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「地域」研究者にして大学教員がお届けする「地域」のいろんなモノゴトや研究(?)もろもろ。

【地域実習振り返りレポート・2020年7月】4ヶ月有余の空白を越えて守ったもの

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  7月になり、ようやく学外での実習活動が再開されました。なので、久々に振り返りレポートを書いてみようと思います。

 

 

 前回のレポートを書いたのは2月末。

 

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 この時は、まさか、こんなに間が空いてしまうとは思いませんでした。

 3月に高知県内でも新型コロナウィルス感染者が明らかとなり、学外での実習は自粛。1学期は授業が全てオンラインとなり、教員も在宅勤務を余儀なくされました。

 ただ、緊急事態宣言が解除となる中で、6月には実習再開に向けた動きが始まります。学生が学内に出ることはまだできませんでしたが、各教員が実習地で活動再開について話し合ったり、現地と学生をオンラインでつなぐ等を試みました。佐賀北部班ではないのですが、高知新聞さんにこの間の活動を取り上げていただいたこともあります。

 

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 そして7月に実習再開。感染防止のためにさまざまな手続きや制限、対策を施した上で、ようやく学生も現地に行けるようになりました。

 当方が担当している3年生に関しては、現地に行けない中で学生が考案し、実習地の方々とやり取りを重ねてきた事業企画について、同月10日に直接の話し合いを行いました。

 企画の中身はまだナイショです(笑)ただ、やはり直接話を詰められたことで、実現に向けては進みましたし、実習先の方々がこの間に重ねてきたさまざまな苦労や対策を聞くことで、学生も深く感じるところがあったようです。

 

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 一方、24日には毎年恒例となりつつある川遊び大会を2年生が企画、3年生も手伝うことになりました。

 ただ、当日は高知市内で警報が出たり、汽車が止まるほどの大雨。現地からは「それほどでもないよ」というお話もあったのですが、行ってみると、

  

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 はい、無理ですorz

 この日に合わせて、2年生は地域の小学生と一緒に川魚を取る仕掛けを作って川に仕掛けるなど準備していたのですが、残念ながら中止になってしまいました。

 ただ、それでも地域のさまざまな方々とお会いして、お話を聞くことはできました。

 また、この日は1年生も参加。入学してからというもの、期待していたはずの実習に行けないばかりか、大学にも通えない日々が続いていただけに、少しでも地域に出る機会ができたのはまだ良かったです。本当は川遊びしたかったんですけどね。

 

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 どの大学、いや学校でもそうだったと思いますが、この4ヶ月余りの間は大変な試練でした。特に、学外での学びを軸に据えたわれわれのような、いわゆる地域系学部・学科にとってはなおさらです。大きい話に聞こえるかも知れませんが、レゾン・デートル(存在理由)が問われたと言っても過言ではありません。

 ただ、この間を振り返ってみると、地域に出られなかった中でも、行ってきたことの根となる部分は変わらなかったと思っています。この根幹を守り通せたことが、この間の最大の収穫と手応えだと思っています。

 それは、複雑で常に変化する、そして不確実な社会の中で、その社会を理解し、その理解に基づいて、社会がより良い方向に向かうよう働きかけることです。

 さまざまな地域で学ぶことの大きな目的のひとつは、学生が自らの将来を切り開くために必要な「学び続ける意思と力」を身に付けることにあります。この点は、おそらく学部の他の教員もあまり異論がないのではと思います。

 社会の変化や不確実性、あるいは不条理に振り回されるのではなく、立ち向かっていくための力を自らのものにすること。そのために、学生も教員も、それまで自らが得てきた常識や「当たり前」が通用しない地域社会に相対し、その理解を試みること、そしてただ理解しようとするだけではなく、その社会に対して自らの考えを投げかけ、他のさまざまな主体の支援や協力を得て、その実現のために尽力するのです。

 ところが、COVID-19パンデミックが露わにしたのは、「今ここ」の社会すら、不確実性で定まらないという現実でした。

 全く未知のオンライン授業にどう取り組むべきなのか。いつになったら実習に出られるのか、出られるとして、地域の方々とどう関わることが可能なのか。このまま地域に出られないとすれば、どうしたら地域の方々との関わりを守れるのか。

  あるいは、再び大学内で授業ができるのか。どうなれば、あるいはどうすれば、これまでの大学生活を取り戻せるのか。どこまで、いやそもそも取り戻せるのか。あと爆破するなんて言ったやつは誰だ

 これらすべてについて、正解を知る人は誰もいません。それどころか、ある時に正しいと思えたことも、時が経てばその正しさが崩れてしまう。

 そして、この不確実で変化を続ける非日常な日常がいつ終わるのか、いや終わることがあるのかすら、誰も分からないのです。

 ただ、その中で、今まさに自分たちにできることはなにか。なすべきことは何か。この1学期間、学生も教員も問い続けました。そして、それぞれに何がしかの答えを探し出し、その実現に向けて取り組んできたのです。

 だからこそ、ほとんど実習地に出られなかった中でも、自分たちが守るべき、中心となる目標や価値は、守り抜くべきことができたと私は思っています。

 「そんな中だからこそ」とは言いません。ですが、いずれにしても、一番大事にすべきところは大事にできた、と考えています。

 とはいえ、やはり佐賀北部に行けるなら行くに越したことはありません(笑)

 高知県内の感染状況はぎりぎりのところで持ちこたえていますが、いつ誰に突き崩されるか分かりません。いつまた実習に出られなくなるかは分かりません。盛夏の中で薄氷を踏む思いです。

 とはいえ、できない前提でばかり物事を考えても何にもなりません。8月には中止になった川遊びにも再度挑戦する予定ですし、さまざまな企画も実現に向けて動いています。自分たちにできる最大限の対策は講じた上で、今日からまた動けるだけ動いていきます。