天気が良ければ大平で作業をする予定だったのですがあいにくの雨。すると怒田集落まで歩いて行こうという話になりました。距離は4キロ強、落合まで下ってから一気に山を登ることになります。
本篇に入る前に、大平集落篇が未読の方は下記リンクからご一読のほどを。
さて、大平集落から落合を経て怒田までの道は舗装されてはいますが、林の中をうねるガードレールの無い片側1車線、昼間だからいいようなものの、街灯なんてあるわけがありません。車が通りがかることもほとんどありません。市街地とは全く異なる風景の中を歩き、移動のバスや車では分からない地域の環境を体感します。
われわれにとっては残念な天気ですが、雨が残念かどうかは生き物次第。歩いていると、ときに沢蟹が道路を渡るのが見つかりました。
しばらく歩くと、東豊永小学校跡を通りかかりました。
ここには昭和60年代まで小学校があったそうです。ただ考えてみると、廃校になったのは今の学生たちが生まれる10年ぐらいも前の話なんですよね。昭和60年代というと阪神タイガース日本一とか阪神タイガース日本一とか阪神タイガース日本一とかがバッチリ記憶にあるのですが、もうそんなにも昔になるのかと思うと、われながら年を取ってしまったものだと哀しくなるものです。
学校跡は、かつてのグランドと言われれば納得できるぐらいの広いスペースが残っていますが、校舎跡らしきものを見つけることはできません。
この地域に長く暮らす人でもない限り、小学校があった頃の姿を想像することは非常に困難です。
校門跡。刻文によれば、この校門が建てられたのが昭和51年。10年ほどで用済みになってしまったことになります。課題先進県と呼ばれる高知県の現実です。
閑話休題。ここから軽い峠越えの後、落合の集落が見えてきました。手前に見える橋は新道建設が進む国道439号線に向かうルート。普段ならここをバスや車で通って怒田に向かいます。
ただ、今回は地域を歩いて見るのが目的。集落を越えたところに吊り橋があるので、こちらを渡ります。そして向こうに見えているつづら折りの坂を登り、さらに林を抜けて怒田まで上がっていきます。
吊り橋を渡ったところから振り返ってみました。いよいよここから上り本番です。
途中に立っていた古道のルートを示す看板。怒田でも以前見かけました。
林の中を右へ左へ歩くうち、ようやく怒田集落が見えてきました。といっても見えてきただけで、目的地はまだまだ先です。集落に入っても傾斜地が続くので、道路はまだまだ蛇行を続けます。
と、言われてもなかなか想像がつきにくいかも知れませんが、googleマップ(怒田までストリートビューが使えるのです)やAPIを用いたサイトの力をお借りして調べたところ、登りはじめの標高が320m弱、そこから2.5キロほどで標高を200メートルほど上がることになります。平均勾配は千分率で約80‰(パーミル)、日本の鉄道で最も勾配が急な地点(箱根登山鉄道)とほぼ同じです。
ただこちらはあくまで平均勾配です。ということは、坂が急なところでは、もはや鉄道ではなくケーブルカーで上下するクラスになります。それをいきなり自分の足で、しかも2.5キロ登った(その前に峠道を1.5キロは歩いています!)わけですから、そりゃもう、ねぇ……
というわけでまだまだ歩きます。
ただ、鬱蒼とした林の中とは違って、目を楽しませてくれるものがあるのは嬉しいところ。
何より車も通れる(というか普段は車で通ってる)道路ですから、登山道を通るほどの苦労はありません。道路舗装というもののありがたみをあらためて感じた次第です。
ようやくたどり着いたふるさと館。ここにバスが先回りしていたので、お昼のお弁当や荷物を取って、さらに坂を上がります。
坂をまだまだ上がって、お堂の隣にある公民館。この辺りからは普段バスで来る時でも降りて歩いているので、もう勝手は分かったようなもの。あと少しというのが分かると俄然力も出るもので、結局はほぼ予想通りの時間に、1人の脱落者も出さずに到着しました。
歩き通しの身には、お昼のお弁当がおいしいこと。しばし談笑ののち、怒田での今後の活動についての話し合いです。
その傍でピーチクパーチク聞こえるので何かと思っていたら、燕が2羽、巣を作れそうな場所を探しているようでした。
話し合いの次は野良仕事。その合間に、午前に訪れたばかりの大平を眺めてみました。画面中央の上の方にある集落がそれです。あちらから山を下ってまた上がってきたのです。トータルのアップダウン、300メートル近くはあるでしょうね。
さて、午後からの作業はオリーブ畑とキウイ棚の草引きです。雑草を全部片付ける必要まではないのですが、オリーブの苗木のすぐ近くのものは取り除かないといけません。
人数が多かったので作業は割合早く終了。なのですが、これからの季節草はどんどん生えてきます。また近いうちに草引きが必要になるかも……
作業後にはゆずゼリーを頂きました。結構な量があったはずですが、気がつけば無くなっていました。
来月からは作業もありますが、いよいよ企画立案の本番。地域のニーズはもちろんのこと、学生なりの地域課題の探究、把握と分析、その結果に基づく企画の原案作成、さらにその後いくつものステップへと続く実習が始まります。