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地域系学部というのに加わった大学教員による高知発モンゴル発のいろんなモノゴトや研究(?)もろもろ。

高知交響楽団第168回定期演奏会・第1793回トヨタコミュニティコンサートに行ってきました

 

 第1793回トヨタコミュニティコンサートとして開催された高知交響楽団第168回定期演奏会に行ってきました。まぁ、すんげープログラムでした。

 

 

 高知交響楽団の昨年暮れの定期演奏会、次回のプログラムを見た時は、それは驚いたものです。普通の演奏会ならオープニングで短めの曲、サブメインが中くらい、メインがそれなりに規模のある曲で、メインが長ければオープニングとサブメインのどちらかをカットした2曲構成でもおかしくはありません。

 ところが、示されたプログラムは、言うならサブメイン、サブメイン、そして規模の大きなメイン。オープニングは他のオーケストラなら普通にサブメインで演奏しそうな「だったん人の踊り」、2曲目サブメインはソリストを招いてのシベコン、そしてメインはしばしばカット版が演奏されるほど長大なラフマニノフ交響曲第2番。失礼ながら、身体もつが!?と心配になったほどです。

 

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 ちなみに前回定期演奏会。タイトル画像でお分かりの通り、プログラム決定は2022年2月24日より前のことです。

 というわけで、正直冒険的とすら感じるとはいえ、気になるプログラムであることは確かです。そして指揮者は秋山和慶先生、傘寿を超えてなお第一線で活躍されるマエストロです。聴きに行かないなどあり得ず、昨日オレンジホールに行ってまいりました。

 で、結論から言いますと、高知交響楽団、そんなプログラムを難なくやってのけました。以下、それぞれについて。

 

 CDでは何度となく聞いた曲ですが、実演は初めてかも知れません。全体のバランスが整うのに(もっと言うと木管が十分な存在感を確保できるようになるのに)時間がかかった感はありますが、のってきたら流石の迫力です。

 ちなみに個人的には金管低音の吹きっぷりが快感でした。学部生時代、ロリス・チェクナヴォリアンがナショナル・フィルを振ったCDを聴いて、バス・トロンボーンがあまりにバリバリ吹いていたのに呆気にとられて、しまいに爆笑したのを思い出しました(済みません、悪く言うつもりでは全く書いてないです)。

 

 もともとヴァイオリニスト志望だったシベリウスが唯一残したヴァイオリン協奏曲。ソリストの華やかな技巧を愉しむというよりも、むしろオーケストラとともに交響的な作品を創り上げるという別の難しさがある曲です。それでいて、技術的にも容易とはとても言えないわけで、好きな作品ながら、よくこんなの演奏する人がいるなぁという思いがないではありません。

 ただそれはさておき、良い演奏でした。第1楽章こそソリストのドライブに対してオケが指揮者に合わせるので精一杯な感があったものの、第2楽章からはハマっていたように思います。堀米さんは技術は折紙付きとして、中低音以下をしっかり聴かせることに長けているのではないかという印象を持ちました。そして第3楽章はお見事、会心の交響的空間でした。

 ちなみにソリストアンコールが何だったのかが分からなかったのですが、大バッハのパルティータからでしょうか。

 

 ロシアからアメリカに亡命したセルゲイ・ラフマニノフの作品の中で、おそらくもっとも知られている作品です。ともすれば第3楽章に代表されるあまりにも優美な印象で語られがちですが、冒頭の旋律が全曲の統一感を高める動機として機能していること、また第2楽章の「怒りの日」の引用に気づけば、この作品が単なる甘ちゃんではないことが理解できることでしょう。

 ただそれだけに、この曲を演奏するには、表面的な美しさを出すだけでは済まされないものがあります。しかも、技術的にも、規模的にも、時間的にも、演奏者への要求が高い難曲です。あげく、それまでの2曲の後です。

 ですが、高響、やってのけました。第1楽章提示部の繰り返しを省いたのは妥当な選択で、第4楽章再現部のカットがあったのは残念でした(とはいえあの再現部、微妙なんですよね……)。ただそれでもあれだけの大曲、最後の最後までテンションを切らさず、ガス欠に陥ることもなく演奏しきったのは凄いという一言です。

 それぞれの楽章に聴かせどころはありましたが、個人的には第4楽章が(カットがあったとしても)一番評価が高いです。それまで長く暗く覆いかぶさってきた冬が終わった、やっと待ち望んだ春が来た―第4楽章はそのような、ただひたすら喜びを爆発させるフィナーレです。その曲想が演奏にマッチしていたように思います。

 

 

 アンコールはアンコールでテンションの高い一品。流れからすればヴォカリーズ辺りになりそうなものですが、これはこれで高揚した空気感を引き継ぐ形で良かったと思います。

 で、パンフレットには次回のプログラムも書いていたのですが、これはこれで大丈夫かという組み合わせ。ま、何とかなるんでしょうけどね。