窪川から土佐佐賀までは「くろしお鉄道」のイメージとは異なる内陸部を走る中村線。その途中、国道56号線と伊与喜川にはさまれた間に、伊与喜駅があります。
1日9本しかない中村線の下り普通列車。その3本目が、早くも9時前に駅を発っていきます。
列車は三原村のラッピング列車。土佐くろしお鉄道が走る宿毛市や四万十市の隣にある、幡多では唯一となってしまった内陸の市町村です。
列車が去って行った土佐佐賀方面。隣を走る国道56号線は、駅の近くから高度を上げていき、奥の方で線路を越えていきます。
窪川方面の登り坂。隣の荷稲駅から予土線との分岐点の川奥信号場に向けて、しだいにきつい山越えへと進んでいきます。
夏の盛り、伊与喜川も護岸もほぼ草で覆い尽され、姿を隠しています。その向こう、山のふもとに、集落が細く長く広がっています。
荷稲駅は駅舎のない無人駅。あるのは長ベンチのある小さな待合室だけです。
海沿いの土佐佐賀駅から2キロ以上離れた伊与喜駅。こんな辺りまで津波は来るのだろうか、とはいえ来ないと高を括ることもできず、何はともあれ他の駅同様避難場所は明記されています。
駅の内外を結ぶ小さな階段。すぐ向こうに国道が通っています。
駅の左手には自転車置場。しかし休みの日の朝、自転車はほとんどありません。
国道まで出てみました。幡多に車で行くときは必ず通る道です。
たまに途切れる時を除けば、幾多の車両が歩道にいてもいささか怖さを感じるほどの速度で走り抜けていきます。
国道の反対側。都会では減りに減ったはずの公衆電話が生き残っています。
近くにはバス停もありますが、「伊与喜」という停留所は1つ北。ここは「伊与喜小学校」となっています。
バスは窪川から佐賀まで、1日3本だけ。鉄道の普通列車の終発が17時台ですが、バスはもっと早くに1日の運転を終えてしまいます。
国道から見た伊与喜駅。駅への道路の左側には「𠮷門龜次氏謝恩之碑」という石碑があるのですが、碑文が読み取れず、どういういわれがあるのかは分かりません。
ホームに戻ってふと見ると、プランターに花が植えられているのに気づきました。
21時前には終列車が出てしまう無人の棒線駅。そんな駅をいつくしむ人々がいることを、花々は語っています。
普通列車は隣の土佐佐賀で上り下りが行き違います。そして10分もしないうちに、先程と入れ替わりで窪川行がやって来ました。
宿毛市のキャラクター「はなちゃん」たちのイラストが描かれた賑やかな車両。1人だけ乗り込んだ乗客を収めると、すぐに駅を発ってスピードを上げていきました。