
せっかく根室にまで来たのだから、納沙布岬まで行くことにしました。こちらも20年余りを経ての再訪です。
廃止間近の東根室駅を訪れておこう。そう思い立って出かけたのは以前のエントリで書いた通りです。
ただ、高知から根室はそう簡単に行けるわけではありません。なのでこの機会に納沙布岬にも足を延ばすことにしました。

東根室駅を訪ねた翌朝、市内の道路はどこも雪をかぶっていて、転ばないように恐る恐る歩いて根室駅前のバスターミナルへ。ここから路線バスに乗って納沙布岬まで向かいます。

路線パスの行先案内。「太平洋回り」というスケール感が凄いです。もっとも高知県でもやろうと思えばできなくはないですが。

根室駅から納沙布岬までは往復割引乗車券があるのですが、2人で往復の場合は回数券がお得だというので、こちらを購入しました。降りるときに回収されるため記念に持ち帰ることはできませんが、持ち帰れる1日乗車券は1枚2000円以上。他の路線に乗るわけでもないので、今回は回数券にして写真を撮っておきます。
バスは定刻に発車。根室の中心街を抜けて岬に向かいます。ただこの日も氷点下の雪空の下、バスのガラスは曇って外が見えません。どこを走っているのかは車内放送でしか分かりませんが、そもそも地名を聞いても地図がイメージできない。

ボーっとしている間に、バスはあっさり終点の納沙布岬停留所に着きました。外に出ると雪が顔を連打してきます。

最果てのイメージが強い納沙布岬でしたが、意外にも民家が近くにあります。以前来た時もそうだったに違いないのですが、まるで記憶がありません。

吹きすさぶ風雪に抗いながら、何とか岬の公園内を歩きます。天気が良ければここから歯舞群島が見えるのでしょうが、いくらなんでも今日は無理そうです。

園内には北方領土返還を訴えるモニュメントや礎、標柱がいくつも立てられています。以前よりも増えたか知れませんが、実際のところは分かりません。

近くに並ぶ売店。とはいえ今はとても観光シーズンではありません。東根室駅廃止の特需は多少あるかも知れませんが。

領土返還の訴えにもいろいろあります。ただ私は専門家ではないので、気になる人はご自身で調べてください。

足元には北方領土の位置関係を示したイラストがありました。

各島の方角と距離が示されています。近いところは10kmを切ります。

北方領土に関する碑や展示が多い納沙布岬の中で例外なのがこの石碑。寛政年間に和人の横暴に耐えかねて放棄したアイヌの人々によって殺害された和人71人の慰霊碑が、曲折を経て移設されたものです。ただし碑自体は江戸時代の和人によるものであり、当時アイヌを支配していた側の視点でできている点は指摘しておきましょう。

だいぶ寒さが身に沁みてきましたが、まだ先にいろいろあるので、もう少し岬を歩くことにします。

さらにモニュメント群。この天候下でも鐘は鳴ります。

北方四島の位置を記すモニュメント。この天気なので図を見るだけでも一苦労です。

大きな展望台がありました。オーロラタワーと書いているのは見えましたが、営業しているような感じがしません。人の気配がない建物の傍で、時間調整をするバスが1台ぽつりといるだけです。

北方領土返還を願い、この寒さと雪と風の中でも灯が燃えています。

この灯火は北方領土返還記念像とともに置かれたもの。岬から島々に向けて灯され続けています。

シンボル像の全体。タワーを除けばこれが付近で最も大きい建造物でしょう。

他にもモニュメントはいろいろあるのでしょうが、雪に覆われていて見られる状態ではありません。何よりバスを降りてからというもの雪に打ち付けられっぱなしで、そろそろ暖をとらないとマズそうです。
帰りのバスの時間までまだあるので、残りの時間は資料館で見学です。中では終戦直後の北方四島の状況についての企画展示がありました。

岬を出るバスがやって来ました。バスの本数が限られることもあってか、さらに残ろうとする人はなく、往路のバスに同乗してきた人々がそのまま乗り込みます。相変わらずの天気ですがバスは時間通りに発車し、雪の残る道を根室の街へと向かっていきます。

30分ちょっとで根室駅前まで戻りました。少し待てば釧路行きの列車がやって来ます。

折り返しの列車が到着し、改札が始まりました。釧路に向かうのは快速はなさき、1両だけのワンマン列車です。

快速列車は根室を出るとしばらく各駅に停まります。なので、ダイヤ改正まであとしばらく、最初の停車駅は東根室です。

列車は廃止前に訪れたと思しき人々の乗り降りを受けると、東根室駅を後にします。
日本最東端の駅、東根室駅。遅い春の訪れを待たずに去り行く、最後の姿です。