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地域系学部というのに加わった大学教員による高知発モンゴル発のいろんなモノゴトや研究(?)もろもろ。

「ハルハ河/ノモンハン」から80年のモンゴルへ(6)モンゴル・日本合同慰霊祭に出席

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 ウランバートル最終日。この日はハルハ河/ノモンハン戦争犠牲者の慰霊祭があります。モンゴル・日本の高僧が、この戦争で亡くなった全ての犠牲者を追悼する貴重な機会なので、私も出席する予定です。

 

 

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 ホテルからタクシーで10分程。ウランバートル中心街の東北部にある、マンバ・ダツァン寺というチベット仏教寺院が慰霊祭の会場です。白塗りの平たい壁と平屋根は、典型的なチベット仏教寺院の造りです。

 

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 屋根には左右を鹿に護られた法輪が掲げられています。チベット仏教寺院を象徴するものの一つです。

 

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 チベット仏教がモンゴルに普及するのは16世紀以降のこと。ただ、現代の日本における宗教のイメージとは異なり、チベット仏教は当時のモンゴルにおいて教育・医療を担う存在にもなりました(だからこそ定着したのだと思います)。

 その後、社会主義時代の弾圧や抑制を経ながらも、チベット仏教とその智恵はモンゴルで受け継がれてきました。特にこの寺院は伝統医療の研究教育に力を入れているようで、本堂の隣にはこのような診療・研修センターも設けられています。

 

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 寺院に入ると、ちょうど音楽の演奏中でした(写真掲載は控えます)。

 驚いたのは、中央の僧侶がギターを弾いていたこと、女性がヨーチン(モンゴルの琴)を弾いていたことです。もっとも、僧侶がギターを弾いてはいけないという法はないはずですし、社会主義時代に世俗化と女性の社会進出が進んだモンゴルなので、仏教僧と言っても女性と共に音楽を演奏するのを禁じることはないのかも知れません。

 その後、モンゴル・日本双方の高僧による挨拶に続き、マンバ・ダツァンの僧侶らによる読経、日本側からも読経が続きます。チベット仏教の読経はブレー(ラッパ)とツァン(シンバル)も入った賑やかなものです。

 日本側の読経とは対照的と言えばそうなのですが、日本でも宗派によっては法螺貝や鐃鈸(にょうはち)と呼ばれるシンバルを用いるので、さほど違いが大きいとも思いません。ただしあくまで慰霊が目的なため、この間写真は撮っておりませんので悪しからず。

 読経が終わると、モンゴル・日本の参加者が祭壇に蝋燭を捧げます。犠牲者の霊を弔うだけではなく、これからの不戦と平和を願う機会でもあります。私も加わらせていただきました。

 ハルハ河戦争はモンゴルにとっては自国防衛を果たした戦いであり、かつてはソ連との強固な友好関係、兄弟関係の象徴でもありました。

 そして、交戦国たる日本は、当時モンゴルの独立を脅かす存在の1つであり、警戒すべき存在でした。ハルハ河戦争での被害のみならず、1930年代に多くのモンゴルの人々が、「日本のスパイ」の汚名を着せられ、命を奪われています。その一方で、日本からすれば、第二次世界大戦終結後に旧満州から多くの日本人抑留者がモンゴルで強制労働を強いられ、1,000人を超える人々が亡くなった事実を忘れるわけにはいきません。

 ですが、今ではモンゴル・日本の人々が協力して、分け隔てなく戦争の犠牲者を弔うことができるようになりました。そうなった背景を逐一説明するのは大変なので、ここでは避けますが、前述したような過去に東西対立が加わっていた時代から、両国の関係を良いものにしようと尽力してきた人々がその下地を作ったことは強調しておきましょう。

 ソ連崩壊後の今も、ロシアが「戦勝」80周年をアピールし、モンゴルにおける存在感を示そうとしているのは、これまでに見てきた通りです。さらに言えば、一昨日にはロシア空軍のデモンストレーション飛行がウランバートル付近であり、とんでもない轟音に驚かされたところです。

 ただ、華々しい勝者の中にいるのではなく、戦争の惨禍を心に留め、平和と友好を願う一員としてモンゴルに来ていることを、私は誇りに思っています。

 

 慰霊祭の終わりに、マンバ・ダツァンのナツァグドルジ管長猊下から贈り物を頂戴しました。後で見てみると、先程の医療・研修センターのパンフレットと、ご自身が制作された経典のCDでした。

 

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