第103回サッカー天皇杯2回戦、高知ユナイテッドSCはJ1ガンバ大阪と対戦します。会場は相手ホームのパナスタ吹田、どう考えてもハードな挑戦です。
天皇杯JFA第103回サッカー選手権大会、高知県代表の高知ユナイテッドSCは1回戦で島根県代表のベルガロッソいわみを破り、J1・J2チームが登場する2回戦に進出しました。
その2回戦での対戦相手はJ1ガンバ大阪。高知にとっては徳島ヴォルティス、京都サンガに続くJ1クラブへの挑戦です。
とはいえ、「三度目の正直」で何とかなるほど甘いわけはありません。しかも会場は相手ホームのパナソニックスタジアム吹田(市立吹田サッカースタジアム)、あまりにハードな条件です。
ただ、それでもあえて観戦に出掛けることにしました。今季は仕事が重なって、高知の試合をあまり観に行けていませんし、また以前からパナスタは気になっていたので、実際に見るには絶好の機会ですからね。
万博記念公園駅から南に歩いて、パナソニックスタジアム吹田に到着。夕日に輝くメタリックのスタジアム、どこかオーディオシステムを彷彿とさせます。
入場しました。四方をぐるりと囲むスタンドがピッチのすぐ近くまでせり出し、そのスタンドにホームサポのチャントが響いています。
ああ、これが専スタだ。良いなぁ専スタ、憧れます……
パナスタに翻る高知ユナイテッドSCのフラッグ。これだけでも達成感があります。
高知の選手が試合前の練習に出ています。こういう場でサッカーができるようになったんだなぁ、と感慨が湧いてきます。
本日のスタグル。平日の天皇杯、来場者も多くは見込めないので売店は一部のみ営業でしたが、カリッジュの唐揚げ(600円)がありました。
お腹が減っていたので1個食べてしまい、後で気づいて慌てて撮影したので、実際は同じぐらいの大きさの唐揚げがあと1個あります。量も多くてジューシーで美味しかったです。
キックオフ時間が迫ってきました。
ガンバ大阪は言わずと知れたJリーグ創設時からのクラブ、いわゆる「オリジナル10」。今季は苦戦しているようですが、あくまで最高位のリーグでの話。しかも直近では連勝して勢いを取り戻しつつあります。
一方の高知ユナイテッドSCはJFLでは3試合連続ドローを続け、前節では2-3と惜敗、このところ伸び悩んでいます。格と流れで言えば、大敗しても何の不思議もありません。
そのガンバのスタメン。ですが、最近はJFLを追いかけるだけで精一杯、Jリーグにはとんと疎くなり、藤春と杉山を除けばほとんどイメージがありません……
一方の高知のスタメン。この日も前の試合から割と入れ替わっています。当然ながらターンオーバーなんていう余裕はなく、試行錯誤と言う方が正確だと思われます。
両チーム選手が入場してきました。空席が多いとはいえガンバサポの声援に圧力を感じますが、こちらが負けるわけにはいきません。幸いにして鳴子の音が結構響くことを発見したので、試合終了まで存分に鳴らして対抗します。
キックオフ直前、意気を上げる両チームの選手たち。
ベンチの吉本監督を見ると、普段とは違ったいでたちでちょっと驚きました。
そしてついに試合開始。ガンバ側のキックオフで、高知の挑戦が始まります。
ところが試合開始直後、いきなりの先制したのはなんと高知でした。前半4分、高知は自陣右サイドでボールを奪うと速いパスをつないでいき、最後はゴール前でフリーになっていたFK小林心がパスをそのまま蹴り込み、ゴールを奪います!
