東北一周の旅も最終日になってしまいました。これから高知に向けて南下します。と言っても、まるまる普通列車で移動ということは、いくらなんでもないですが。
最後の投宿地米沢。休日の朝とあって、人影はほとんど見当たりません。
米沢駅の近くの花壇です。前日の雨、朝の冷え込みで、この状況です。
山形に入ってから見かけるようになったキャラクター。県のキャラクターだとは思うのですが、名前が分かりません。
で、他を見てみたら、「きてけろくん」ということでした。この向きばかり見かけるのですが、おそらくは山形県の形状を模したのでしょう。
山形から福島への普通電車がやって来ました。正面にこびりつく雪に寒さを感じます。しかもこれから先は県境の峠越え、もっと寒さが厳しくなる区間です。ただ暖房がある中で移動できるわけで、あとは雪で止まらないことを願いつつ、電車に乗り込みます。
米沢を出た電車は順調に市街地を離れ山間部へ入り、途中の峠駅に差し掛かりました。この辺りはかつてスイッチバックの駅が見られたのですが、山形新幹線開通に伴って、全て折り返しのない駅に改められています。
そんな駅に着くと、乗客が相次いで後ろの扉に集まります。何事かと思っていたら、峠駅の名物、峠の力餅の立ち売りを行っているのです。ちょっと迷いましたが、めったにない機会なので、私も買いに行くことにしました。
こちらが峠の力餅(1,000円)。絵柄に時代を感じます。スイッチバックの時代は、列車が向きを変える合間に窓を開けて買うことができたはずで、そういう時代に一度来てみたかったものです。
峠を過ぎると車窓の外はさらに凍てつきます。山形には樹氷のイメージがありますが、3月末のこの時期にこの風景、見ている方もただ呆然とするばかりです。
南東北のさらに南の方に来ているはずなのですが、北東北の平野部とは比較にならないほど、世界が雪に閉ざされています。
どう見ても真冬です。ありがとうございました。
福島県に入り、ようやく平野部に降りてきました。
しかし、それでも雪景色。天気のせいはもちろんあるのですが、同じ県の浜通りを出て数日たってこれなのか、とは思ってしまいます。
電車はそのまま雪景色の中を福島へ。あまり乗り換えの時間はなく、ここから東北本線の普通列車を乗り継いでいきます。
福島駅を出た電車は車両が少ないこともあり、そこそこ混んでいます。窓の外はだいぶ雪が溶けた感はありますが、それでも寒々とした光景です。
郡山で新白河行に乗り換えます。まだ雪が見えます。
ただ、電車が動き始めると、雪景色は次第に去っていきます。また春の世界に帰れたことに安堵しつつ、これで東北を本当に去ると思うと、今度ばかりは寂しさを禁じ得ません。
新白河駅に着きました。新幹線の乗り換え口には、白河の関を模した門があります。ここからも普通列車に乗るので、これをくぐることはありませんが、いよいよ東北も終わりまで来てしまったのを実感します。
新白河から黒磯まではディーゼルカー。早くに電化された区間ですが、黒磯駅の今の構造上、北から入れる電車が限られるので、代わりにディーゼルカーが使われるようになっています。
そしてこれにのれば、ついに福島県を離れることになります。ありがとう東北、また来る時まで、皆さんどうかお元気で。
栃木県に入った黒磯で、ディーゼルカーから再び電車に乗り換えます。黒磯と宇都宮を行き来する電車の中には、地元の子どもたちのイラストが飾られていました。「とちまるくん」が分からなかったのですが、栃木県のキャラクターとのこと。
たこ焼きじゃないんですね
宇都宮からは湘南新宿ラインに乗車。ついに関東に入った現実を突きつけられます。既に東北一周の旅は終わり、ここからは帰り道です。
ただ、そうはいっても北関東。まだ道のりは長いのです。合間に買った栃木名物、レモン牛乳とイチゴ牛乳をあてに、お昼ご飯を頂きます。
電車は順調に田園地帯から郊外に入り、次第に窓の外は大都市になっていきます。朝に見た氷の世界とはまるで別物ですが、だからといってまるで感慨が湧くこともなく、そのまま電車で移動を続け、横浜まで着きました。ここから、少しだけ寄り道をするために、根岸線の電車に乗り換えます。
横浜の中心街を抜けて、電車は新杉田にやって来ました。今回の旅のメインではないのですが、それでもここから寄って行きたいところがあるのです。
新杉田から横浜の埋め立て地を巡り、金沢八景までを結ぶ新交通システム、シーサイドライナー。これまでは諸事情あって、京急の金沢八景から離れた手前で路線が終わっていたのですが、このほど悲願の延伸が実現、ついに京急と直結することになりました。
その開通日が、まさに本日。僅かな距離とは言え路線が伸びたので、この機会に乗っておこうと思ったのです。
シーサイドラインの新杉田駅。新交通システムに乗るのは本当に久しぶりです。
自動運転*1の電車は多少の揺れはあるものの、海沿いにできた新しい街を軽快に走っていきます。
前面の眺望は子どもにとって何よりのお楽しみですが、子どもたちが降りていくと、今度は初老の夫婦がやって来ました。物静かではありますが、それでもやはり楽しそうで、世代を超えてわくわくするものがあるのだと思います。
列車はかつての金沢八景駅に差し掛かりました。ホームがまだ撤去されていないので、ここからは単線運転です。
昨日まではここで終わっていた軌条が、さらに伸びていきます。列車はホームで止まることもなく、新たな軌条に入っていきます。
そして本日からの金沢八景駅に到着。これで再び、日本の民鉄・第三セクター全てに乗り通したことになります。
ここからは帰りを急ぐのみ。急行一本で羽田空港まで引き返します。
高知行の飛行機には余裕を持って間に合いました。旅を振り返りつつ、ラウンジでしばし休憩です。
そろそろ飛行機の搭乗時間。長かった旅も終わり、
現実が始まります。
……って、あらためて凄い現実ですな、コレ。
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*1:旅行当時。2019年6月1日に発生した事故の影響で、事故後は運転士による手動運転を実施中。