日本ではまるで注目されていないようですが、ベラルーシのルカシェンコ大統領が2024年6月1日から4日までモンゴルを訪問しました。関連情報まとめです。
日本では報道が見当たらないのですが、ベラルーシのルカシェンコ大統領が2024年6月1日から4日までモンゴルを来訪しました。モンゴルとベラルーシが1991年に国交を樹立して以来、同国元首としては初めてとなるモンゴルへの来訪です。
来訪の背景等、詳細な分析は時間がかかるので別稿に譲りますが、ここでは来訪や関連する動きについて、モンゴル国営通信社モンツァメの報道を中心に、ひとまずメモとして記しておきます(あくまでメモなので、月日が経ってリンクが切れた際はご容赦願います)。
6月1日(土)
- ルカシェンコ大統領、チンギス・ハーン国際空港到着。バトツェツェグ・モンゴル外相が出迎え。
- ルカシェンコ大統領、モンゴル来訪前に国内産の斧の切れ味を試す。ベラルーシ国営ベルタ通信の報道がモンゴルでも報じられる。
6月2日(日)
動静に関する報道なし。
6月3日(月)
- スフバータル広場で歓迎式典。フレルスフ・モンゴル大統領が出席。
- 両国大統領による首脳会談開催。モンゴルの長期開発プログラムに対するベラルーシの協力等協議。
- 両国間合意文書および共同覚書署名式開催。両国間協力ロードマップ(2024~2026)、運転免許相互承認及び交換に関するモンゴル法務・内務省およびベラルーシ運輸省間相互理解覚書、然資源保護部門での協力に関するモンゴル環境・観光省およびラルーシ天然資源・環境保護省間共同覚書、観光における協力に関するモンゴル環境・観光省およびベラルーシ・スポーツ・観光省間相互理解覚書等。
- 参加者4人が警察に拘束。バト=ウール元首都知事ら、拘束を非難。
- エルベグドルジ元大統領、来訪非難のツイート(現ポスト)投稿。
SHAME… DISGRACE… NONSENSE…
— Mongol Tsakhia ELBEGDORJ (@elbegdorj) 2024年6月3日
(Lukashenko coming to Mongolia) pic.twitter.com/fUkK4MQIey
6月4日(火)
- フレルスフ大統領とゴルヒ・テレルジ自然公園訪問。記念植樹。フレルスフ大統領よりウマ2頭,ルカシェンコ大統領よりトラクター2両贈呈。日程終了後帰国。バトツェツェグ外相とアレイニク・ベラルーシ外相が見送り。
随行した閣僚による会談等もありますが、長くなるのでひとまずここで。
詳細は各記事を読んでいただきたいのですが、これらだけを見れば、来訪時の協議内容は、ほぼ通商・経済関係の拡大や文化・学術協力に関するものです。個人的には、昨年のドゥダ・ポーランド大統領やマクロン仏大統領の来訪時と異なり、オヨーン=エルデネ首相との会談がなかったのが気になりますが、どれほどの意味があるかは、まだなんとも言いようがありません。もっとも、ベラルーシ研究の観点から見れば別のフォーカスも出てくる気がするので、その辺は専門家の解説を期待したいところです。
抗議運動の発生を除けば、少なくとも報道を見る限り友好ムードで推移したルカシェンコ大統領の来訪。とはいえ、その一方でモンゴルは他のヨーロッパ諸国の関係拡大にも努めています。
ルカシェンコ大統領がモンゴルを離れた4日には、ベラルーシと相対するポーランドの省庁代表団がモンゴルを訪問。
5日にはスイス、フィンランドとの外務省間会合が行われています。
この辺、やはりモンゴルはしたたかと言えばしたたかなのですが、実はモンゴルでは今日6日から7日までの日程で、毎年恒例の「ウランバートル対話」国際会議の第9回会議が行われるので、それに合わせて二国間会合が行われた面もあるでしょう。にしても、「ウランバートル対話」はもともと北東アジア安全保障に関する会議で、しかもこのところは学術会議の面が目立っていたわけで、そこからすると欧州諸国政府・外務省の代表団がこうも集まるのは意外感がありますが。
さらに、ルカシェンコ大統領に同行せずウランバートルに残ったアレイニク外相が「ウランバートル対話」に加わるのかどうかも気になるところです。今月28日投票予定の国会総選挙が注目されるモンゴルですが、対外関係についても注意を払っておいた方が良さげです。