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「地域」研究者にして大学教員がお届けする「地域」のいろんなモノゴトや研究(?)もろもろ。

リアス線新線区間・旧北リアス線を乗り通す(2019早春の東北一周No.11@いわて)

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  釜石で何とか宮古行に乗り込み、どうやら開通したばかりの区間を乗り通せるようになりました。今回の旅で最大の目的の1つだったので一安心です。

 

 

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 列車は釜石を出て、2駅目の鵜住居駅に到着。駅はすべて一から作り直され、駅名板もJR東日本のものから三陸鉄道のものに改められています。

 

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 駅を出てすぐ、川向に何やら建物が見えます。場所から言えば、ラグビーワールドカップに向けて建設された釜石鵜住居復興スタジアムのはずです。できるものなら私もこういうスタジアムで観戦したかったのですが日程が合わず、そもそも他の試合も含めてチケット争奪戦にあえなく敗退してしまいました……

 

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 沿線は今も造成中のところが目につきます。鉄道が戻ってきたことが少しでも弾みになってくれれば……この現実を前に、そんな月並みな感想しか浮かびませんでした。

 

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 列車は次の大槌駅に着きました。この駅も津波でほぼ完全に押し流され、復旧に合わせて新たに作られています。

 

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 真新しい線路の向こうは空き地が連なります。さらに奥の丘も、津波に襲われたのか、新たに切り開かれたのか、地肌を剥き出しにしています。

 

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 新たに作られた駅舎は、「ひょうたん島」デザインとのこと。付近の蓬莱島が人形劇「ひょっこりひょうたん島」のモデルの1つとされることにちなんだデザインです。

 

trafficnews.jp

www.nikkansports.com

 

 列車は強風の影響もなく快調に走りますが、朝からの移動で昼食も入り、ついつい寝入ってしまいました。宮古市内に入ってから目が覚めて、せっかくの新規区間なのに勿体無いことをしたと後悔。また乗りに来ないといけませんね。

 そんなわけで列車は津軽石の駅に着きました。行き違いの列車を待つ間に、運転士さんが乗り換えて久慈方面に行く人がいるか尋ねています。十数人が手を挙げると、運転士さんは人数を数えていきます。曰く、宮古で久慈行が接続待ちをしているが、すぐに発車しないといけないので、久慈方面に向かう人数を数えておいて、久慈行はその人数が乗り込ん時点で発車するとのことです。なので、宮古に着いたらすぐに乗り換えないといけません。こうやって乗客の利便性とダイヤの(できるだけ)維持を両立させているのですね。

 というわけで、宮古駅に着いたら旧北リアス線のホームに直行し、待ち構えていた列車に乗車しました。なので宮古駅の写真も、停車中の車両の写真も撮ってません。この点、ご理解ください。

 

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 ともあれ、久慈行には無事乗車。盛で運転見合わせと言われたときのことを思えば、意外なぐらいスムーズな乗り継ぎです。本当にありがたいことですよ。

 

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 山口団地駅は2010年に開業した、三陸鉄道では比較的新しい駅です。この辺りは源九郎義経が落ち延びたという伝説が残っているとのことですが、モンゴル研究者にとってこの伝説は正直なところあまり気分が良いものではなかったりします。

 太宰治が小説『津軽』の中で、津軽半島義経伝説の多さに閉口し、「これは、きつと、鎌倉時代によそから流れて来た不良青年の二人組が、何を隠さうそれがしは九郎判官、してまたこれなる髯男は武蔵坊弁慶、一夜の宿をたのむぞ、なんて言つて、田舎娘をたぶらかして歩いたのに違ひない」と、伝説の正体を想像する一節があります。存外、津軽以外も似たようなものだったかも知れないな、と思ったりはします。これもまた想像ですが、ただひとつだけ、想像では済まない話、確実に言えることがあります。この手の話はモンゴルには一切ない、あり得ない、ということです。

 

www.aozora.gr.jp

 

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 旧北リアス線の沿線も、やはり再建工事中の風景をしばしば見かけます。こちらは防潮施設でしょうか。

 

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 田野畑に着きました。再建なった水門を見ると、上屋が三陸鉄道の車両をイメージしたデザインになっています。鉄道が地元にどれだけ根差したものか、見えた気がします。

 

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 この辺りは、かつては北リアス線、今はリアス線という名称になっているものの、海岸線はリアス式というわけでもなく、広く開けているところがあります。列車は眺望の良いところに差し掛かると、眺めを楽しみたい乗客のために一旦停車してくれます。

 

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 再び一旦停車。海岸に道路こそ走っているものの、その先は太平洋が一望できます。太平洋なら高知で見慣れているだろう、と言われるかも知れませんが、それはそれ、これはこれで。

 

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 場所によっては、大きな防波堤が海岸線の風景を覆う所もあります。手前の空き地は、これから防風林にでもなるのでしょうか。

 

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 そして列車はいよいよ終点久慈に着きます。運賃表がすっかり埋まってしまいました。路線延長164キロ、達成感と呼べるような、呼べないような感覚が湧いてきます。

 

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 橋を渡れば、久慈の中心街です。窓の先には波打つ不思議な建物が見えてきました。

 

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 そして列車は終点久慈到着。これだけダイヤが乱れたはずなのに、定刻ピッタリです。元々の予定で乗り継ぎ時間を結構確保していたとはいえ、驚くしかありません。

 

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