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「地域」研究者にして大学教員がお届けする「地域」のいろんなモノゴトや研究(?)もろもろ。

彼我の差:高知ユナイテッドSC対鹿児島ユナイテッドFC@白波スタジアム

 

 3連敗中と覇気を欠く高知ユナイテッドSC。今節は目下J2昇格圏、最短でのJ2復帰に向けて邁進する鹿児島ユナイテッドFCとアウェイでの対戦です。

 

 

 

 高知から鹿児島へは、岡山までJR特急「南風」か高速バスで出て、そこから山陽・九州新幹線に乗っていくことになります。所要時間は6時間超。時間が合えば福岡空港乗り継ぎの飛行機も可能なのですが、何せ運賃が高い……

 

 

 ともあれ、お昼に鹿児島に着きました。電車に乗って天文館通へ。鹿児島は高知同様路面電車が走る街ですが、こちらは市の交通局が運営しています。超低床車の導入にも早くから取り組んでいますが、特に鹿児島の場合は長い車体の両端に短い頭部だけの車両がそれぞれ付いた連接車が特徴的です(別のスタイルもあります)。

 こちらは中間車が3両ありますが、イメージが強いのは1両のみのものではないかと思います。イラストも見かけますし。

 

 

 先程見たのはラッピング車両ですが、昔から鹿児島市電を知っている人からすると、この塗装がなじみ深いのではないでしょうか。

 

 

 そしてこの車体。細身の車体で全面の中央窓を大きくとり、両端に細長い窓があって、頭に前照灯が一灯ついたこのスタイル。ただ現在は廃車になったり車体更新があったりして、数をかなり減らしているようです。

 

 

 さらに驚いたのは、こちらのチャギントン電車の存在。岡山のイメージが強いだけに、意外でした。

 

 

 路面電車は毎日の走行距離が短いだけにものもちがよく、大手・中小を問わず郊外電車ではほぼ姿を消した、いわゆる「旧性能車」が今でも主力を張るところはあります。とさでんなど最たるものです。

 ただ、鹿児島に来てみて見かけるのは「新性能車」がほとんど。旧性能車に新しい車体を乗せたものもあるにはあるのですが(ちなみに高知にもあります)、多いわけでもありません。この時点で、高知との差を感じてしまいます(昔ながらの電車は電車で味がある、とも思うのですが……)。

 

 

 キックオフまで時間が空いているので、少しの間ですが、今まで行ったことのない桜島にフェリーで渡ってみました。

 フェリーは片道15分、大人運賃250円。車両甲板が2階建てになっていて、通勤の足にもなっているのが推察されます。

 

 

 まだまだ暑い中で歩き回るのは危ないので、近くの月読神社に参詣し、展望台に上がってみました。対岸の鹿児島市内がよく見えます。

 

 

 展望台から見た桜島。この日は平穏そのものでした。噴煙に見えるのは雲だと思います。灰も降ってきていませんし。

 

 

 試合も近づいてきたので、白波スタジアムへ。キックオフまではまだ1時間半ぐらいあるのですが、メインゲート前は既に賑わっています。

 

 

 さて、鹿児島といえば「のんかたゾーン」。水より安い焼酎を売っていると評判のドリンクコーナーです。

 「水より安い」は流石に冗談だろうと思われるかも知れませんが、こちらで売っている焼酎水割りメガは700mlで200円、スタジアムでの500mlペットボトルのミネラルウォーターはじめソフトドリンクは200円だったり300円だったりなので、明らかにメガの方が安いです。まして、他のアルコール類と比べると破格の安さです。

 もっとも、隣のソフトドリンクコーナーで売っている鹿児島ユナイテッドFCウォーターはペットボトル500mlで150円、微妙に焼酎よりは安いのですが。

 

 

 そんな安さを実現しているのは、おそらく薄利多売戦法。値段を抑えれば呑みたい人は必ず来ますからね。それを見越して、あらかじめ氷の入ったグラスがいくつも準備されています。

 

 

 そして水割りは1.8l紙パックと2リットルのミネラルウォーターを一緒にドカッと樽に流し込むという豪快なもの。氷も入っているので、メガでもすっと呑めてしまいます。

 ちなみにロックもOKだそうですが、そんなものを頼む自信は私にはありませんでした。

 

 

 スタジアムに入ると、鹿児島のマスコットゆないくーのイラストが出迎えてくれました。

 

 

 そのゆないくーは高知のサポーター席の方に出向いています。隣にいるのがだれか分からなくて、ただ野原しんのすけっぽいなとおもったら、はたしてそうでした。新作映画の宣伝だそうです。

 

 

 その後ゆないくーはキックインセレモニーに登場。こちらでは参加者がPKを蹴る形式です。

 

 

 試合前にはこんなクイズもありました。ラーフルってなんだ?と思って調べたら、黒板消しとのことでした。

 問題はこの後の試合なのですが……

 

 

 結果は今更言うまでもないでしょう。全てにおいて相手との差があり、相手に上回られた、ということです。にしても凄いなこのスクリーン。

 4連敗はあり得る話です。ってか、去年も4連敗しながら2位を死守できたわけですし。スコアについても、最近の鹿児島を考えれば想定していた範囲ですし、1-5になってなくて良かったね、という話です。

 

 

 ただ、その差をどう埋めようとしているのか、という考えや姿勢は、門外漢の私には最後まで理解できませんでした。ボールを取り返してもカウンターにつなげられず、昨年までの悪癖だったボールの後退やゴール前での平行以下のパスがついに出てきたことには、きわめて強い不安を感じます。格上だろうが何だろうが、点を取りにいかないことには勝点につながらないでしょうに。スコアレスドローが狙えるチームでもなければ、狙う状況でもないのですから。

 

 

 ちなみにこの日の入場者数は7000人近く。もう少しあっても不思議はなかったのですが、ゴール裏にスタンドがない分こうなったというところでしょう。ただそれはそれとして、メインスタンドを賑わわせることができれば観客動員は上がる、という好例を見た気がします。

 翻って、高知は次節9/14(日)にホームで栃木SC戦。先着5000人に来場者プレゼントがあるそうです。

 

kochi-usc.jp

 

 ただ、モノを配るだけで客が来るとは限らないのは末期のオリックス・ブルーウェーブとか前節の宮崎戦でも示されたことです。ましてこのチーム状況、わざわざスタジアムに行こうという意欲はファン(あえてサポーターとは書いていません)でも働きにくい。

 そんな状況を撥ね返すためには、クラブが今までとは比較にならないぐらい、高知中を汗をかいて走り回る必要があるように思えてならないのですが、さぁどうなるか。