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「地域」研究者にして大学教員がお届けする「地域」のいろんなモノゴトや研究(?)もろもろ。

シリーズ土佐の駅(108)新改駅(JR土讃線)

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 高知から土佐山田を出ると、いよいよ四国の山々を縦断する旅が始まります。木々が生い茂る中を分け入ってしばらくしたところで、普通列車は新改駅に入ります。

 

 

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 新改駅の駅名板は、他と特に変わりがありません。ただ、次の駅の繁藤が示されている方向に向かう線路は、ホームを出てすぐのところで途切れています。

 

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 ホームを出てすぐ、草生した先に車止めが置かれていて、その先は藪の中、もう進むことはできません。

 新改駅は土讃線内に2つあるスイッチバック駅の1つ。高知方面の列車も、阿波池田や琴平方面の列車も、駅に入ると折り返して出て行きます。

 

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 土讃線の本線から枝分かれしたホームで、高知行のワンマンカーが発車を待っています。

 

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 行き違いの特急をやり過ごしてから、列車は再び本線へ。最後の坂を下りに下った後で、香美市の街並みが待っています。

 

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 列車が去り、誰もいなくなった駅舎。小さな無人駅には設備もほとんどなく、わずかなベンチを除けば、中はがらんどうです。

 

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 駅舎の片隅にあるのは掃除道具。地元の人々がマメに掃除をしているのでしょう。

 

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 ゴミ箱の片隅にも置かれた掃除道具。これらで駅舎の床は掃き清められ、ゴミも落ちていません。

 

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 僅かな列車のみが掲載された時刻表。

 新改駅に停まるには、いったん本線から折れなければならず、またホームには2本の列車が同時に停まれません。そんな構造上、普通列車でもこの駅を通過するものがあり、ためにこの駅に停まる列車の数は、県内のJR線で最も少なくなっています。

 

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 そんな駅だからこそ、かえってふらりと訪れる旅人がいます。

 そんな旅人を出迎えるのは、旅の記録を書き記すノートと、小さな花。心ばかりのもてなしが、人の姿のない無人駅に、息づかいを感じさせています。

 

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 災害があった時の緊急避難場所を示した地図。近くの集落までは歩いて15分。右の地図にもあるように、新改駅があるのは、人里から少し離れた山の中になっています。

 この辺りは高知から多度津方面に向けた登り坂、観方を変えれば高知への下り坂がずっと続いています。蒸気機関車の時代、そんな坂の途中で停車して再び発車するのは、今よりずっと危険でした。

 そのため、新改駅は本線から離れた平坦な場所に停車できるよう、スイッチバックによる駅になったのです。

 

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 新改駅の駅舎は、コンクリートの簡素なもの。右側の部屋は開けられるべくもなく、扉のない待合場所だけが使われています。

 

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 駅前の道路はホームの右手で途切れています。

 

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 線路同様、道路も行き止まり。この道を往く者は、駅に至っては列車を待つか、再び引き返すか、どちらかしかありません。

 

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 その道路の向こう側には、地元の交流施設への案内板がありました。

 

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 ここから1.3キロという道は、駅を出てすぐ下り坂。遠くから工事の音は聞こえますが、廃屋がある以外はしばらく民家のありそうな気もしません。わざわざ遠出はせず、駅で列車を待つことにします。

 

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 ホーム上に置かれた倉庫は、厳重にいくつもカギがかけられています。駅が少ないこの区間で、新改駅は資材置場も兼ねています。

 

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 本線方面から駅舎を眺めると、細いホームと駅舎の向こうの道路までが視界に入ります。山の中の狭い敷地に、小さな駅がぽつりと置かれています。

 

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 ホームの先まで行ってみました。駅舎も木々に隠れてしまい、線路とホーム、道路の他には、ただ森が広がるだけです。同じ土讃線坪尻駅ほどではないかも知れませんが、新改駅も文字通りの秘境駅になっています。

 

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 四国山地を阿波から讃岐まで越え、琴平に向かう列車が入ってきました。ここで停車すると、向きを変えてから発車します。

 

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 上りの信号機に黄色信号が灯りました。これから出発です。

 

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 新改駅を出た上り列車は、ポイントから左側に進み、右奥から左手前に斜めに進む本線を越えて、さらに左奥の線路に進んでいきます。

 

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 右手から高知方面へと下っていく本線を横目に、列車は側線に入りました。この側線もしばらく進めば行き止まり。列車は再び進路を変えて、本線に戻ります。

 

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 再び運転士が運転台を移り、発車を待つ列車に、上りの青信号が灯りました。

 

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 再び琴平方面に向けて発車した列車が、右手の本線へと進路を移していきます。

 

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 列車は本線に戻りました。ここから繁藤に向けて、列車は登り続けます。

 

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 車両の横から見える新改駅。僅かに見えるホームと線路のほかは、全て風景が草木に覆われています。