窪川から若井を経て山の中に入っていく土佐くろしお鉄道中村線は、川奥信号所でJR予土線と別れると、ループ線を一周してから川沿いを下っていきます。次第に人里の風景が戻ってきたところで、荷稲という小さな駅にたどり着きます。
休日の朝早く、自転車置場には1台の自転車もありません。立て掛けられた竹箒だけが、ここに人の手が入っていることを示しています。
駅前。列車の発着前後、送り迎えの車が去ってしまえば、すぐに静寂が支配します。
中村・宿毛方面。線路はしばらく山のすぐそばを走っていきます。
山の陰、直射日光の当たりづらそうなホームは、そこらじゅうが苔むしています。
自転車置き場の屋根にも、一面の苔。ともすれば、忘れられた駅と早合点する人もいるかも知れません。
ただ1本伸びたホーム。南国の強い日差しからは少し離れた空間があります。
小さな待合室。高知市と幡多を結ぶ特急が何本も通過する中、数少ない普通列車を待つ人々の拠り所です。
窪川方面への線路。行く手はすぐに木々に隠され、そのまま山へと分け入っていきます。
南に進む線路も、すぐに山に隠れていきます。
線路のすぐそばに迫る山、そして林。
谷あいの中の小さな駅に、普通列車がやってきました。
小京都中村市のアピールを全面に施した、中村行の下り列車。ここから川に沿って降りていくと、その行く手にいつしか海が見えてくるはずです。