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地域系学部というのに加わった大学教員による高知発モンゴル発のいろんなモノゴトや研究(?)もろもろ。

高知県西部だいたい縦断の旅(3) 雲の上の図書館から三嶋神社へ

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 戦後から幕末へと遡ってから、さらに歴史の行ったり来たりが続きます。むしろ、ここからは振れ幅が1000年を超えていきます。

 

 

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 向かったのは檮原町立図書館「雲の上の図書館」。隈研吾の設計によって2017年に建ったばかりの図書館です。

 

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 図書館が建つのは梼原小学校の跡地。小学校は中学校のすぐそばに移転しましたが、今もかつての碑文と二宮金次郎像が残っています。

 

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 敷地には新たに設置されたこども園(手前の緑の屋根)と体育館も建てられました。言わずもがな、同じく木造建築です。

 

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 図書館に入りました。見た目だけでも、他の多くの図書館と大きく異なるのは瞭然です。ただ違いはそれだけではなくて、入口で履物を脱いで入るのも大きな特徴です。都市の図書館だと考えられないことかも知れませんが、この方が床への負担も下がって掃除も楽になりそうです。

 

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 天井と柱のあちこちに組まれた木材。町のスギをこれでもかと用いています。

 

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 そして、館内を見渡せば各所で見つかるのが、図書館のキャラクター「くもっぴー」。一見すると、おばけのようにも見えるのですが、怖い感じはないですよね。おそらくは白い雲なのでしょう。

 ただ、図書館のあちらこちらで姿を現しているのに、イマイチ知名度がないようで……

 

 

 当ブログはくもっぴーを応援しています。

 

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 図書館を出たところに体育館があります。体育館と言われれば、なるほどその通りの建物です。ただ天井近くは明り取りになっているようで、木造と言うだけではない独特な感じがあります。

 

 ここからは図書館の建つ丘を降り、中山間地の町では考えられないほど新しく整った中心街を縦貫する国道を歩いて行って、さらに歴史を一気に遡ります。

 

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 市街地の北の端の辺り、三嶋神社の鳥居までやって来ました。

 参道が屋根付きというのは他にない感じがありますが、実はこちらは梼原川に架かる神幸橋(みゆきばし)です。神社があるのは向こう岸、この鳥居との間をとりもっています。

 

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 橋のたもとに、三嶋神社の縁起が記されています。ここでは、神社の由来が当地の名家津野氏の始祖とされる津野経高に求められています。

 津野経高は藤原氏の出自ながら伊予に配流されたのを機に当地に入り、一帯を津野山郷として開いたとされます。ここに記されたように「檮原」という地名の名付け親だったり、当地に伝わる津野山神楽を始めたとされたり、およそこの町の歴史の始まりに関わるものをあらかた結びつけられた人物です。

 

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 当地を訪れた司馬遼太郎氏の文章。「紺色の闇」というのは当時の周囲の様子なのか、訪れたその日の天候によるものなのか。文才無き私の眼には、春まだ浅い柔和な日差しに照らされて、穏やかな明るさに包まれた風景が広がります。

 

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 ただ何はともあれ、木造でおそらく可能な限り頑健に作られた橋は、清流の上に今日も確固として存在しています。このような木造の屋根付きの橋を他に探すのが世界中でも困難であろうことは間違いないでしょう。

 

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 橋を渡ります。構造が剥き出しになった橋は、できる限りの丈夫な橋を渡そうとした先人の思いを強烈に訴えかけてきます。

 

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 対岸まで来て、三嶋神社の入口に着きました。決して大きいとは言えないながら、あるべき様相の整った門前です。

 

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 そして神社です。平安時代に開かれたというこの神社に関しては、しかしながら当時の朧げな伝説よりも、その数百年後、逆に今から言えば150年ほど昔のこと、未来への志のために命を賭した一人の男がここを経由した事実が、より強烈な効果を今に至るまで遺しています。その男の足跡を、ここから少したどることになります。