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地域系学部というのに加わった大学教員による高知発モンゴル発のいろんなモノゴトや研究(?)もろもろ。

高知県西部だいたい縦断の旅(4) 梼原町市街地の周縁を巡る

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 三嶋神社からは町役場前までゆっくり散策。まずは坂本龍馬脱藩の道を上がっていきます。

 

 

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 木々の茂る中から、眼下に見えてきたのは梼原橋。木造ながら十分な幅を持つ道路橋です。鉄橋はとにかく木橋でアーチ構造というのもなかなか珍しい気がします。

 

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 川向こうの梼原の中心街を眺めながら歩きます。

 街並みの左手には先程の雲の上の図書館、右手には雲の上のホテル別館・マルシェユスハラがあるのですが、特に後者は街並みに入り込んでいて目立ちません。ただ、それが良いのだと思います。

 ここからは街まで下りて車を取りに戻ります。引き続き案内を受けながら、街並みを抜けていきます。

 

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 町を西南から見下ろす高台にある和田城に来ました。ここは戦国時代に和田氏の居城があったところと伝えられていますが、往時の遺構らしきものは見当たりません。天守閣風の建物が建っていますが、既に夕方近い時間帯だったせいか、中には施錠されていて、誰も見当たりません。

 

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 和田城の傍らにある「維新の門」。後背に位置をとる掛橋和泉を中心に、幕末の群像が配されています。

 

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 左手には天誅組総裁吉村虎(寅)太郎、同前田繁馬、忠勇隊士中平龍之助、そして坂本龍馬の脱藩を助け、後に天誅組に加わる那須信吾。いずれも勢いきって駆けだすところ、あるいは刀に手をかけて、次の刹那には立ちはだかる者を切り捨てんばかりです。

 

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 右側は対照的に「静」の3名。行先を指し示す那須俊平の後ろには死罪を承知で脱藩せんとする坂本龍馬と澤村惣乃丞。

 彼ら8名、いずれもが激動の時代に己の身を投じ、その結末を見ることなく、自身らが動かした歴史の歯車に引き込まれ、斃れていったのです。

 

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 維新の門からホテルまでの道すがら、茶堂のひとつに立ち寄りました。

 幕末の志士と称される者たちがこの郷を行き交う中、そしてそのはるか以前から、旅行く人々への茶菓の接待、祀られる仏への信仰、郷の人々の社交の場となってきました。

 

www.town.yusuhara.kochi.jp

 

 現在も梼原町には13の茶堂が遺っているとのこと。これもまた歴史のひとつです。

 

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 茶堂を辞した少し先に、那須俊平・那須信吾の屋敷跡があります。

 

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 屋敷の跡があるのは雑木林の中。山のふもとの細い道から分け入って、坂を下りていきます。

 

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 坂を下りたところに、かつて邸があった跡という案内板を見つけました。

 位置は須崎からの道中、梼原の街並みへと至る最後の坂の手前辺り。脱藩の行程で人目につかず休息を得るにはちょうど良さそうな場所です。

 

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  かつての敷地には、官位の追贈を記す古い石柱が建っています。従四位は、確か坂本龍馬に次ぐ位ではなかったでしょうか。

 

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 その隣には、近年になって建てられた案内板があります。平成22年とあるので、龍馬伝のブームに合わせたものでしょうか。

 そして短歌の形通り、三十一文字の龍馬の詠歌に対し、那須信吾が詠ったのはいかにも都々逸調です。

 

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 ただ坂本龍馬が去ってから150年余り、屋敷も庭も今は無く、木々ですら往時を知るものがどれだけあるかは分かりません。

 

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 林の中にある僅かに敷地の跡。ただ放っておけばすぐに森林に還り、すぐさま竹藪に侵されていくであろう中、かろうじて人の痕跡を留めています。