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「地域」研究者にして大学教員がお届けする「地域」のいろんなモノゴトや研究(?)もろもろ。

いま、ここにサッカーがあること:高知ユナイテッドSC対アトレチコ鈴鹿@上野競(2024.9.29.)

 

 高知ユナイテッドSCのアウェー戦、アトレチコ鈴鹿との試合を見に伊賀上野まで行ってきました。

 

 

 アウェーでのミネベアミツミ戦に勝利、そして待望のJ3ライセンス交付。高知ユナイテッドSCJリーグ入りに向けて盛り上がっていたところ、衝撃的なニュースが飛び込んできました。

 

www.sonysendaifc.jp

 

 東北の社会人サッカーの雄、Jリーグ入りを目指すクラブに立ちはだかってきたソニー仙台。それが、今季限りで活動を終えるというのです。

 内部の事情はまるで分かりませんが、あの東日本大震災すら乗り越えたはずのチームが、今になってなぜ活動を終えるというのか?ほかにどうしようもなかったのか?そう思わずにはいられません。いられませんが、もはやどうこうできることではありません。

 せめて今季残り試合でソニー仙台の雄姿を記憶に止められればと思ったのですが、肝心の11月の高知ユナイテッドSCホーム戦が1年に1度のアヒルちゃんと丸かぶり。他の試合も予定上で観に行くことはできず、ソニー仙台を再び直接見ることは叶わない夢になってしまいました……

 ということもあって複雑な思いは消えませんが、まずは目の前の試合に集中です。ほぼ3年ぶりの高知ユナイテッドSCアウェー戦を観に、三重県伊賀市上野運動公園競技場まで行ってきました。アトレチコ鈴鹿は前週に続いて伊賀上野での主催試合ですが、クラブの源流の1つが伊賀市のお隣の名張市に本拠を置いていた三重FCランポーレなので、その経緯で試合が組まれているということなのでしょう。

 

web.archive.org

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 高知から伊賀上野までは在来線と新幹線と在来線を乗り継いで、6時間以上の行程です。高知大阪間は高速バスもあるんですが、それだと帰りが夜行になってしまうんですよね。普段ならそれでもいいのですが、今回は翌日に原稿の〆切が2本あったので早めに帰る策をとりました。って〆切直前に何をやってんだって思うかも知れませんが出発の3時間前ぐらいには一応完成させてあとは最終チェックだけでOKぐらいにはしていたのです本当です

 こちらは関西本線、電化区間が終わる加茂駅から亀山までのディーゼルカーです。JR四国だとキハ32系ぐらいのサイズ感です。予土線土讃線土佐山田窪川の一部で走っている小型の車両ですね。

 

 

 伊賀上野駅に着きました。ここから競技場までは15分ぐらい歩きます。ただ途中曲がるのは1カ所だけなので、そうそう迷うことはありません。

 

 

 上野運動公園競技場に到着!いくつかキッチンカーが並んでいますね。

 そして、高知のサポーターも結構見かけます。遠路はるばる(自分で移動したから実感がある)結構集まっています。ただ、実は伊賀市を拠点とするなでしこリーグ伊賀FCくノ一三重のGKユニも赤なので要注意です。

 

 

 お昼をだいぶ回っているので、とにかくお腹が減っています。なので、まずは伊賀豚フランクを使ったホットドッグで腹ごしらえです。

 

 

 こちらはプレーン。とにかくソーセージがプリプリどころかバシバシで、食べ応えがありました。

 

 

 おやつには米粉たい焼き、スタンダードなつぶあん(¥200)を買いました。写真を撮る前にパクついてしまいました済みません(汗

 

 

 こちらは伊賀FCくノ一三重のブースです。選手が自らグッズ販売に出ています。中には負傷中の選手もいました。

 ちなみに、今年のなでしこリーグ、くノ一は残り2試合をこのスタジアムで開催するそうです。

 

www.igafc.jp

 

 

 グッズコーナーでは今季途中で復帰したカズのユニフォームを売り出していました。見ていると、丁度選手が到着したのか、小学校低学年ぐらいと思しき子どもたちが「カズだ!」と言って走り出していきました。

 ドーハやジョホールバルの時代を知るのは親世代、どころか下手をすると祖父母世代であってもおかしくないのに、こうして子どもたちの人気を集めている。鈴鹿での数のプレーもあったのでしょうが、上の世代から「伝説」が受け継がれているのかな、とも思ったりしました。

 

 

 食料調達も済んだので入場です。今回はゴール裏自由席へ。ホーム、アウェーともゲートは共通で、バックスタンドの裏になります。

 

 

 ゲートからはスタンドではなくピッチの外を歩いてアウェーゴール裏に向かいます。距離はありますが、なかなか楽しい経験です。

 

 

 高知側ゴール裏につきました。今日は高知を出る時から曇天模様でしたが、雨の心配はなさそうです。

 

