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地域系学部というのに加わった大学教員による高知発モンゴル発のいろんなモノゴトや研究(?)もろもろ。

「ハルハ河/ノモンハン」から80年のモンゴルへ(4)2年ぶりの草原へ

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 国際シンポジウムの研究発表と討論が終わりました。昼食後には希望者が郊外へのエクスカージョンに出ます。行先はウランバートルから東のツォンジン・ボルドグという観光地。以前にも行った先なのですが、せっかくなので私も同行します。

 

 

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 移動のバスは内部がまっピンクのカーテンで覆われ、天井は一面のネオンサインがしつらえています。このセンス、モンゴル固有のものとは思えないのですが、はたしてどこからきたんでしょうね。

 

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 バスはウランバートル中心街を南下すると、空港方面に向かう道を西へと進みます。車窓では川を挟んだ向かいで、発電所が煙を上げています。

 というので、あれ?と思った方。確かに、ウランバートルの東に行くのに、今は逆向きを走っています。というのも、ウランバートル中心地からナライハ地区に向かう道が改修工事中で通れないため、大回りをしないといけないのです。

 日本ではイメージしづらいと思うのですが、あえて高知で例えるなら、市内から龍河洞に行くのに、途中の後免までの道路が一本しかないのが工事で通れないので、浦戸まで出て高知龍馬空港から野市を回るようなものです。

 ……済みません、県外の人を置き去りにしてしまいました。首都圏で例えるなら、東京から千葉までの唯一の道が通行止めになったので、川崎からアクアライン経由で成田山に行くようなもの、と言えば想像していただけるでしょうか。

 あり得ないと思われるかも知れませんが、モンゴルの距離感を舐めてもらっては困ります。

 

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 空港を右手に眺める辺りで、ウランバートルの街並みが途切れてきました。いよいよ本格的に草原に入っていきます。

 

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 空港の南、山の上にある測候所。空港が移転した後はどうなるんでしょうね。

 

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 せっかく遠回りどころか超回りなので、初秋のまだ青い草原の風景をお楽しみください。

 

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 8月末とは言え昼間はときに暑いぐらいの陽気。家畜ものんびりと草を食んでいます。

 

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 草原に突如現れた異質な緑。サッカー場のようです。モンゴルにも国内のサッカーリーグがあり、チームによっては日本の有志の支援を受けていて、日本人選手がプレーすることもあるのです。

 サッカー場ウランバートル市の中心街にももちろんあります。ただ、何せ新たに練習場を構えるとなると、建て込んだ街中では難しいのでしょう。にしても、サッカー場以外の施設が見当たらないのは気になりますが。となりも野菜栽培のビニールハウスですよね……

 

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 丘の中腹に家が何軒か経っていました。夏から初秋にかけてを過ごすための別荘(ゾスラン、ダーチャ)のようです。

 モンゴルでは別荘は日本のような高嶺の花では決してなく、ウランバートルの郊外に出れば別荘地はいくらでもあります。おそらく、ロシア・ソヴィエトから入ってきた習慣が定着したのでしょう。

 

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 道端にオボーが立っています。峠や丘の上で土地の境界を示すことが多いですが、単なる標柱ではなくて祭祀の対象となっています。日本でも道祖神というのがありますね。

 

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 バスはゾーンモドという街に差し掛かりました。

 ゾーンモドはウランバートル市を囲むトゥブ県(中央県)の県庁所在地。院生時代に訪れたことはあったのですが、それ以来なので、ほぼ20年ぶりぐらいになります。

 今回は通るだけですし、当時の記憶もおぼろげなので、街について詳しいことは言えません。ただ、道路が整備されて高い建物と車が一気に増えたことは間違いないと思います。って、実際に見なくても分かることではありますが。

 

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 そんななか、放置された工場跡か何かがありました。ここだけは1990年代を引きずっているような光景です。

 

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 住宅街はかつてより広がっているのでしょうが、造りはそう変わりません。

 正面の家の壁には「石炭・木を売ります」と書いています。暖房用です。冬支度を始めないといけない時期が、モンゴルではとうに始まっているのです。

 

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 ふたたび草原に出てしばらく走ると、ウランバートルから北京に向かう鉄道の踏切に差し掛かりました。平らなように見えてあちこちに勾配があるので、鉄道は曲がりくねりながら高度を稼ぐことになります。

 あれ、線路の向きおかしくない?と思ったアナタは鋭い。これ、踏切を渡った後の写真です。

 

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 ヒツジとヤギの群れが、道路沿いに集まっていました。

 モンゴルの草原を走っていると、家畜が道路で集まっていることもあります。ただヒツジやヤギは、車が来るのを見ると、道端に逃げてくれます。

 厄介なのはウシやウマで、余程近づいてからでなければ道を空けてくれなかったり、ずっと居座ったままだったりです。ラクダは経験がないので分かりません。

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 ナライハ地区が右手に見えてきました。

 ナライハ地区はウランバートル中心街から40キロほどのところにあります。もともとは独立した市で、炭鉱と共に栄えた街です。旭天鵬の出身地として覚えている方もいらっしゃるかも知れませんね。

 ただ、タワントルゴイ等の大規模炭田に押されたのか、今ではナライハの地位は低下。むしろ、ナライハと言えば個人による違法かつ危険な採掘が主となってしまっています。

 

www.ibtimes.com

 

 ちょっと話は逸れますが、ナライハの現状からこんな構想(?)を描いた方もいます。

 

blogs.ubc.ca

 

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 そのナライハとウランバートルを結んでいた鉄道の踏切を超えます。かつては貨物列車が多く運行され、近年まで旅客列車も1日1本設定がありました。ですが、2008年に休止されてしまい、以来線路は放置されています。

 ただ、今年に入ると道路・運輸開発相の指示により、路線復活に向けた問題を協議する作業部会が設置されました。以後の動向は分かりませんが、まずは再開に向け第一歩を踏み出した形です。

 

unuudur.mn

 

 バスの中でも、話題はこの路線の話に。この際ウランバートル中心街への通勤電車を走らせたら過密や渋滞や大気汚染もマシになるのではないか、白鵬に頼んで投資してもらえないだろうか、などと構想は膨らみます。

 ナライハへの路線だけではなく、ウランバートル市内では工場への貨物線が何本も走っています。中には廃線、撤去されたものもありますが、残っているものを旅客輸送にも使えば、市内交通は随分改善されるのではないかと思います。

 ただこの辺、誰が誰とどう手を組めば実現できるのやら……

 

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 ナライハの市街地に入ってきました。と言ってもまだ端の方なので、割と土地が広いです。

 

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 住宅街を走ります。先程のゾーンモドもですが、いかにもゲル地区と言う感じで、低層の古い家屋が広がっています。電気は通っているようですが、下水道はおろか上水道もどこまであるものか。暖房で使う石炭の質も十分とはとても思えませんし、冬場の大気汚染の凄まじさは、容易に想像がつくというものです。

 

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 そんなナライハ地区の街並みを走り抜け、再び風景が広がります。と言っても、向上やら多頭飼育と思しき畜舎やらが結構建っていて、草原にしては混み合った感じはあります。

 

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 そんな中、バスはようやくツォンジン・ボルドグに着きました。途中で買い物をしたのもありますが、所要時間は2時間半。以前の倍以上はかかった気がします。

 

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