土佐くろしお鉄道中村・宿毛線では、毎月第2日曜日に普通列車でどこまで乗っても1回100円、子どもは50円というキャンペーンを実施中です。これを機会に駅巡りを企てたのですが、今回はさらに欲張ることにして、黒潮町は土佐佐賀温泉で前泊することにしました。
行きしなから鈍行の旅を楽しみたかったのですが、途中どうしても接続が合わないところがあり、その間は特急を利用することになります。
都会だとJRの特急を利用する機会はそうそうないでしょうが、普通列車が少ない田舎では特急も通勤・通学の貴重な足、振り子式の揺れる車内で宿題と思しき問題に取り組む生徒の姿もありました。
窪川からは土佐くろしお鉄道中村・宿毛線に乗り換え。この日は通常運賃です。
時刻表では真ん中が中村・宿毛線の列です。下の方が光って見にくいですが、17時08分の宿毛行が、実は窪川・中村間の普通列車の最終。その後は、この区間には特急しか走りません。私も旅行計画を立てる時、時刻表を見てから何度も我が目を疑って見直しましたが、間違いありません。夕方で普通列車が終わってしまうのです。
その最終の普通列車は、宿毛市のラッピングトレイン。土佐くろしお鉄道中村・宿毛線の普通列車は、それぞれ幡多地区の市町村の全面広告になっています。
車体に大きく描かれているのは、宿毛市のキャラクター「はなちゃん」。元は「宿毛花へんろマラソン」のキャラクターだそうですが、現在は宿毛市の所属となっています。
列車は窪川を出て2駅目の荷稲駅に着きました。ここから事前に頼んでおいた送迎の車で宿に向かいます。
荷稲駅から車で5分も経たないうちに、今宵の宿に着きました。土佐佐賀温泉「こぶしのさと」です。宿の名は、この一帯の地名「拳ノ川」にちなんでいるのでしょう。しかし、落ち着いて写真を撮らなかったせいでブレてて済みません……orz
白を基調にした、明るいながら落ち着いてもいる玄関ホール。中には地元の特産品が並んでいます。
部屋で落ち着いたら、お目当ての温泉です。写真がないのが残念ですが、大浴場と露天風呂にサウナもついています。日帰り入浴もできれば回数券や年間パスポートもあるそうで、常連さんと思しき人が従業員と談笑していました。
そして、肝心のお湯がヒットでした!温泉地に行くと、せっかくのお湯にもかかわらず「熱すぎて浸かってられない」ということが私の場合はままあるんですが、ここは適温、いくらでも入っていられそうな塩梅です。湯質も滑らかで心地よく、夕食の時間がなければどれだけ入り浸っていたか分かりません(もっとも、寝る前と朝風呂にもきっちり行ったわけですが)。
で、その夕食のおしながきがこちら。地場の特産品を活かした会席です。
前菜三種盛り。こぶりはなめろうに似た土佐の郷土料理で、青のりのこんにゃくに付く「ぬた」も土佐独特のタレの一種。これが旨くないわけがないのですが、さらには土佐では長太郎貝として親しまれるヒキオウガイも絶妙。味噌マヨの味が主張しながら、他の料理の味がしなくなるほど味が強過ぎることもない、きわどいところのバランスを感じました。
お造り。カレイは縁側もついてます。こちらは画像だけで、どんな風に美味しかったのかが伝わると思います。想像されるレベルの上ぐらいの美味しさです。
黒潮町のお隣四万十町は窪川の米豚と野菜の陶板焼き。待ってました。
こんな感じで野菜を敷いて上に豚肉を乗せます。この後フタをして、湯気が出てくると出来上がり。柄にもなく上品に食べたくなる一品です。
揚げ物は鱧天。関西出身なだけに、鱧と言えば上方のイメージが強かったのですが、別に土佐で良いのを食べてはいけないという法はありませんよね。
驚いたのは酢物。小鉢で出てくると思いきや、エビが開いた姿で登場しました。
一般にはウチワエビ、高知ではタビエビとして知られている海老の、三杯酢にカツオだしを加えた土佐酢による酢物です。ここでも土佐=カツオなんですね。
ご飯と留汁、香物。既に結構な量を食べているのですが、それでも入ってしまいます。
最後のデザート。ガトーショコラとメロンもさることながら、ゴマプリンの食感……多分、傍から見たら物凄く気持ち悪いニヤケ方をしながら食べていたと思います。
そんな感じで、温泉も料理も堪能できた1泊2日。
ただ惜しむらくは、朝食も凄かった(四万十の川のりやにろぎを炙ったりとか)んですが、カメラを忘れて撮れませんでした……
というわけで、気になる方はご自身で直接行ってみてください。