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「地域」研究者にして大学教員がお届けする「地域」のいろんなモノゴトや研究(?)もろもろ。

横綱相撲:高知ユナイテッドSC対ヴィッセル神戸@ノエスタ(天皇杯2回戦・2025.6.11.)

 

 天皇杯1回戦でカマタマーレ讃岐を下した高知ユナイテッドSC。2回戦は前年大会覇者のヴィッセル神戸との対戦、相手本拠地のノエビアスタジアム神戸に乗り込んでの試合です。

 

 

 天皇杯第105回全日本サッカー選手権大会高知ユナイテッドSC高知県代表として1回戦で香川県代表カマタマーレ讃岐PK戦の末に破りました。

 

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 そして2回戦は昨年優勝したJ1ヴィッセル神戸との対戦、しかも会場は相手本拠地のノエビアスタジアム神戸。圧倒的格差対決ではありますが、こちらに失うものは何もなし。強豪相手に一泡吹かせるべく、神戸に乗り込みます。

 

 

 高知から神戸までは高速バスで直結。お昼前に高知駅バスターミナルを出る便に乗ればキックオフの2時間以上前にノエスタまで着くのですが、この日は職場で月に1度の会議の日、終わってからではとても間に合いません。

 なのでいろいろ調べた末、岡山まで高速バスで出て新幹線に乗り換えるルートをとることにしました。以前なら特急南風利用だったのですが、乗継割引がなくなったせいで高速バスより高くつくようになってしまったんですよね……

 

 

 岡山からはこだまで移動。久々に500系に乗りました。狙ったわけではないのですが、西明石乗り換えでスケジュールに合うのが500系こだまだったのです。

 というと、神戸に行くなら新神戸に出るんじゃないのかと思われた方もおられるでしょうが、そこは考えがありまして。

 

 

 むしろお目当ては兵庫からの山陽本線支線、通称「和田岬線」だったのです。電車があるのは朝夕の通勤時間だけ、休日に至っては1日2本しか運転がないというレアキャラ、私は旧型客車を通勤用に改造した「トンボ列車」やディーゼルカー、さらに国鉄時代からの電車には乗ったことがあるのですが(このぐらい自慢させてください)、その後長らくご無沙汰になってしまい、今の電車に乗ったことは確かありません。なので、ノエスタでの試合にかこつけて、久々に乗ってみることにしたのです。

 

 

 和田岬線は兵庫から一駅だけ、数分で終点和田岬に到着します。通勤客で込み合うホームを抜けると、発車時刻表がありました。

 工業地帯の通勤輸送に全振りの路線なので、今でも土曜日ダイヤが残っています。そして休日の時刻表はご覧の通り、予土線より本数が少ないです。

 

 

 かつての和田岬駅には木造の駅舎があったのですが、だいぶ前に撤去されてしまい、今は一部に簡易な屋根があるばかり。風の強い日は大変そうです。

 

 

 かつては貨物輸送で賑わった和田岬線。往時の栄華をレリーフが伝えています。

 ……と興味は尽きませんが、乗り鉄の旅はここまで。駅から歩いてスタジアムに向かうことにします。

 

 

 10分も歩かないうちにノエビアスタジアム神戸に着きました。正面からしてこの押しの強さ、いいなぁ。

 

 

 バックスタンドとアウェーゴール裏のゲートまで来ました。ここから入場です。

 それにしても、阪神間に住んでいた時には全く来ることのなかったスタジアムなのに、兵庫県民でもなんでもなくなったアウェーサポとなって初めて入るわけですから、いろいろ不思議な感じです。

 

 

 ゴール裏までのコンコースを歩いていると、かつての神戸市電の車両が保存されているのを見つけました。かつては和田岬御崎公園近くを走っていて、和田岬近くでは貨物線を高架で乗り越えていたのです。

 地下鉄海岸線の不振ぶりを見るにつけ、こんなことなら市電を残しておいた方が良かったろうにと思うこともあるのですが、サッカー開催日の万単位の入場者を路面電車でさばけるのかという問題があるな、とふと思いました。

 

 

 ゴール裏の手前で応援グッズ貸出の良心市がありました。

 が、カツオも貸すのでしょうか。貸すんでしょうね。

 

 

