2024年6月10日、モンゴル選挙管理委員会が国会総選挙への立候補者として19政党2同盟1336人の候補者名簿を公開しました。同日には選挙活動期間が開始、投票日の28日に向けて、126議席をめぐる選挙戦が繰り広げられます。
モンゴルでは国会議員の4年の任期が今年2024年に終了、6月28日に総選挙が行われます。今回から国会の定数が76から126に増加、選挙制度も中選挙区完全連記制による選挙区78議席、比例代表制による48議席による並立制へと変更されました。
総選挙に向けた準備は既に始まっており、以前のエントリでお伝えした通り、4月末には選挙管理委員会による参加政党・同盟の届出が行われました。
ただしこれはあくまで政党・同盟の届出です。これに続いて、選挙管理委員会が参加が認められた各党・同盟からの候補者名簿及び資料の提出を受け審査。この時点でモンゴル自由党、ゲル地区開発党、世界モンゴル人党が候補者の書類を提出せず、民主改革党が不参加を表明しています。
審査の結果、一部不備や齟齬のあった候補者については届出を却下、その後再届出に基づいて再審査が行われ、結果として10日、19党2同盟1336人の候補者名簿が公開されました。
立候補が認められた候補者に対しては、選挙管理委員会から候補者証書が交付されました。政党や同盟からの立候補者の証書については、所属政党・同盟がまとめて受け取り、それぞれの党・同盟から本人に手渡されています。
候補者の一覧は選挙管理委員会のサイトで確認できます。一覧は全国13の選挙区と比例代表選挙に参加する政党・同盟別にまとめられています。
なにせ1336人の一覧なのでなかなか読みづらいのですが、ニュースメディアサイトikon.mnによる総選挙特設サイトがまとめとして使えそうです。各候補者の情報はまだないのですが、主要候補についてはこれから少しずつ追加されるでしょう。
これによると、選挙区全体での候補者は966人、比例代表での候補者は370人。さらに政党・同盟別の候補者数の記事もあり、内容は下記の通りとなります。自動翻訳でだいたいは分かると思うのですが、一応こちらで私訳版を示しておきます。なお、念のため定数を再掲しておくと、比例代表が48、選挙区が78です。
3. 国民同盟(モンゴル緑の党・モンゴル民族民主党):比例代表23、選挙区43
5. 新統一同盟(モンゴル伝統統一党・正義市民統一同盟党):比例代表37、選挙区53
7. 祖国党:比例代表4、選挙区39
10. 権利行使者党:比例代表5、選挙区25
12. 人間党:比例代表47、選挙区75
14. モンゴル保守党:比例代表0、選挙区22
16. モンゴル人のための党:比例代表4、選挙区38
17. 真正党:比例代表18、選挙区62
18. 自由同盟党:比例代表4、選挙区43
19. 人民の多数派支配党:比例代表27、選挙区44
20. 市民参加統一党:比例代表4、選挙区53
21. 良き民主的市民統一党:比例代表18、選挙区37
比例代表の候補者がいない党があるのは、比例代表選挙への参加条件として選挙区の50%以上での候補者擁立がモンゴル国会選挙に関する法第74条第2項1で定められているためです。今回は選挙区の定数が78なので、選挙区で39人以上の候補者を立てることが条件になります。
なのですが、選挙区の候補者が38人以下なのに比例代表の候補者がいる政党があります。選挙管理委員会の説明は特にないのですが、おそらく候補者届出時点で39人以上を擁立したのが一部却下されたということでしょう。
今回の総選挙の注目候補については、ブログ"Mongolia Focus"に詳しいリストがあります。私もほぼ同意見で、付け加えるなら第6選挙区(ドルノド、スフバータル、ヘンティー県)で立候補したフレルスフ大統領の実弟オトゴンバヤル氏ぐらいでしょうか。
なので、ここでは政党・同盟についての注目ポイントを列挙しておきます。
- 人民党はオヨーン=エルデネ首相をはじめ閣僚、現職国会議員らを選挙区で擁立
- 民主党は比例代表に党幹部や現職国会議員記載。ただしバトトルガ元大統領、エルデネ元党首らは選挙区から立候補
- 国民同盟主宰者ノムトイバヤル元国会議員の候補者一覧への記載なし
- 市民の意志・緑の党、今回は単独参加で議席復活目指す
- 市民運動党、国会議席獲得経験のない政党としては異例の候補者多数擁立
- 人間党、ドルジハンド党首・国会議員が比例代表名簿第1位。党幹部や幹部経験者らが比例代表から立候補
これらを含む総選挙の注目点につきましては、投票日までに別途エントリを立てて解説できればと思います。
候補者発表と証書受取から、モンゴルの選挙運動が始まります。終了期限となる投票日24時間前、つまり26日いっぱいまで、全国で各党・同盟の熱い選挙戦が繰り広げられます。
【6月13日追記】
本日選挙管理委員会の会合が行われ、ノムトイバヤル元国会議員の立候補を認めることが決まりました。当初国民同盟の比例代表名簿第1位記載で立候補を届け出ていたものの、選挙管理委員会が却下。この判断についてノムトイバヤル元国会議員が提訴した結果、立候補を認める命令を裁判所が下したことから、選挙管理委員会が却下判断を覆したことになります。
【6月17日追記】
選挙管理委員会が会合を行い、裁判所から候補者登録命令が出ていた国民同盟バヤルフー候補とガンボルド候補について登録、候補者証書を発行しました。これにより、候補者総数は1339人になりました。