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「地域」研究者にして大学教員がお届けする「地域」のいろんなモノゴトや研究(?)もろもろ。

リアス線で盛から釜石へ(2019早春の東北一周No.10@いわて)

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 ホームに入線したディーゼルカーは、大震災で被災した車両の代替用にクウェート政府からの支援で製造した車両です。座席がほぼ埋まるほどの乗客を乗せると、盛駅を発車しました。

 

 

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 車内のディスプレイに出てくる通り、列車はやはり釜石止まりです。しかも強風のため、トンネル以外ではしばしば徐行を強いられ、どこまで遅れるか分かりません。ただそれでも運転はしてくれるのですから、まだありがたいところです。

 それにしても、盛から久慈までひとまとめになった料金表、なかなか壮観です。

 

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 海岸線を走るイメージが強い三陸鉄道ですが、実際には比較的内陸をトンネルで貫く区間が相次ぎます。海が見えるのはその合間ですが、海岸よりも奥まったところを高架や築堤で渡っていくのがほとんどです。

 

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 海岸沿いの平野部は、集落や田畑があるはずのところ。しかし、どこも大震災による津波に襲われ、場所によっては高台移転もある等で、今も更地のままのところが目につきます。

 今通っている辺りも同様で、大震災の前にどんな風景だったのかを想像することはできません。それでも、道端の「三鉄沿線を花で飾ろう」という看板が、人々がこの土地を捨て去ったわけではないことを語っています。

 

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 列車は三陸駅に着きました。言ってしまえば沿線全てが三陸ではないか、という気がしたのですが、調べてみると、今は大船渡市と合併した旧三陸町の中心がこの辺りだったようです。

 

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 列車は海沿いの高台に出てきました。相変わらず風は強く、波も立っていますが、列車の運転には支障が無くなったようです。ディーゼルカーは速度制限を解除され、速度を上げていきます。

 

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 トンネルと陸橋、築堤を多く走り抜けてきたディーゼルカーが、珍しく大きな鉄橋を渡ると、広い敷地に大量の木材や鋼管が並んでいます。三陸随一の工業都市、釜石が近づいてきました。

 結局列車は8分遅れで釜石着。ここからどうなるかは、運を天に任せるしかありません。

 

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 ただ、やはり強風の影響は避けられません。駅員さんに尋ねても、宮古までの運転の見通しは不明とのこと。件の団体客は観光バスを回してもらったとのことで、さっさと駅を去っていきました。気楽なもんです。

 一方こちらはしばらく身動きが取れませんが、こうなったらどっしり構えるしかありません。時間はちょうどお昼時、できる時に腹ごしらえをしておかないといけません。しばらく列車は動かないとのことなので、この合間に食べられそうな場所があるか探してみることにしました。

 

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 駅を出ると、リアス線開通カウントダウンの跡が残っていました。開通後のカウントアップまではやらないようです。

 

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 日本選手権史上初の7連覇を達成した新日鉄釜石ラグビー部(現釜石シーウェイブス)を世に送り出したラグビーの街釜石。大震災を乗り越え、今年はラグビーワールドカップも開催されます。

 

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 こちらはラグビーとは関係なさそうですが、釜石にはディック・ブルーナの絵本で知られるミッフィーのカフェがあるそうです。

 

en-trance.jp

 

 非常に心惹かれたのですが、この日はなんと定休日。泣く泣く断念しました。

 

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 屋根を離れてみると、こんな看板がでかでかと架かっていました。なんならここで昼食を調達する手もありそうですが、駅からは徒歩10分。荷物もあるのでこちらもパスすることにします(って、ミッフィーカフェも同じぐらいの距離なのですが、まぁそれはそれということで)。

 

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 その後いろいろ調べましたが、休業日だったりでちょうど良い店がなく、割合近くにあるスーパーで酒と肴を調達しました。引き返す途中で新日鉄住金釜石の前を通りかかったので、記念に(?)撮影です。

 

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 釜石の駅に戻ってみると、宮古行の列車が運転できることになり、既に入線しているとのこと。ひとまずホームに向かいます。悠長に昼食を食べていたら乗り逃していたかも知れないので、ミッフィーカフェが休業していて、かえって助かったかも知れません。

 

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 旧南リアス線、盛方面行のホームにも、ディーゼルカーが停まっていました。自然に翻弄されながら、それでも三陸鉄道は走り続けます。

 

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