 スタンドに出てきました。やはり専用スタジアム、ピッチまでが近いです。いいなぁ。

 

 

 この日はバックスタンドがほとんど開いていないようで、天皇杯の大きな横断幕が目立ちます。

 

 

 バックスタンド頭上に掲げられた各団体の旗。ヴィッセルとユナイテッドの旗のサイズが何物かを象徴するかのようですが、それで圧倒されていたらキリがありません。

 

 

 場内ビジョンでは次のJ3公式戦、高知ユナイテッドSCギラヴァンツ北九州を迎え撃つ試合の宣伝がありました。

 

 

 本日の夕食は粉ものソースもの。神戸でこの辺りといえば、やはりそばめしです。

 

 

 焼きそばにはホルモンが入っています。これでどちらも600円ですから、このご時世ではリーズナブルです。

 

 

 出場選手紹介なのですが、アウェー側の選手も1人1人映像が流れます。春野の要領で、てっきりまとめて表示されると思っていたので、虚を突かれて撮り損ねてしまいました……

 

 

 というわけで、こちらが両チームのスターティングイレブンです。

 

 まもなく選手入場。ホームゴール裏から「神戸讃歌」が響き渡ります。J1公式戦やACLほどの人数はいないのでしょうが、それでも強烈な勢いです。これです。これを神戸まで来て聞きたかったんですよ。

 

 

 そして試合開始です。

 前半は高知のキックオフで開始。早々に攻め上がった高知でしたが、すぐに神戸の攻勢にさらされます。

 

 

 そんな中で前半10分、神戸FW27番エリキがゴールエリア右側で当てたボールが高知の選手に当たり、ボールはそのままゴールへ。記録は高知側のオウンゴールとなりましたが、間近で見ている分にはエリキのゴール扱いでも良いのにと思いました。

 

 

 そこから試合は膠着状態に。プレスを掛けようとする高知に対し神戸がボールを回す展開が続きます。何とか反撃したい高知でしたが神戸の動きになかなか追いつけず、ボールを奪おうにも間に合わずに神戸の選手にぶつかってしまいます。前半だけでたくあん3枚は頂けませんが、プレーが荒いというよりは粗くなってしまっている感じです。

 

 

 そして前半は0-1のままで終了、ハーフタイムになりました。

 

 

 後半は神戸のキックオフ。形勢逆転を狙いたい高知、しかしボールが取れても決定的なチャンスを作ることができません。

 

 

 逆に後半5分、神戸は自陣でボールを取り返すと一気のカウンターでゴールまで持ち込み、そのままエリキのゴールで2点目。高知がやるべき電光石火の速攻を逆に見せつけられた形です。

 

 

 さらに後半19分には再び高知のオウンゴール。エリキへのボールをカットするも防ぎきれませんでした。これで0-3.ますます苦しい流れです。

 

 

 ただそれでも諦めない高知。直後にコーナーキックを得るなど何とか攻撃の場面を作っていきます。そして30分にはエリア右側からMF66番三好がローボールをゴールに放り込み、ついに1点を返します。

 

 

 これに対して神戸は後半39分にDF24番酒井を投入。ビッグネームが出てきました。

 

 

 するとその直後、酒井と共に入った神戸DF23番広瀬にゴールを決められ、再び3点差とされてしまいました。

 

 

 どうにかやり返したい高知でしたが、攻めはするものの押し切れません。そのままアディショナルタイムの4分も経過し、試合終了となりました。 

 

 

 結局1-4で高知は昨年に続き2回戦敗退。ただ今回は前回以上に押し切られた観がありました。プレスはいなされ、シュートの数でもセットプレーの数でも差をつけられ、さらにはこちらがやるべきカウンターもハイスピードで決められる。チャンピオンに文字通りの横綱相撲を見せつけられた思いです。

 ただ、そのカウンターの速さなど、こういう攻め方を目指していかないといけない、という例を示してもらったという見方もできなくはありません。もちろん道は遠いですが、その意味で勉強になる試合ではありました。

 

 

 今年の高知ユナイテッドSC天皇杯は終わりましたが、中2日でリーグ戦、アウェーのSC相模原戦が控えています。私は私で翌日午前中に授業があるので、試合終了後そのまま夜行バスで高知への帰途につきました。