信じるかどうかは読者の皆様次第ですが、専用車両については以前下記の新聞記事で見ていたので、見間違いではないとは思っています*1

 

ikon.mn

 

 後でチェックした報道と照合すると、教皇はこのときモンゴルで活動する宗教者らとの会議への出席を終え、別会場で行われるミサ会場に移動していたようです。

 こちらが宗教者会議の記事。

 

montsame.mn

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 そしてこちらがミサの記事です。

 

montsame.mn

www.reuters.com

 

 チンギス村では現代史の遺物を見て、今まさに進行中の現代史を目の当たりにしたわけで、騎射大会も含めて、本当にお腹いっぱいの一日になりました。もちろん物理的にもですが。

 

 

 中心部への帰りに立ち寄った、モンゴルカシミア最大手ゴビ社の直営ショップ。日本の無償資金協力で建設されたゴビ工場としてご存知の方も多いことでしょう。

 ただ、社会主義時代の工場併設の売店という殺風景さは無く、カフェまで併設されたお洒落な空間になっていました。

 

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*1:ダミーの可能性もありますが、はたしてそこまでするかどうか……