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「地域」研究者にして大学教員がお届けする「地域」のいろんなモノゴトや研究(?)もろもろ。

「地域協働2018年度の歩み」実習報告会に行ってきました

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 高知大学地域協働学部では学部支援団体「地域協働教育推進会議」(以後「推進会議」)主催の下、毎年度末に実習成果報告会を行っています。今年度は初の試みとして、学生の企画・運営による「地域協働2018年度の歩み」として開催しました。

 

 

 高知大学地域協働学部では学期ごとに実習先と学内の両方で成果報告会を行っており、今までの推進会議主催の報告会はそれらと別建てで行われていました。ただ、報告会を3回行うことが学生に過大な負担となっていた一方、夕方からの開催だったため、各クラス・班の成果を伝えるには報告展示の時間も空間も不足していました。そこで、今回は学内報告会と推進会議報告会を一元化するとともに、市内に会場を借りることで、時間とスペースの大幅拡充が可能となりました。

 そして、今回の報告会は3年生が主体の実行委員会を組織し、実行委員会が企画・運営一切を取り仕切る形で開催。ほぼ第2学期全体にわたる準備作業の末、2019年2月9日に報告会当日を迎えました。

 

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 報告会では、メイン会場で2, 3年生が実習地ごとにブースを構え、それぞれの実習成果を報告します。

 

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 一方、第2学期に本格的な実習が始まったばかりの1年生は、メイン会場に入りきらないこともあり、別会場でポスター報告を行います。メイン会場から少し離れているため、参加者の方に来ていただけないのではと心配していたのですが、フタを開けてみれば学外の方にも結構来ていただけました。中には、卒業生を訪ねて来られた高校の先生もいらっしゃいました。こういうつながりが続いているのは良いなぁと思いますし、こちらにとっても適度な緊張感を与えてくれます。おたくの卒業生は元気で頑張っています、と言えるようにしないといけませんからね。

 

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 こちらは私が担当する1年生佐賀北部班のポスター。この裏にさらに2枚あって、めくっていきながら説明していきます。

 報告の内容は、実習での取り組みや学んだこと、反省点、それらを踏まえて2年次以降に取り組んでいきたいことなど。それぞれを端的にまとめたスライドに、内容に合わせた切り絵を貼り付けています。

 

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 傍らではスライドショーで、実習での写真を放映しています。

 ちなみに、今回の展示の内容、私は全くと言っていいほど口を出していません。他のクラス・班も同様だと思いますが、そうなると所属学生の(教員も?)の個性が展示に出るようで、デザインに凝るところ、小道具を作って報告に使うところ、報告会に合わせて小冊子を作って配るところ等さまざまです。

 で、佐賀北部班に関しては、基本的にオーソドックスな報告スタイルで、中身で勝負するものになったと思います。私としては、実習内での発見について深く考えることを実習先での活動自体と同じぐらい重視してきたつもりなので、その結果が報告として伝えられたことは良かったと思っています。

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 一方、3年生にとってはこの報告会が2年間(学生によっては2年半)の実習の集大成です。3年生で私が分担した大豊町クラスは、大豊町、とりわけ拠点となったゆとりすとパークおおとよを再現するというコンセプトでブースを作成しました。

 

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 パーク付近に立つ風力発電の風車の模型です。余談ですが、2年間で現地の風車は結構増えました。

 

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 というだけなら文化祭の展示になってしまうのですが、あくまでメインは実習成果の報告。クラス内の各班が取り組んできた企画の報告も、もちろん展示されています。

 

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 大豊町クラスの場合、ゆとりすとパークおおとよでの企画に加え、地域のより広範な人々を巻き込む企画の立案から実施、評価までを3班に分かれて行ってきました。

 

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 こちらは3年生の佐賀北部班のブースです。拳ノ川小学校の児童たちと作って飛ばした凧が飾られています。

 

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 ブースの左側は実習地紹介と、実習成果の一端である絵手紙の作品集です。

 

