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「地域」研究者にして大学教員がお届けする「地域」のいろんなモノゴトや研究(?)もろもろ。

シリーズ土佐の駅(124)土佐岩原駅(JR土讃線)

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 高知県の東は奈半利、西は宿毛に端を発する鉄路が合流して北を目指すうち、県内で最後に通るのが、土佐岩原駅。つまりは、県内では最北端にある駅です。

 

 

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 冬の朝。阿波池田行のディーゼルカーが去り、次にこの駅に列車が停まるのは、1時間半以上後のことです。そんな駅に佇む人は、一人の物好きを除いて誰もいません。

 

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 ホームから少しだけ階段を下りたところに、駅舎があります。白い枠のガラス引き戸に、駅のドアとしては意外感を覚えます。

 

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 無人駅の中はシャッターで閉ざされ、スペースはほとんどありません。ただ四国の山中の鈍行だけが停まる駅では、このベンチが埋まることもそうないのかも知れません。

 

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 上り7本、下り8本だけの発車時刻表。隣にある小さな特急の通過時刻表の方が、本数ははるかに多くなっています。

 

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 駅舎内の待合室、というよりはベンチが置かれた通路を離れ、岩原を少し歩いてみましょう。

 

 

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 土佐岩原駅の駅舎。昭和末期に、日本中の田舎で建てられたであろうペンションや喫茶店を、白一色の建物から連想しました。

 

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 もっとも、駅舎と一体となっている倉庫は、むしろ消防団が使いそうな感じのもの。ここを実際にどう使っているのか、あるいは今も使っているのかは分かりませんが。

 

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 駅の左手には駐車場が置かれ、その先に、山間部の集落や対岸の国道32号線に出る道が伸びています。

 

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 すぐ近くには、吉野川に注ぎ込む赤根川流域の観光案内が出ていました。

 案内図にもあるように、岩原は500年を超える歴史を持つ神楽が今も残っていて、神社の祭事はもちろん、他のイベントで演舞することもあるようです。

 

www.otoyo-iwahara.com

 

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 少し歩くと、消防団の駐屯所がありました。

 正月飾りも施してあり、ポスターもまだ新しい。この分だと消防団は今も活動していそうですし、先程の倉庫も現役なのでしょう。

 

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 駅前のスクールバス乗り場。大豊町内の小学校、中学校は、今やそれぞれ1つだけ。さらに町内を走る民間のバス路線もほとんどなくなってしまった今、スクールバスは町民も便乗できる地域の足になっています。

 

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 吉野川に架かる古いトラス橋が、駅と対岸を結んでいます。その先には、高松から高知への国道32号線が走っています。

 

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 吉野川の上流方面。住宅は山間に点在していて、川辺にはラフティングの施設もあります。

 

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 下流側を見ると、駅から近いところに住宅が集まっています。決して広くはない土佐の山あいで、住宅地は山腹の割合高いところまで広がっています。

 

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 国道に出て、高松方面を眺めます。かつては賑わった主要国道、今も昼間は大型トラックが走るのをよく目にしますが、この時間はあまり車自体を見かけません。

 

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 高知方面には速度取り締まりのカメラが設置されています。谷あいを縫うとはいえ直線や緩いカーブも結構ある辺り、放っておくと速度をかなり出してしまうドライバーも少なくは無さそうです。

 

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 ここから国道を歩いても、北はもう県境の手前、南は豊永まで数キロ、その間特に何があるとも思えません。折り返して、駅の方に戻ります。

 

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 橋を渡り切ったところの電柱に、折れたパドルの先が取り付けられていました。これははたして何を意味するのか、何の手がかりもありません。

 

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 おそらくは廃校を利用したのであろう宿への案内。都会ならいざ知らず、この辺りでは4.5キロなら近いうちに入るのでしょう。

 

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 土佐岩原駅の下りホームが、駅舎付近から長く伸びています。

 かつてはこのホームの端までかかる列車があったのかと想像してみますが、今はほとんど1両のディーゼルカーが、ちょこんと停まるだけです。

 

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 駅に戻って、北側の集落を歩きます。ただ休みの朝、集落はほとんど眠っている状態。通りにある商店も、店開きはまだ先のようです。

 

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 踏切の辺りで、土讃線はかなりの急カーブになっています。この先のトンネルを抜ければ、徳島県はすぐ近くです。

 

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 アンパンマン列車が車体を思いきり傾かせながら走っていきます。土佐岩原はそのまま走り抜ける特急ですが、隣の大歩危には全て停まります。

 

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 再びホームへ。特急が―四国の鉄道としては―高速で駆け抜ける区間なので、安全のために跨線橋が置かれています。ただホーム自体は簡素なもので、跨線橋とわずかしか変わらない程度の細さです。

 

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 今度は下りの特急が過ぎ去っていきました。ようやく高知県に入った特急ですが、目指す目的地はまだまだ先。それが中村や宿毛となれば、旅程の半分も終えていないことになります。

 

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 跨線橋から眺める岩原駅周辺の風景。伸びてゆく線路や川に架かる橋など、ジオラマにでもありそうなイメージですが、考えてみれば、そう感じた理由の1つは、生身の人間の姿を見ないことにあることに気づきました。

 

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 岩原の集落。もう少しすれば、人々の営みが始まるのでしょう。

 

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 下りのホームに降り立ちます。反対側の上りホームは駅舎に近いのですが、それでもホーム上に待合所が置かれています。

 

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 下りの待合室には、国鉄の財産であることを示す表示が今も残っていました。国鉄が民営化されてほぼ35年、いずれこの表示も、JR時代の経験の方が長くなります。

 

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 長く伸びる下りホーム。行き違いのできる区間も長くとってあります。ただ貨物列車でも復活しない限り、この区間をすべて使うことはなさそうです。

 

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 高知行の普通列車が入ってきました。ただ過ぎ去るものを除けば、ようやく人の気配が訪れました。