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第18回ウランバートル国際シンポジウムで研究報告を行いました

 

 第18回ウランバートル国際シンポジウムで研究報告「青木富太郎の蒙疆調査とオロン・スム訪問について」を行いました。

 

 

 2025年9月1日に開催された第18回ウランバートル国際シンポジウム「21世紀のシルクロード研究――モンゴルからのアプローチ」で研究報告を行いました。

 今回の報告テーマは「青木富太郎の蒙疆調査とオロン・スム訪問について」です。高知大学学術情報基盤図書館の特殊コレクション「青木文庫」についてはこれまでも報告を行っていますが、今回はそのうち、故青木富太郎高知大学名誉教授が1941年にオロン・スム遺跡を訪問した時の記録について報告しました。

 オロン・スムはモンゴル帝国時代、帝室の姻族オングート部の居城があった遺跡です。日本では江上波夫による3回の調査が有名ですが、その江上から話を聞いた青木が1941年に遺跡を訪れていて、その際の旅行記や写真が遺されています。ただ、旅行記については学内学会の彙報に掲載されただけで広く知られているとは言えず、写真は私が知る限り公開された形跡はなく、図書館の片隅で30年以上も眠ったままでした。

 青木の訪問自体は非常に短時間のもので、現在の感覚でいう「調査」とは言い難いとは思います。ですが、戦時中で移動手段が乏しく、いつどこで戦闘があってもおかしくない中で現地に赴くことができただけでも、その当時では成果でしょう。さらに、オロン・スム遺跡の礎石や塼は次第に建築物に流用されるようになり、青木が赴いた時点でも往時の城壁は失われつつあり、さらに80年余りを経た現在、往時の遺物が残っているかはとても疑わしいところです。

 それだけに、青木によるオロン・スム訪問の記録は少ないとはいえ、光を当てる価値があると私は考えています。今回の報告がその一助になれば嬉しいです。