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 こちらが報告のメイン。受け入れ先の集落活動センター佐賀北部、拳ノ川小学校での活動を、ご覧の通り数多い写真を交えて、時系列で示しています。

 

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 ところどころある画用紙。単なるキャッチフレーズかと思いきや、右下に別に何か書いています。

 

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 めくってみると、実習でのエピソードが書かれていました。画用紙によって、成功もあれば失敗もあるのですが、それが全て学生にとって二つとない貴重な経験になったのではと思います。

 

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 いろいろな問題を乗り越えて、地域の子どもたちに、郷里への愛着を生んでいった3年生佐賀北部班。これからは2世代目たるわれわれの出番です。この辺については、以前のエントリで書きましたので、ぜひご一読のほど。

 

3710920269.hatenablog.jp

  

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 こちらは3年生、黒潮町のうち旧大方町の実習班のブースです。黒潮町は旧佐賀町と旧大方町が合併してできた町で、面積が結構広く行き来するのも大変で、3年生黒潮町クラスは実質的に旧の2町で分かれる形となりました。

 

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 2年間の実習の評価が書かれています。学部では学生がさまざまな企画やプログラムを行うのですが、「やって終わり」は認められません。必ず何がしかの指標で評価を行い、その結果を踏まえた改善案まで、地域の方々に報告してから、実習を終えることになります。

 

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 そして、実習活動全体のまとめ。2年間の経験と学びを踏まえた提案を、学生・地域がどう活かしていくかがこれから問われてきます。

 

 

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 ブースの中でも圧巻だったのが、大月町・宿毛市クラスによる「里海神社」の大鳥居。「里海」とは大月町柏島周辺の海を、人と共存する海と捉えた言葉とのことです。

 

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 大月町・宿毛市クラスが発行してきたイラストペーパーが、日本から海を通じて、世界各地に広がっています。

 

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 今回の報告会ではクラス・班ごとの展示に加えて、学生による3つのトークセッションが行われました。どのセッションも立ち見が出る程の盛況だったようです。こちらはセッション中のやり取りを書記がまとめたもので、終了後すぐに休憩室に貼り出されました。

 

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 第2セッションは議論が特に多かったようで、模造紙は6枚に及びました。

 

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 こちらは5枚目と6枚目。単なる文字記録だともう少し模造紙が節約できたかも知れませんが、ポイントを端的に伝えるならこういう方法もあるかな、とは思います。

 

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 第3セッションでは、推進会議の方々にも話題提供者に加わっていただきました。

 

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 高知で活躍する企業人と学生が開かれた場で語り合う機会は、これまであるようでなかった気がします(あっても一部の人に限られていた感じが)。この試みが続けば、高知県内の企業が学生にとってより身近なものに思えてくるかもしれません。あるいは、こういうところに市町村の職員の方が我こそはと参入すれば、学生の目がさらに向いていくとも思われます。もっとも、そこで何を語るかが大事なわけですが。

 

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 推進会議で学生を支えてくださっている方々へのインタビュー内容。ここで語られた思いに少しでも応えられていればいいのですが、実のところ全てにというのは難しいところ。だからこそ、今回のように学生と推進会議の方々の接点をつくり、お互いの思うとことをぶつけ合うことが重要になるのだと思います。

 そして、前述の通り、今回の報告会で3年生クラスの活動は終了です。私は昨年度から今の学年の大豊町クラスを担当していたのですが(その前は1学年上の同クラスを単独で担当していました)、2年間を振り返ってみれば至らなかった点ばかりが思い浮かんでしまい、それらをまとめることすら難しいところです。あげく最後はほとんどリタイア状態で、学生にも伝えたところですが、忸怩たる思いは強いです。ただ、今は2年間の経験を学生が活かしてくれることを願うばかりです。それを学生がどう捉えているとしても。

 

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 報告会終了後、学生から実習で作成した入浴剤をもらいました。大豊町活性化の切り札として普及を目指すブルーベリーで作った入浴剤です。

 これが私にとっても、2年間の主な成果の1つです。使えばすぐになくなってしまいますが、その経験と記憶は長く残ります。