高知と後免の間にある土佐一宮駅。高知駅から北東に続いてきた市街地は、この辺りで途切れていきます。
駅前広場には銀杏の木が一本。来るのが遅れたかと思えばあっという間に去って行った秋に戸惑っているかのように、あまり色づかないまま、それでも徐々に葉を落としています。
コンクリート造りの簡素な駅舎。通勤・通学用と思しき自転車が、強風と天気雨に耐えています。
券売機以外何も置かれていない駅舎内。ただ通り過ぎるだけの人々が多いのか、ベンチがあるのもホーム上です。
「高知線の歌」十五番。ここにも歌われている通り、土佐一宮の名は、その名の通り土佐の一宮である土佐神社に由来します。
駅舎を出たところ。ホームまでは少し間が空いています。かつてはここにも線路が敷かれていたのでしょう。
おそらく線路跡であろうところは、今は幅広いスロープになっています。
ところで、この土佐一宮駅。ここまで読み仮名をあえて書いていませんでした。ひょっと、「えっ?『とさいちのみやえき』でしょ?」とお思いでしょうか。そんな風に考えていた時期が私にもありました。ところが、です。
駅名板に記された読み仮名は、土佐に土地勘がない限り、おそらく思いもよらないものでしょう。しかし、これが土佐の一宮なのです。
土讃線に加えて土佐くろしお鉄道のごめん・なはり線の列車も乗り入れる区間。列車の本数は、県内のJR路線で最も多くなります。
普通列車同士が行き違います。今でこそ閑散としていますが、通勤・通学の時間帯は乗客が多いのか、ホームは2面に分かれています。
下りの普通が去った後、特急しまんと号が駆け抜けていきます。駅を出て川を渡れば、終点高知駅はもうすぐです。
土佐一宮駅を走る列車は営業列車だけではありません。高知駅で仕事を終えた列車が、東隣の布師田駅との間にある高知運転所に戻るべく、回送として通っていきます。
運転所手前で一旦停止。信号が変わり、踏切が降りると、運転所へと進んでいきます。
高知に向かうごめん・なはり線の列車が入ってきました。ここで行き違いのためしばらく停車します。
反対方向から来たのは、先程の特急列車。トップスピードで走り去った線路を、回送としてゆっくりと帰ってきました。
回送列車と行き違う高知行の単行列車。発車時間はまだ先、ここで他の列車も待たないといけません。
早朝からの仕事を終えた列車。住み家の運転所への進行の信号が出たところです。あと少し進めば、しばしの休息を楽しみます。
回送列車が去った後、今度は岡山行の特急がやって来ました。
高知から後免の間は線形も良く、勾配もほとんどないので高速運転が可能な区間。特急は轟音を上げ、ガタガタと揺れながら、駅を飛ばしていきました。
行き違いの列車が去るのを見届けてから、高知行が発車。終点までは薊野駅を残すのみです。
その薊野から、ごめん・なはり線の奈半利行き列車が入ってきました。南側がオープンデッキになった「しんたろう2号」です。
この列車でごめん・なはり線から太平洋を眺めてみたいのですが、今回の行程は別。雄大な景色は、またの機会のお楽しみに取っておきましょう。