薊野駅まで来れば、高知まではあと一駅。いくつもの坂を越えてきた普通列車が、ラストスパートを始めたところです。
高知市北東部、住む人々も行き交う車も多い薊野駅周辺。上下に分かれた線路が、マンションや住宅が立ち並ぶ中、駅の両側に架かる高架道の間にいっぱいに伸びています。
奈半利からやってきたごめん・なはり線のディーゼルカー。薊野を出れば、次が終着駅です。
車体に描かれた路線のイラストが、通勤・通学客を小さな旅へと誘っています。
目指す高知はもう少し。ただその前に、列車をやり過ごさないといけません。
発車を待つ高知行の横を、岡山までの旅を始めた特急が、轟音と振動とともに駆け抜けていきます。
特急が去った後、もう1本やって来る行き違いの列車を待って、列車はまだ佇んでいます。
土佐山田行の普通列車が、北側のホームに入ってきました。
夕方のラッシュ時、減ったとはいえ多くの乗客を乗せ、それぞれの列車が目的地に向かいます。
ホームを降りてみました。通勤・通学客が多い駅なだけに、駅前は自転車が目立ちます。
駅の横にはお地蔵さまがおわします。鉄道事故の犠牲者慰霊と安全を祈願して、今は駅のすぐそばに立っています。
さて、この駅名もまた高知でしばしば直面するトラップ。「あざみの」ではなく「あぞうの」と読みます。
ところが道路に出てみると、「あぞの」という看板も見るのです。
かつての路線の呼び名「土讃本線」が残る地図。ここにもまた、「あぞの」という表記が見えます。
とはいえ、地名としては「あぞうの」が正式なもの。もっとも、それも長い年月が経てば、あるいは「あぞの」に取って代わられるかも知れませんが。
車庫からの回送のディーゼルカーが、冬の夕陽を正面に受けて、ラッシュの高知駅へと右側通行で通過していきます。
これもややこしいことに、薊野駅に入る列車は、左側通行とは限りません。他のローカル駅でもあることですが、あるいは駅の出口に近いホームを使うべく、あるいは行き違いの都合で、左側通行になったり、右側通行になったり、列車によって乗り場は異なります。
駅の注意書きははっきりしない物言いですが、利用者は迷わずご注意が必要です。