NPO「ぬた守る会」事務所完成お披露目会、お昼休みから午後の部です。ただし諸事情により写真は少ないのですが、あんまり少な過ぎるのも寂しいので、まずはお昼のお弁当500円。ちなみに、豊永のスーパーで事前に注文して作ってもらいました。
これにしし汁2杯の腹ごなしに、少し周囲を歩きます。事務所の隣にあるお堂でも桜の木が盛りを迎えつつあります。
ふもとからの道路脇でも、種々の花がそれぞれの色で咲いています。まだ寒い尾根の集落ですが、春は来ているのです。
さて、午後の部は大豊町岩崎町長と学生による対談から始まります。対談は基本的に、まず町長のライフヒストリーを伺った上で、学生が町長に質問し、町長が回答する形で進みました。写真は割愛しますが(大豊町の広報誌『ゆとりすと』には掲載されると思います)、町長のお話から、戦後の山村で生計を立てるための苦労や、仕事を求めた同年代の人々の人口流出(学校を出るとほとんど町外に出て行ったとのことです)などを伺い知れた気がします。これらは同年代の町民の方々から伺うお話とも符合していて、あらためて大豊町が現在に至る経過を確認することになりました。
各地が抱える課題には、当然ながら歴史的背景というものがあります。ただ、現地での実習、特に作業の中では、それらはなかなか見えてきませんし、下手をするとそれらに目を配ることの大切さを学ぶ機会も出てきません。それだけに、学生にはこういう機会をきっかけに、実習地の現在に至る歴史を知ろうとしてもらえればと思います。幸い、大豊町史はウェブでも見られますし。
あと、人口減が止まらない中で、それでもこの土地で暮らす人には、その土地に対する思いというのがあるのも忘れてはなりません。ただ、その思いもまた人それぞれですし、それをどう引き出し、理解しようとするのか、これは学生のみならず教員にも問われていると思っています。
続いては、民謡歌手津本ゆかりさんによるコンサート。岡山出身の津本さんは現在大豊町に居住していて、今回ご出演いただけることになりました。
日本各地の民謡はもちろん、何せ高知なので三山ひろしの「四万十川」も披露していただけます。若い人もお囃子に参加して、かなりの盛り上がりでした。
ちなみに、津本ゆかりさんは来月から怒田集落で無料の民謡教室を開くとのこと。この他、イベント等への出演に加えて、民謡の収集・保存にも努められているとのことです。詳しくはFacebookページをご覧ください。
続いては、落語ナビゲーター中澤ミツルさんによる落語鑑賞講座。落語の初回に加え、落語を見る上でのポイントについての解説です。実演も交えてのレクチャーは、予定時間を超えるほどの分量の多さ、濃さでした。
で、写真は本文と関係ないのですが(汗)、場面転換用に。
イベントの最後は映画上映です。と書きましたが、今回見た作品は「この世界の片隅に」のドラマ版の方です。無料上映は良いとして(著作権法第38条第1項)、いくらなんでもワンシーンをここで出すわけにはいかないですし、そもそも撮ってもないので、こちらも写真は割愛というわけです。
作品については、今さら私が解説するまでもないでしょう。一方で、大ヒットとなったアニメ版との異同もあるようですが(ドラマ版が先で、そちらを基に製作されたそうです。知らざった)、こちらも詳しくないので、私には語りようがありません。
ただ、こういう作品を、様々な世代の人々が混ざって観たことには、何より意味があったと思っています。戦争を知る世代がスクリーンを見ながら、ああじゃった、こうじゃったと話し合っている場に、学生や相対的に若い世代(私含め)が居合わせることは、この場所ならではの貴重な経験でした。もっと言えば、さらにその場に1歳にもならない赤ちゃんがいたことも。
作品を観ながら、「非常時」と言われた時代が本やウェブ上に書かれただけのものではなくて、実際に生きた生身の人間がいることを体感的に理解すること。そしてその理解から、自分よりさらに生きるであろう人間の未来に思いを致すこと。上映会は、少なくともこのきっかけにはなったはずです。それは、映画館や学校の鑑賞会等で「見るべき作品」をただ鑑賞するだけでは得られない、限界集落ながら新たな住民・学生も受け入れてきた、怒田集落なればこそ生まれた機会ではないか、そう思います。
上映会も終わると、空はだいぶ暗くなりました。日が落ちるのはまだ先なはずですが、昼からずっと天気が悪かったので、暗くなるのも早くなります。
そんな中で、事務所の電気が灯っています。街灯の無い山の集落に、1つだけですが確実に増えた、新たな灯りです。
なお、前篇はこちらから。
また、高知大学地域協働学部ウェブサイトでもレポートがアップされております。こちらもぜひ。