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「地域」研究者にして大学教員がお届けする「地域」のいろんなモノゴトや研究(?)もろもろ。

シリーズ土佐の駅(141)浮鞭駅(土佐くろしお鉄道中村線)

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 海・山・川・林、自然豊かな土佐くろしお鉄道中村線沿線。各駅の駅名標には、そんな自然やその恵みを入れたキャッチフレーズが書かれているのですが、浮鞭駅はなぜか趣向が違って「スポーツ天国」となっています。

 

  

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 国道56号線の北側にある集落を抜けて数分歩くと、駅が見えてきました。といっても、出入口と小さな屋根付きの待合所があるぐらいで、駅舎もない簡便そのものの作りです。

 

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 2車線の道路が線路をくぐる手前にある階段が、駅への出入口。

 

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 出入口の傍には自転車置場が設置されています。雨の中ですが、自転車が何台も置かれたままです。

 

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 駅の南側にハウスが並びます。国道沿いを抜けると平地は田畑になっていますが、家屋はむしろ周囲の高台に建てられています。

 

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 普通しか停車せず、出入口に建物もない駅の時刻表は、バスと似たようなもの。その上、都会のバスより本数がかなり少ない分、列車ごとの情報は割合丁寧に書かれています。

 

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 行き違い駅で上下の線路に挟まれた浮鞭のホームには、線路下の通路をくぐって行くことになります。駅舎がないのでベンチは線路の下、慢性赤字の国鉄時代に建設された駅は、合理性の極みにあります。

 

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 建設された年月が刻まれたコンクリート。来年で中村線は50周年を迎えます。

 

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 駅に上がってきました。目の前は高台になっていますが、海岸から駅までに関しては平地が続いています。線路は高台を少し掘り下げたところを進み、駅の築堤上に出ます。

 

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 海に向かって作られた、トタン作りの簡素な待合室。雨が吹き込んだらひとたまりもありません。

 

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 待合室に掲げられた標高表示。南海トラフ地震では最大34メートルの津波が押し寄せると想定されている黒潮町で、海抜14.4メートルはまるで十分な高さではありません。

 

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 線路上にも浸水予想区域の標示がしてあります。線路が高台上からそのままの高さで走っていればまだなんとかなったのでしょうが、約50年前にこんな予想などなかった以上、致し方ありません。

 

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 駅の北側にも並ぶハウス。その近くに少しだけ家があります。

 いざという時、津波が最大予想さえ下回ってくれれば、中村線が食い止める役割を果たしてくれるのかも知れませんが。

 

 さて、ここからは窪川行の列車に乗るのですが、先にディーゼルエンジンの音が聞こえてきたのは、その窪川の方から。事前に調べた限りでは、ここで行き違いはなさそうだったのですが、時刻表を見誤ったか。

 

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 はたして窪川方面からの列車がやって来ました。大きなヘッドマークに、運転席横に並べられた紙袋。どうも何か違います。

 

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 実は、この列車は高知県内のフリーマガジン「とさぶし」が仕立てたイベントの臨時列車でした。大きなヘッドマークもそのためです。

 

tosabushi.com

 

 確か私も申し込もうかと思ったところ、時間が合わずに断念していました。思い出しました。

 

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 浮鞭駅に停車したとさぶし列車。ここで窪川への定期列車と行き違います。

 

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 これから列車が現れる中村方面の線路。海沿いとはいえ平野部が少ない幡多地方、線路はすぐにトンネルに吸い込まれます。

 

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 そのトンネルから窪川行のワンマンカーが登場、ほどなく駅に入線しました。

 

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 珍しく並んだ土佐くろしお鉄道普通列車。今回も地震にも津波にも遭うことはなく、それぞれの目的地に出発していきます。

 

 

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