第20回世界社会学会議、いよいよ開幕します。この日は開幕式典とウェルカムパーティーに出席します。
世界的な物価上昇に円安も加わって、メルボルンの物価は日本よりはるかに上がっています。とはいえ大舞台に備えて食事をいい加減で済ませるのもリスクが高い。幸いにしてホテルの近所にスーパーがあったので、そこで比較的安い食料を買い込みます。
この日のお昼は割引のサンドイッチ。世界社会学会議の会場でもカフェテリアやテイクアウトの食事はあるのですが、飲み物までつけたら20豪ドル近くになってしまうんですよね……
さらに大型のパンも購入。これを1日1個ずつ、さらにいろいろ付け合わせを買って、基本夜も外出せずに凌ぐことにします。
会場近くにやって来ました。オープニングセレモニーは夕方から開催。南半球は冬なので、日が暮れるのも早いです。って考えれば当たり前のことなんですが、実際に経験してみるとその事実を肌で感じます。
やっぱりアタマで「分かっている」だけでは現実味が伴わないですし、それで現地に暮らす人への理解は難しいんだなと、地域研究者としてあらためて実感します。
オープニングセレモニーが行われるメルボルンコンベンションセンターに来ました。ここで受付を済ませ、ネームプレートをもらいます。
ホールに入ろうとすると、スタッフから「バッジはありますか?」と尋ねられます。あれ、バッジなんかあったっけ、と思ったら、首からぶら下げていたネームプレートを確認してOKでした。日本だと「ネームプレート」ですが、英語だとこれがbadgeなんですね。
ホール壇上には、会議開催のスポンサーや協力団体を記したボードが立っていました。
その横には「NARRMへようこそ」とのボード。詳しい説明が書いているようなのですが、なにせ文字が小さく読めません。
オープニングセレモニーが始まりました。まずは先住民ウルンジェリ(Wurundjeri)の人々による発煙セレモニーが行われるとともに、「メルボルン」として知られるこの地、Narrmで暮らしてきた先住民の系譜が語られます。
不案内な私にはその内容を逐一理解することはできなかったのですが、「来てもいない女王の名前でこの地を呼ばれるいわれはない」という言葉だけは覚えています。確かに、何がどう「ヴィクトリア」州なのか、と言われたらそうですよね。
土着の植物を燻して煙を発生させ、歓迎の意を表すセレモニー。会場にハーブの香りが漂い、会議が始まる緊張感を和らげます。
ウルンジェリの人々による歓迎の踊り。前回のトロントでも、ファーストネーションの人々がさまざまな場面で登場したのを思い出しました。
続いて、次回第21回大会のホストシティ紹介。開会式で気が早いことと思われるかも知れませんが、世界社会学会議では恒例になっているようです。
そして気になる開催地は韓国・光州に決定。実はメルボルンに来る前、第21回はどこで開催されるかというのを考えていて、アジアなら一番可能性が高いのが韓国、さらに世界社会学会議のことだから、あえてソウルは外すだろうと思っていました。日本は2014年に横浜で開催したばかりですし、他は外交関係や政治体制、あるいはロジスティクスの問題で難しいと判断したのです。
ただ、先に書いた通り横浜大会から間もないだけに、アジアでの開催はもう少し後になるのではないか、だとしたら次はヨーロッパ、それもポルトガル辺りではなかろうかという予想になったのですが……外れました。途中までの考えが合っていただけに悔しいです(苦笑)
ともあれ、光州での開催というのは、現代韓国の歴史を考えれば非常に意義深いことです。個人的な話になりますが、私にとって韓国の「原風景」とは第五共和国、全斗煥大統領時代に毎日のように報じられた民主化闘争ですし、光州広域市の周辺を囲む全羅南道は高知県と姉妹交流を結ぶ自治体なわけで、縁を感じずにはいられません。
何より、韓国なら最悪自腹でも行き来はできなくはありません。研究費?航空券が買えるかどうかというわけで、4年後の大会、是が非でも行かなければいけません(使命感
なお、開催地代表のスピーチの途中、メクチ(ビールとチキン)の話が出たところで、会場から拍手が上がったことをご報告します。そりゃ韓国に行くとなったら楽しみにはしますよね。
ただ、それが目当てで行こうってわけではないですからね私は。断じて言いますが違いますからね!(強弁
続いて会長講演。なのですが、流石に中身まで書くのもどうかと思うのでってかきちんと理解できてない気がするし省略します。
オープニングセレモニーもつつがなく終了し、ロビーでのウェルカムパーティーに移りました。軽食とドリンクが大量に用意されています。
既に21時前、お腹がペコペコです。まずはしっかり飲んで食べて。
器と盛り付けに東アジアのテイストを感じます。この辺は移民の多さも関係しているのかも知れません。
海に面したNarrm。カキフライが出てきました。
こちらは生牡蠣。南半球なのでr monthなど関係ありません。
ちなみに牡蠣はスタッフがその場で貝殻をナイフで開けて提供するのですが、ケガしないように手には金属製の手袋をはめています。ご苦労様です……
景気づけで存分に飲みたかった気持ちもあるのですが、何せ明日明後日と報告です。少なくとも主観的には、早めに切り上げることにしました。
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