 

 選手入場。この日はリスペクト・フェアプレーデイズ2024ということで、両チームからフェアプレー宣言が出されました。

 

 

 そして試合です。この日は鈴鹿ボールで前半開始。すると高知は早々にボールを奪い、優勢に試合を進めます。ただ、なかなかシュートまでにはつながりません。

 

 

 その後も試合は高知が攻めつつ、鈴鹿がカウンターを狙う展開で進行しますが、両チーム得点はなく、飲水タイムで一時中断します。

 

 

 ところが、再開後は徐々に鈴鹿優位の場面が生まれます。すると33分、鈴鹿は右コーナーキックから競り合いの末、最後は31番モハメド・ラミンが押し込んで先制。

 

 

 ビハインドをはね返すべく高知は攻め続けますが、どうしても得点につながりません。そのまま前半は1-0で終了です。

 

 

 ハーフタイムには地元のよさこいソーランチームの演舞がありました。

 

 

 続いては伊賀FCくノ一三重の試合PRです。選手に加えて誰か出てきたと思ったので調べてみたら、伊賀FCくノ一三重のキャラクターの「くノんちゃん」だそうです。

 

www.igafc.jp

 

 

 後半は高知ボール。高知は選手2人を代えて前がかりで攻めますが、鈴鹿の堅守を崩せず。あげく、カウンターを喰らったところで痛恨のPKを与えてしまいます。

 

 

 51分、鈴鹿は10番中村がPKを落ち着いて決め、リードを2点に拡げます。

 苦しい展開となった高知。まずは1点を返すべく攻め続けますが、GK33番ディエゴ・ワシントンの前に悉く跳ね返されてしまいます。

 

 

 そんな中、62分にはモハメド・ラミンに代わって11番カズがついに登場。これで例によってJFL最年長出場記録更新です。

 

atletico-suzuka.com

 

 いろいろ意見があるのは承知していますが、先程見たように鈴鹿での人気は間違いなさそうです。試合前の選手紹介でも拍手がとくに大きかったですし。それに、交代となったラミンは29分にたくあんを喰らっているので、2枚目を受けて退場となるよりは、という考え方があってもおかしくはありません。

 何より思うのは、自分が57歳216日になった時に何がしか誇れる記録を作っているだろうかということです。あと10年ないと思うと、焦りはしないまでもいろいろ考えてしまいます……

 ここからも高知は攻めを諦めませんが、一方の鈴鹿もカズがゴールエリア手前まで引くなど全員で高知を阻みます。80分には高知が右コーナーキックからボールを押し込まんとしますが、ラインを割るギリギリのところでGKが阻止します。

 

 

 結局その後スコアは動かず、2-0で試合終了。高知にとっては悪い展開でなかったものの、とにかく1点が遠かったです。

 ですが、それでも久々の遠征に行けて良かった!移動時間13時間で現地滞在4時間弱、何より勝点3という一番のお土産を持って帰れなかったのは残念ですが、間違いなく、いま、ここにあるサッカーを楽しむことはできました。

 そしてJリーグ入りに向けての現状ですが、今節の結果によって高知と2位栃木シティの勝ち点差は8から7に縮まりましたが、高知が自力で優勝を決めるために必要な勝点は23から21に減りました。栃木シティが高知戦を含む残り9試合で全勝しても、高知が栃木C戦を除く残り7試合を全部勝てば優勝が決まります。

 

docs.google.com

 

 そして、今週は運命の1週間です。10月2日(水)には台風の影響で延期されていた2位栃木シティと3位ヴィアティン三重との対戦が三重ホームで開催。さらに6日(日)は高知が栃木シティを迎えての直接対決です。

 

kochi-usc.jp

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 サッカーに限りませんが、長くスポーツを見ているということは、ある日突然チーム・クラブの未来が消えてしまう、奪われてしまうのを、何度も目の当たりにしてしまうことでもあります。

 だからこそ、まさにいま、ここにあるサッカーを大事にしていかなければならない。JFL加盟クラブ含め、消えていった者たちのことを思うと、実感するところです。

 その一方で、では、なぜいまここにサッカーがあるのか。こと高知に関して言えば、Jリーグを目指すクラブとして誕生し、その後さまざまな課題に直面しながらも、存在理由たるJリーグ入りという目標を掲げ続けて歩み続けたからことでしょう。もしそこにブレがあったとすれば、これまでのようなサポートは受けられていたかどうか。そして今季のような成績が挙げられたとして、はたしてこれほどまで応援の輪が広がっていたかどうか。

 だからこそ、この歩みを止めてはいけない。そして、一歩ずつ確実に進んでいることを示さなければならない。次節、10月6日は、そんな歩みを示す絶好のチャンスです。クラブ全体が最善のパフォーマンスを発揮することを期待します。