2021年6月9日に行われるモンゴルの大統領選挙。COVID-19パンデミックが収まらない中、どのように行われるのかを簡単にまとめました。
- 1. 大統領選挙は今回から6年おきに実施
- 2. 大統領選挙は直接投票、全国まとめて実施。
- 3. 投票は2段階
- 3. 在外投票は5月30、31日に実施済
- 4. COVID-19による自宅隔離対象者は隔離先で投票
- 5. 白票も有効扱い、立候補者の得票率に影響
1. 大統領選挙は今回から6年おきに実施
前回のエントリでも書きましたが、2019年の憲法改正で大統領の任期が1期のみ6年となりました。そのため、これまで4年おきに行われてきた大統領選挙も、今回から6年おきとなります。
また、前回(2017年)と前々回(2013年)は初回投票日が6月下旬に設定されていましたが、今回は早めに行われることになりました。この辺の理由は正直なところ分からないのですが……
2. 大統領選挙は直接投票、全国まとめて実施。
モンゴルでは大統領選挙が有権者の直接投票で行われます。また、全国一律、単一の選挙区にまとめて実施されます。ですので、死票が多く出る*1国家大会議(国会)総選挙とは異なり、投票者の意思がそのまま反映される形となります。
3. 投票は2段階
また、投票は憲法31条の定めに従い、2段階で実施されることになっています。
このうち、初回投票には国会に議席を有する政党・同盟が立候補者を1名ずつ立てることができます。ここで過半数を得た立候補者が出た場合、2回目投票は行われず、その立候補者の当選が確定します。
一方、初回投票で過半数を得た立候補者がいなかった場合、最も多くの得票を得た2名を候補者として、2回目投票が行われます。ここで過半数を得た立候補者が出た場合、その立候補者の当選が確定します。しかし、これでも過半数を得た立候補者がいなかった場合、どちらも当選とはならず、再選挙が行われます。
なお、過去に2回目投票が行われたのは2017年のみ。それ以外は初回投票で過半数を得た立候補者が出ています。
3. 在外投票は5月30、31日に実施済
外国に在住するモンゴル国民にも、大統領選挙の投票権はあります。ただし投票は一般の投票日より前、5月30日と31日に既に行われています。
モンゴルの通信社モンツァメによれば、在外モンゴル国民のうち有権者は7394名*2、そのうち5618名が投票しており、投票率は76%。前回の在外国民の投票率が66.3%ですから、大幅に上回ったことになります。過去の選挙と比べると、モンゴルの報道からほとんど熱気が感じられなかっただけに、これは率直に言って意外でした。
ちなみに、日本では東京にある大使館と、大阪にある総領事館で投票が実施されています。
4. COVID-19による自宅隔離対象者は隔離先で投票
今回の大統領選挙は、昨年の総選挙と同じくCOVID-19パンデミック下での国政選挙となります。モンゴルでは昨年11月から市中感染が続いていて、感染者や入国者、都県をまたがる移動者に対しては隔離措置が行われています。
このうち、自宅隔離ないし観察中で外出が認められない有権者の投票が、一般投票日前日の6月8日に行われます。投票に際しては5日までに管轄の選挙委員会に申し出る必要があり、当日は投票箱の巡回があるので、そちらに票を投じることになります。
なお、自宅隔離対象者に加えて、COVID-19対策で勤務中の公務員*3や医療従事者等も、この巡回投票の対象者となるようです。投票方法の案内を含めた詳細は先程と同じくモンツァメ社の記事にありますが、こちらは英語がないのでモンゴル語のみ。
ただ、入院中の患者の投票方法については、解説した報道がまだ見つかっていません。おそらく病院で巡回投票が可能ではと思うのですが……
それどころの状態ではない人もいるでしょうが、権利は権利ですからね。
5. 白票も有効扱い、立候補者の得票率に影響
モンゴルの選挙で、日本のものとの違いとして注目されるのが、白票も有効票と判定されることです。つまり、白票が増加すれば、各立候補者が過半数を得る確率はそれだけ低まることになるのです。
このことから、2017年大統領選挙の2回目投票では、有権者に白票投票を呼びかけ、再選挙に持ち込もうとする「白い選択」運動が展開され、注目を集めることとなりました。この運動は結局成功せず、今回に関しては動静が報じられていないのですが、頭の隅には置いておくべきことかと思っています。
次回からは各候補者について紹介していく予定です。