その後もガンバに対し果敢に攻め続ける高知。前半を通じてカテゴリーの違いをモノともしないアグレッシブさを発揮します。
そして前半41分、高知は自陣で相手パスをカットしてから速攻で相手ゴールエリアまで繋げ、FW東家が中央に蹴り込み、とかなんやいろいろあって……気がついたら点が入ってました。いや、何があったかよく見えなかったんですよ。
で、結果は相手オウンゴールだったという。なんでそうなったのかよく分かりませんが、とにもかくにもリードが広がりました。
前半はそのまま終了。0-2、まさかの高知2点リードで後半を迎えることになりました。
ハーフタイム、ガンバ側のコールリーダーが巻き返そうとしている声が聴こえます。それでなくても、2点リードはかえって危険という格言もあります。残り45分、気が気ではありません。
そして運命の後半キックオフ。高知FW金井のキックオフで試合が始まります。
ところが、というかやっぱりというか、後半は高知が防戦一方。誇りを懸けて向かってくるガンバ攻撃陣に必死の守りを強いられます。
それでも、高知は負傷離脱中のタンドゥに代わるGK上田をはじめ、全員が身を削って決定機を阻み、逆に少ないチャンスでガンバのゴールを脅かします。
そうするうちに、時計はどんどん動いていきます。
60分、まずは3分の1を凌いだ。
67分30秒、後半の半分が終わって2点リード。凄い、こんな試合を観られるとは……
70分、まだ2点リードのまま、いいぞいいぞ。
75分、ええと、前後半90分だから、後半は30分が終わって、残りは15分。って、終盤戦でガンバ相手に2-0!?
そんな中で公式入場者数の発表です。正直この倍以上は来ているんじゃないかと思うほど、ホームの声援の圧を感じていました。
となると、これが一ケタ多い入場者数だったら、どれだけ恐ろしい応援だったか……考えるだけで恐いです。
とはいえ、ピッチ上では0-2のまま、試合は進んでいきます。
80分。残りは10分、まだ2点余裕があります。ってことは、これまさか、っていやいやいやJ1相手だし。
85分、2点リードは変わりません。高知勝利が近づいてきた……いや、格上相手だったらここから3失点は余裕である。まして相手はガンバ、5点ぐらい獲っても不思議はない。
いや、でも、でもよ?これ、期待するでしょ!?
しかし87分、ガンバは右コーナーキックから逆に振り、さらに右に振って最後は三浦のシュートがポストに当たってからゴールを割って得点。この時点で、良くて延長戦、あるいは逆転負けもあり得る気になってきます。
ですが、高知の選手は怯みません。なおも迫るガンバの攻撃を何度も押し返します。リードしているのはわれわれの側、残り僅かな時間、ゴールを割られる可能性を少しでも潰せたらいいのです。
そして90+4分、再三の攻撃を退けに退けたところで笛の音が鳴りました。高知ユナイテッドSC、ガンバ大阪に1-2で勝利しました!
選手たちを何とか後押ししようと集まったサポーターにとって、存外の歓喜の瞬間です。私も完全に舞い上がっていて、気がついたらよく分からないところでシャッターを切っていました。何が撮りたかったんだ私w
試合終了、存分に戦って結果を得た充実感とともに、高知の選手たちがベンチに引き揚げます。
そしてバックスタンドにやって来た高知ユナイテッドSCの戦士たちを、共に戦ったサポーターが迎えます。とりわけこの試合、サポーターは「共に戦った」ことの名誉を与えられてしかるべきでしょう。
歓喜に沸く高知ユナイテッドSCの面々。こっちも完全に舞い上がっていて、写真がブレブレで恐縮です。ただ、それだけ嬉しかったのは分かってください……
あらためての記念撮影。私にとっても今までにない遠征でした。言うまでもなく楽しかったです。
なお試合のハイライトは、高知ユナイテッドSC公式もJFAも上げているので、ぜひご覧ください。
そして3回戦です。後の発表では何と高知ホームの春野総合運動公園陸上競技場で開催!対戦相手は6月21日(水)に行われる横浜FC対いわてグルージャ盛岡の勝者です。ちなみに、横浜FCは吉本監督が現役時代にプレーしたクラブでもあります。
戦い済んで、って日はとうに暮れているわけですが、スタジアムを後にします。
他人事なら「ここですCAR」とか言うところですが、いざジャイキリが良い意味で我が身に降りかかってみると、まだ勝ったのかなんなのか実感がありません。ただ、ライトアップされた太陽の塔が、万博記念公園周辺に来たことだけは認識させてくれます。
ただ、もうひとつの現実として、高知ユナイテッドSCにはJFLに所属していて、高知から本気でJリーグ入りを実現するには、リーグ2位以内に入らないといけません。
そして、次のリーグ戦は明日、6月11日(日)に迫っています。しかもホームゲーム、春野総合運動公園陸上競技場で13時キックオフです。県内に振りまいた話題を応援の熱に変えるためにも、とても大事なチャンスになりました。
そんな試合は同じくJリーグ入りを目指す実力派、東京武蔵野ユナイテッドFCとの一戦。イベントもいろいろあるので、詳しくは公式ウェブサイトをご覧ください。