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「地域」研究者にして大学教員がお届けする「地域」のいろんなモノゴトや研究(?)もろもろ。

第20回世界社会学会議参加記(8)Narrmを歩く

 

 1週間続いた世界社会学会議が終わり、帰国の日になりました。午後に発つので、それまで市の中心部を巡ることにしました。

 

 

 

 が、いきなり悲報。楽しみにしていた35系統のレトロ電車、昨日からの道路工事で運休になるそうです。どうしても乗りたかったらもう一度来い、ということですが、こちらに来る仕事ないかな……

 

 

 ただ、今日ばかりはどうしようもありません。他の電車で市内を回ることにします。

 Narrmは路面電車が市内を走り回っています。特に、路線図で色のついている中心部は無料区間となっているのです。

 高知でもとさでんが以前社会実験を行っていましたが、中心部のにぎわいづくりや自動車規制を考えるなら、このぐらいは恒常的にやらないといけないのかも知れませんね。

 

 

 路面電車がやってきました。超低床電車が導入される前から走っている(はずの)車両です。

 

 

 電車が停まってドアが開くと、乗降中なのを知らせるボードが出てきます。

 実はこれ、NHK-BSのフィラーで何度も見たことがあったので、ホンモノを目にして結構感動です。

 

 

 市内を歩いていると、模型店の前にさしかかりました。見ると、なにやら日本のモノっぽいのがあります。

 

 

 展示されていたのは往年のアニメの模型。これ、ひょっとして日本でも貴重なんじゃないですかね?教えてエラい人。

 

 

 さらにこんなモデルもあってびっくりです。

 外国に行って日本のモノがあると、どうしても気になってしまうものですが、歩いて見るとこの街、あるわあるわ。

 

 

 こちらは日本料理店。大都市なのであっても全くおかしくないのですが、中心街を歩くとあちらこちらで見かけます。

 

 

 そうなると店ごとの差別化も必要ですし、店名もキャッチーなものが求められるわけですが、にしても「主人公」というのは謎です。さださんのファン?

 

masasingtown.com

 

 

  フリンダー通り駅の前の広場に来ました。階段の両側のパネルが気になります。

 

 

 見ると、アボリジナルの人物に関するものでした。

 こちらはAunty Winnie Quagliottiの写真。「ウルンジェリの長老らはこの国を訪れるものに対して常に責任を感じてきた。それには今まさにある人々や植生、動物や環境への世話と尊敬という役割も含まれる。ウルンジェリの人々にとって自然界とは文化世界でもある。よって、われわれは文化財のみならず自然の景観の保護に特に関心を持っている」(試訳)という言葉が記されています。

 

 

 という感じで、人物と言葉のパネルがあるのですが、すべて訳す時間がないので、ひとまず写真のみお見せします。

 

 

 こちらは19世紀を生きたウルンジェリの女性の写真。

 

 

 アンクル・ウィリアム・バラック氏とあります。この「アンクル」のニュアンスがなかなか難しい。「おじさん」「伯父さん」「叔父さん」「小父さん」どれもなんかしっくりきません。

 

 

 ましてこちらの「グラニー」。「おばあさん」「ばあさん」で良いのかどうなのか。

 

 

 こうしてみると、世界社会学会議のセッションごとに聞いた先住民への謝辞が、閉じられた「知識層」だけのものではないのだろうな、と思います。

 

 

 さらに歩いて、ヴィクトリア州の政庁の前まで来ました。

 二つの旗が掲げられていますが、どちらも国旗ではありません。左側はオーストラリア先住民のうちトレス海峡諸島住民の旗、右側はアボリジナルの旗です。

 今日は7月第1日曜日。オーストラリアではこの日から第2日曜日を「NAIDOCウィーク」として、先住民たるアボリジナルとトレス海峡諸島民の受難を記憶し、文化を祝福するのだそうです。

 

www.sbs.com.au

 

 

 見えにくいですが、州議事堂にも二つの旗が翻っています。

 この時期にNarrmで世界社会学会議を行ったのは通例に従ってという面もあるのでしょうが、それだけではないものも感じます。少なくとも、この時期のNarrmを見ることができたのは、私にとって何物にも代え難い経験です。

 

 

 州議事堂前からトラムに乗って、ウォーターフロントまでやって来ました。帰国に際してお土産をどうしようかと思っていたのですが、ここに土産物店があるのが分かったたので、行ってみることにしたのです。

 で、来てみたら、

 

 

 キティ姐さん、ホントどこにでも出てきますね。

 高知で土佐犬の根付を見た時には、姐さん猫ですよね、と思ったものですが。

 ただこうして見ると、コアラがオーストラリアのアイデンティティであることを再認識します。なのでいろいろなコアラのぬいぐるみやイラストを見かけるのですが、

 

 

 全裸中年コアラ。

 帽子をかぶっているのがかえって怪しさを醸し出します。

 そりゃコアラにだって中年男性がいてもおかしくないのですが、ドアラ以上におっさんなコアラは初めて見た気がします。

 

 

 無事お土産も調達したので、中心街に戻ります。この日は雨が降ったり止んだりとある国はまるで向かない天気、電車がタダなのは本当にありがたいです。

 

 

 電車を降りると、今度は日本料理店に加えて日本語の看板の診療所が出てきました。

 ちなみに、「和牛」は英語化していて、テレビCMでも普通にWagyuって言っています。

 

 

 またも日本料理店発見。この街では日本食が定着しているのかも知れません。

 ただ問題は、うどん居酒屋という店を日本で見たためしがないことです。

 そして、先程見たような模型店は他にもあって、

 

 

 ガンダムは良いとして、なんて書いているんでしょうか……

 

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